青く染まる朱色の君
僕の部屋にあった空の水槽を見て
水槽の向こう側にいきたいと君がつぶやいた。
だから僕たちは・・・・
金魚を見に行くことにした。
水槽の向こう側にいた君はいつのまにか僕の隣にいた。
水槽の中にはたくさんの金魚がいる。水槽の向こう側にはたくさんの人影が見える。
僕には君が何を見ているのかわからない。向こう側にいるたくさんの人影だろうか?
朱色の金魚
朱色のブラウス
青の・・・・
金魚のしっぽが揺れる。
君が口をひらく
「ライトが少しあおいね」
そう言って笑う。
「だから赤が・・・映えるね」
赤・・・僕には朱色に見える。
彼女が赤と思おうが僕には関係ない・・・ことにしておく。
朱色の君
赤の僕
ライトが白くなって朱色がくっっきりした。
さらに今までぼんやりしていた黒い金魚がはっきりと見えるようになった。
「私は赤より黒の金魚が好き」
朱色の金魚と黒の金魚
僕は答える。
「僕には赤に見えない。なぜか朱色の見える」
君はほほえんでいった。
「あなたがいうならきっとそうよ。でもそれは私にとってどうでもいいこと」
僕は朱色が好きだ。
僕は君の黒い髪の毛が好きだ。
「朱色ねぇ・・・血も朱色なのかしら?それともライトみたいにあおいの?」
僕の血の色が朱色かなんて分からない。
周りが騒がしい。けれども僕らは静かだ。
まるでこの世に2人しかいないみたいに・・・
ライトが青くなって君の髪の毛が青く染まる。
確かに金魚は赤に見えた。青に見えたと言ってもいいかな?
水の音がする。
金魚が泳ぐ。
「いっそ金魚になりたい・・死んでもいいかな?」
唐突に君が言う。
ほほえんで言う。
青くそまった笑みで言う
僕は頷く。
「金魚に成って死にたい。」
僕がいう。
僕らが死ぬ理由なんてたぶんない。
赤と朱色を僕が使い分けるくらいにたぶんない。
ライトがあおい理由もない。
僕らが生きる理由もないけど。僕らが一緒にいる理由ならある。
水槽の向こうの人影が動く・・・ライトが白くなる。
僕らは金魚をみている。朱色の金魚を見ている。
一緒に見ている理由はない。僕らが一緒にいる理由はあるはずなのに。
僕は隣の君を見る。少し近づきたいと思った。
近づきたかった。
証明をしたかった。
ライトが青くなった。
水の音しかしない。
その瞬間
君は朱色に染まった。
色合いに重きをおいた訳の分からない話です。
一応シリーズにする予定です。
ちなみに朱色と赤って普通は分けるものだと思っています。