021◆サステマさん
◆サステマさん
館には使用人の控室が3つある。 それぞれ執事用、メイド用、料理人用で、引継ぎや会議、休憩などに使う。
あと、個人用ロッカーもあって、仕切り用カーテンを閉めれば着替えなどもできる。
あたしはワゴンを厨房に戻した後、メイド用の控室でサステマさんに伯爵様のことを相談している。
サステマさん、いったいどうすればいいですか?
そうねぇ・・ エリージャ様は女好きなので、あまり一人にならないことね。
えーーっ そんなの無理じゃないですか。 だって、お茶をお出しするのも身の回りのお世話も一人ですよ~。
う~ん。 そうよねぇ・・ 困ったわね。 そうだ。 いっその事、第三夫人になっちゃう?
いやーーっ ちょっとサステマさん、真面目に考えてくださいよ。 もぅ。
うふふ もうちょっと待ってね、いま考えるから。
・・・
・・
・
だめね。 あまりいいアイデアが浮かばないわ。
そんなぁ・・
例えば、メイド服をやめて執事用の服を着て、女の色気を消すのはどう?
えっ、あたし色気なんてありますか?
あらあら、本人は気付いていないのね。 結構漂っていますよ。
大き目のバスト、ムチムチの太腿、ウェーブのかかった金色の長い髪、白いうなじ、それに・・・
もう・・もうやめてぇ 恥ずかしいからぁ・・・
結論! 女を捨てる! 色気をすべて消し去る!
あたしは、髪をバッサリ切ってショートヘアに、制服は執事用にして太腿は露出しないように、胸はさらしを巻いて目立たなくした。
サステマさん、これでどうかな?
いいんじゃないかしら。 前の方が可愛かったけど。
いいんです! 3時はこれで行きます。 歩き方もガニ股で行きます。 ドアを開けるときは、蹴って開けます!
セレネさん。 やり過ぎて失礼にならないようにするのよ。 伯爵様の権力をあなどってはいけないわ。
あのお方が本気になれば・・・
サステマさんは言葉を濁したが、顔がマジだった。
その顔を見て、あたしの背筋はゾワゾワする。 やり過ぎには気をつけよう。 ひそかにこの世から消されるかも知れない。
時計を見る。 もうすぐ、3時だ。




