第三話。
追い求めていた夢が叶わないと、人はそれの代わりとなるものを欲するものらしい。
裕太も例外ではなかったが、それは新たな夢と呼べるほど大層なものでもなかった。
裕太は夢破れてから、単に(女が欲しい)と、渇望するようになった。
男である以上、ある程度女が好きなのは当然のことだが、裕太の場合は妄想力も手伝ってか、女に対する思いが異常に強かった。
そのくせ、なかなか彼女を作る、という具体的な行動はとらず、大手のレンタル・ショップでアダルトDVDを借りまくり、自慰行為に耽る日々だった。
情けない話しだが、夢破れ、傷ついた心を一時だけでも癒してくれるのが、アダルトDVDを観ながらの自慰行為だった。
お気に入りの女優のセックス・シーンを見ながら、射精する時のその一瞬、その刹那だけ、この世の憂さから離れられるのだ。
(あぁ、ヤリてぇ…)
映像と言う決して触れることが出来ないもので、性処理をしていると、ときたま強烈に虚しくもなり、その虚しさを相殺するかのように、強烈に女を求める気持ちが沸いてくる。
裕太は、パソコンで風俗サイトやアダルト動画サイトを見まくった。
その執拗さは、裕太にとって、パソコンはエロい物を見るためだけに存在しているかのようだった。
(どうすれば、女とヤれるんだ…)
裕太の頭の中は、もうその事で一杯だった。
一番手っ取り早いのは、風俗に行くことだったが、裕太は挿入、所謂「中出し」プレイがしたかった。
しかし、そのプレイが出来るところとなると、値段も高くなるし、裕太自身その手の店に行くのが怖い…という思いもあって、なかなか踏み出せないでいた。
そんな、裕太が選んだ手段は「出会い系サイト」だった。
出会い系なら、資金的にも安く抑えられるし、風俗のように一度きりの関係で終わる事はない…という点も出会い系を選んだ理由だった。
裕太は早速、ネットで調べて一番安心して使えそうな出会い系サイトに登録してみた。