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019◆シルフとドラゴン


◆シルフとドラゴン


シルフは焦っていた。 なぜなら、セレネが悪党に連れ去られてしまったからだ。

セレネが男達に襲われている間、食べ慣れないパンを喉に詰まらせてしまい、何もできなかった。

妖精は、このようなパニック状態にいったん陥るとしばらく体が動かなくなってしまう。


シルフが体を動かせるようになったのは、セレネが連れ去られてから、かなり時間が経ってからだった。

動けるようになって直ぐに全速力で追いかけたが、セレネを見つけることは叶わなかった。


シルフは悲しくて泣きながら力なく、休んでいた木陰のところまで引き返してきた。  そこにはセレネの水筒が残されていたからだ。

水筒の水を飲み終えるとシルフは水筒を抱いて、大きな声でピィーピィー泣いた。

シルフは悲しくて悲しくて、長い間泣いていた。


その泣き声は、少し離れるともう人間の耳には聞こえないのだが、岩山のドラゴンにはかすかに届いた。

傷を癒すために眠っていたドラゴンは、シルフの泣き声を感じ取り体を起こす。


声が聞こえてきた方角を特定すると、翼を広げ大地を勢いよく蹴った。

ドラゴンは岩山の上空まで一気に上昇すると、今度はシルフの声がした方を目指し滑空していく。


グゥォーーーッ

ドラゴンは、シルフに届けとばかり大きな唸り声をあげる。


その声は、もちろんシルフにもしっかり届いた。

泣き顔でグシャグシャのシルフだったが、ドラゴンが飛んでくるであろう方角をじっと見つめた。


やがて、西の空に黒い点が現れ、みるみるうちに大きくなった。 そしてシルフが何回か瞬きをする間にその点はドラゴンの姿になる。

ドラゴンはあっと言う間に上空に達し、スピードを落とすために何回か旋回すると、シルフの側に降りてきた。


シルフはドラゴンの耳の側まで急いで飛んで行くと、体を光らせながら妖精の言葉で今まで起きた事をドラゴンに伝えた。


グゥォーーーッ

シルフ言葉を聞くとドラゴンは、再び大きな唸り声をあげた。

そしてシルフがドラゴンの頭に乗り、その角につかまると同時に大空高く舞い上がった。


妖精を乗せたドラゴンは全速力でセレネが連れ去られた東へと向かった。



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