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029◆メイア大活躍


◆メイア大活躍


体中の焼けるような痛みで、シルフは覚醒した。

自分が花の中に閉じ込められたことは、すぐに思い出した。


この花は小動物を捕らえて食べるために花弁が厚く頑丈にできている。

そのため、出口が塞がった今では外の光は遮断され、花の内部は真っ暗であった。

また、花弁も厚く表面がヌメヌメしているため中で暴れても、それを破って脱出することは不可能だった。


シルフは焦った。 この狭い空間で火を噴けば自分も丸焼けになってしまうかも知れない。

いったいどうすれば助かるのだろう。

考えながらも、何回も全力で体当たりをして花弁の厚い壁を破ろうと試みるが、花自体が大きく揺れて、その衝撃が吸収されてしまう。



そのころ、メイアはちょうど池の上空まで来ていた。

シルフを探す目は猛禽類のそれと同じで、遠くの獲物を捕らえるために驚異的な視力があり、地上のほんの少しの動きも見逃さない。

その目は、池の淵に咲いている赤い花の不自然な動きを瞬時に捕らえていた。 風も無いのに、その花だけが激しく揺れ動いている。


メイアは、その花目掛けて急降下すると、その花の先端を牙で噛み千切った。

その途端、中から花の消化液が大量に溢れだした。 そして最後にシルフがドロリと流れ落ちた。

しかしシルフの体は、すでにボロボロで意識もない。


メイアはシルフを咥え、急いで池の中へそっと入れると前足でシルフを揺する。

体に付着した消化液は池の水で洗い流されたが、シルフの意識はもどらない。

メイアは再びシルフを咥えるとセレネが待っている場所へと急ぎ引き返した。



シルフを案じてひたすら祈るセレネのところに、メイアがシルフを咥え戻って来たのは、時間にして20分ほどであったが、セレネにとってはもの凄く長い時間に感じられた。


意識がないシルフを見たセレネは、シルフを抱きかかえて号泣し、自分をひたすら攻めた。

あの時、自分がシルフを一人で行かせなければ、こんなことにはならなかった。


シルフ、ごめんね。 ほんとにごめんなさい。

赤くなったシルフの皮膚を水筒に残っていた水を浸したタオルで冷やし、皮膚が破れて出血した部分には持っていた傷用のナノ絆創膏を貼った。

シルフの美しく流れるような金色の髪は、半分以上が溶けてしまっている。


それを傍で見ていたモッフルダフが、自分の倉庫に良い薬があるので、そこまで早く連れて行った方がよいと言う。

一刻を争う事態なので、その提案を受け入れ、二人でメイアに乗って倉庫へ向かうことにした。


メイア、お願い! 


ドラゴンは、その羽を大きく広げると力強く羽ばたき、飛び立った。

上空から見ると、この鮫の体は300mはあるのではと思われた。 鯨の10倍、ほぼ空母ほどの大きさがある。


モッフルダフの倉庫は荷物の積み下ろしに便利なように、一番端(頭側)にあった。

倉庫は扱う荷物の量が想像できないほどに大きい。


モッフルダフは、倉庫の中へ入って行くと直ぐに薬のビンを持って出て来た。

丁寧にお礼を言って、祈るような気持ちでその薬をシルフの体に塗ってあげる。


あとは、シルフの回復力をひたすら信じるだけだ。 




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