044◆マーブル防御魔法を使う
◆マーブル防御魔法を使う
あまりの暑さに水分補給をしようと水筒を手に持った途端、先頭を行くモッフルダフの鞭がうなりをあげた。
ヒュン ヒュン バチンッ
モッフルダフの鞭の先に立ちはだかっている魔物を見たとき、あたしは驚愕した。
そこには全身が炎に包まれたゴーレムが2体、ゆっくりとこちらに向かってきていたのだ。
ビシッ バチンッ
モッフルダフの鞭がヒットしても、ゴーレムの体は少し削れるくらいのダメージで、直ぐに再生してしまう。
その状況にモッフルダフは、じりじりと後退を始める。
ゴーレムは火の山に生息しているため、炎系の攻撃は通用しないし、体が硬いため打撃系の攻撃でも厳しそうだ。
はっ! そうだ、メイアを救出した時のあの方法・・・
シルフも同じ考えだったようだ。 あたしが言葉にする前に、ゴーレムに向け勢いよく水を放出する。
ジューーッ
激しい水蒸気とともにゴーレムの右腕がボロボロと崩れていく。
やったあーー! 思わずシルフとハイタッチする。
シルフ、この調子でやっつけちゃって!
シルフも俄然やる気になって、もう一体のゴーレムに接近し、水を噴きかけようとしたが・・・
あれっ? どうしたシルフ?
なんと、水が出てこない。
ブゥン
ゴーレムの太い腕がシルフに向かって容赦なく振り降ろされる。
キャーー シルフ、あぶなーい!
まさに、拳がシルフをとらえる直前、シルフの前面に光り輝く大きな壁が出現した。
ガキンッ
大きな音とともにゴーレムの腕は、その光り輝く壁に激突し弾き飛ばされる。
一瞬何が起きているのか分からなくなるが、振り返るとマーブルが魔法を詠唱している。
あの子、すごい! 防御魔法が使えるんだ。
マーブルが作りだした防壁で、ゴーレムの攻撃を防いでいるうちに、後方の敵を難なく片付けたメイアが攻撃に加わり、残ったゴーレムもなんとか倒すことができた。
後にエイミーから、カイルとマーブルの母親がエルフの血を引いていたので、マーブル達はそれで魔法が使えるのだと聞いた。
シルフは、あたし達でいうところの熱中症みたいな状態だったらしく、持っていた水で体を冷やしたら復活した。
今回のシルフの件では、常に戦闘状態を意識して、コンディションをベストに保っておく必要があるのだと痛感させられた。
また、攻撃するだけでは、必ずしも戦闘に勝てないことも学んだ。
余裕のある時に、状況に応じた戦い方や防御の仕方も事前にシミュレーションしておくとよいだろう。
全員が、今回の戦闘でかなり体力を消耗したし、かわらぬ暑さで相当参っている。
こんなところをもう一度、魔物達に襲われでもしたら、全滅するかも知れない。
あたしは、この世界に来て初めて、死の恐怖を感じたのだった。




