041◆エイミーの憂鬱
◆エイミーの憂鬱
ジャイアントラビットの焼き肉をみんなで美味しく食べている時、エイミーはなぜか、ひとり浮かない顔をしていた。
最初は魔物の事や火の山の洞窟など、この先の事を心配でもしているのかと思ったのだが、そうでは無かった。
聞いたところによれば、なんでもエイミー達が目指している南の土地には、カイルとマーブルの叔母がいるらしく、その叔母さんが自分に子どもがいないので、二人を引き取ると言われているそうだ。
叔母の連れ合いは商売を手広く行っていて裕福でもあり、二人のためには叔母の養子にしてもらうのが良いと思っているが、大切な弟妹と別れるのがつらく、どうすればいいか悩んでいるのだそうだ。
一緒に世話になればいいのにと簡単に言ってしまったのだが、エイミーとは血のつながりもなく、そのつもりは無いらしい。
お昼は早めに済ましたので、今日はもう少し距離を稼ぐべく、みんなで気合を入れなおす。
さぁ、出発するぞーーー!
おぅ!
メイアとマーブルの気合をいれる姿が超可愛らしい。
これから先は、狂暴な魔物がいつ襲ってくるか分からない。 一瞬の油断が命とりになる。
歩き始めて30分もしないうちに、もう辺りを数匹に囲まれている。 シルフとメイアも目が合うと既にそのことは把握済らしく、二人とも警戒を強めていた。
エイミー、気を付けて後ろから何か来る!
遥か後方からだが、それは凄い勢いでこちらに向かってくる。 目を凝らしてみるが、輪郭がぼやっとしてハッキリしない。
あれっ? この感じ・・・
やあやあ、皆さん。 ハァ、ハァ ・・ やっと追いつきましたよ。 いやーー 久しぶりに走ったーー。
モ、モッフルダフ・・・ あなた生きてたの? 良かったーー あの後、ずいぶん探したんだけど見つからなくって心配したんだよ。
ホホホ わたくしは不死身ですからね。 相棒も何とか忌々しい巨大烏賊から逃れられましたしね。
そうなの? あの鮫さんも・・・ それはほんとうに良かったですね。
あたしは、二匹がもつれながら海中深く沈んで行く姿を見ていたので、てっきりもうダメかと思っていた。 なので、心からよかったと思った。
でも、世界中から集めたお宝が海の底深く沈んでしまいました。 また裸一貫からやり直しですよ。
モッフルダフは急に暗い顔になる。
で、どうしてここに?
あれから、直ぐに相棒が戻ってきたので、一番近い島まで全速力でやってきたんですよ。 何しろ水も食料もみんな流されてしまいましたから。
近くの集落には誰もいなかったので、新しそうな轍を見つけて辿ってきたというわけです。
みなさんに、またお会いできて嬉しい限りです。
そうだ、お昼の残りものですが、もしよろしければ召し上がってください。
あたしは、食べきれなかったラビットの肉をモッフルダフに渡してあげた。
これはこれは、ありがたく頂戴いたします。
モッフルダフが一息ついたところで、エイミー達をモッフルダフに紹介した。
カイルとマーブルは、ちょっと不気味なモッフルダフを怖がるかと思ったら、意外にも興味津々で直ぐに懐いて一緒に遊んでいる。
でも、さっそくマーブルがモッフルダフの糸の端に気が付いて、引っ張っていたのがおかしかった。
思わぬモッフルダフの合流もあって、気合を入れたにも拘らず、今日はこの場所でキャンプすることになった。
あたし達の周りにいたはずの獣や魔物の気配も、不思議なことにいつの間にか消えていた。




