046◆大浴場
◆大浴場
火の山から先に連なる山々には、珍しい鉱石が多く埋蔵されていて、それらを掘る鉱夫もたくさん働いていた。
カイルとマーブルの叔母さんが暮らしている町へ行くには、鉱石街道と呼ばれるたくさんの鉱山をつなぐ道を通って行くしかない。
鉱山の近くには、鉱石を細かく砕き、炉で金属にするための溶鉱炉もたくさん作られていた。
それ故、いろいろな物の運搬用に街道も整備され、道幅も広く大半が石畳で舗装されている。
その街道には鉱石運搬用の巨大な荷車が行き交い、荷車同士の衝突事故なども頻繁に発生していて、あたしが居た世界とあまり交通事情は変わらない。
エイミーからは、荒くれ者が大勢いる鉱山と聞かされていて正直ビビッていたのだが、商店や病院、理髪店や浴場などが街道に沿って建っていて綺麗な街並みが続いている。
よくよく聞いてみれば、金鉱山には一攫千金を夢見る荒くれ者が集まっているらしく、そこの事を言っていたらしい。
火の山で、もうクタクタになっていたあたし達は、わりと直ぐに大きな宿屋を見つけて、そこに一泊して旅の疲れを癒すことにした。
宿屋は多くの客で賑わっていたが、もちろん観光地では無いので、泊まっているのは鉱山関係者がほとんどである。
そして、問題の荒くれ者が隣の部屋に泊まっていた。
泊まった部屋の壁が薄いので、隣の部屋の声や音が漏れてくる。
隣の部屋から、怒鳴り声や下品な笑い声が響いて来て、せっかくゆっくり休もうとしていたのに気が滅入る。
あまりにも騒がしいので、みんなして大浴場へ避難することにした。
あたしは、自分の世界のことを少しずつ思い出して来ていたので、こういう大きなお風呂に大勢の人が入るなら男女別々が普通だと思っていた。
でも、よくよく考えてみると、モッフルダフやここに来る途中で見た獣人タイプの労働者など、外見では性別が判断できないものも多い。
案の定、脱衣場はひとつしかなかった。 そのかわり脱衣場はもの凄く広い。
お風呂の方は、半分屋根がある大きな露天風呂や手前にも小さめな露天風呂が幾つかあって楽しめそうだ。
エイミーは、特に気にする様子もなくあたしの横で、さっさと服を脱ぎ始めていた。
まぁ、郷に入っては郷に従えということと、何しろ火の山の洞窟で汚れた体を綺麗にしたいという思いが優先し、あたしも一張羅の制服を脱いで脱衣かごに入れた。
子どもたちは、広いお風呂に大はしゃぎで、一番大きな露天風呂目掛けて駆けて行った。
シルフは、少し眠たそうにしていたので肩の上に乗せ、一緒に湯気がもうもうと上がる手前の小さめの露天風呂に入った。
先に入っていた色白のエイミーの肌は、もう桜色になっている。
あぁ、やっぱり気持ちいいねと言いながら、立ち上がって近くの石の上に腰掛け、あたしの方を見てニッコリ笑いかけてくる。
改めてみるとエイミーは、かなりの巨乳だ。 あたしもそんなに小さい方ではないが、男の人はやっぱり大きい胸がいいのだろうか。
あたしの肩の上で舟を漕いでいたシルフが、ついに深い眠りに落ちた。 ついでに浴槽にも落ちた。
あたしは、びっくりして直ぐに浴槽に沈み始めたシルフをすくいあげ、浴槽から出て洗い場に向かった。
眠りこけているシルフの体と髪を先に洗ってあげ、手桶に温めのお湯を入れて、そこにシルフを浸からせておいてから、急いで自分の体を洗った。
あとから隣に来たエイミーはシルフを見て、お人形みたいで可愛いねと笑いながら言った。




