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魔力0!超怪力で世界を変えろ!!  作者: そこなべ のぼり
[魂剣製作・アンタレクス接触]篇
22/22

二十一章「まさか、前回でこの章終わりと思った?」

 大変お待たせしました。最新話です。

 タイトルには、あのように書いてありますが、今回でこの章は終わりですww

 次回から、新章です。 

 ちなみに今回は、色なしのイラストがございます。よろしければそちらもどうぞ☆

 バーのカウンターに腰かけたガスマスクは、次々に空間から出てくる仲間たちを頬杖をつきつつ眺める。

「まぁ。より合わせにしちゃぁ。上出来だったかな……」

 その言葉にゲートから出てきたチョッキの男が苦笑する。

「久賀のあんちゃん。結局何がしたかったんだよ。え? 暴れるだけ暴れたのはいいが、秘伝書はどうなったよ?」

 すると、ガスマスクは左手につけている手袋をゆっくりと外す。

 そこにあったのは、左手の甲に輝く四角い紋章。

「えー? なになにソレ? なんかカッコいいんだけど―?」

 目をむくチョッキの男と、興味津々で割り込んでくる白衣の金髪美女。

 ガスマスクの男は、クフフフと笑い声を漏らすと、反対の手の手袋も外した。そして、そこにある妖精の姿をかたどった紋章を天にかざす。

「よく見とけよアホども」

 言うなりガスマスクは、すぐ近くにいた亜人種の大男の肩に右手を乗せた。

 すると、突然大男が光だし、その姿をみるみる内に刺々しい装飾を纏う少年に変化させる。

 少年は、宙に浮かび上がると、不思議そうに自らの体を眺めている。

 ガスマスクは、その場にあった小さなナイフを少年に向けると、その刃に紋章の輝く左手をかざす。

 刹那

 まばゆい光が酒場を包み込み、宙に浮く少年とナイフを飲み込む。


 そして


 光がやむと同時に、手に持つナイフを弄び、声を上げた。

「母材が母材だが、とりあえず――――――――――――――――――――」

 そこで言葉を切ったガスマスクは、ナイフをテーブルに突き立てた。

 

「――――――――――――――――――――――――――――――魂剣の完成だ」


 その言葉にその場がどよめく。ガスマスクは、両手にあるそれぞれの紋章をかざす。

「右手は鋼精を作る紋。……左は魂剣を作る紋」

 自慢げに紋を披露したガスマスクは、早々に手袋をはめると紋章をしまう。そんなガスマスクにチョッキの男がえらく動揺した様子で声をかける。

「あんちゃん……。いったいどうやってそんなもん……」

 その言葉にガスマスクは首をコキリと鳴らし、鼻で笑う。

「もぅ忘れたのか。俺の能力は【多重】……だろ?」

「っ! ……まさか」

「そうさ。技術をスキル化する能力を重ねたのさ。あの村は村そのものが巨大な工房。お前らが暴れてる間にその技術をまるまるスキルトレースするくらいは造作もない。」

 ガスマスクの発言で周囲に興奮が満ちる。が、そこで白衣の女が不満げな声を漏らす。

「えー。だったら、わざわざあんなに強いヴェノン出さなくてもよかったくなーい? もっと簡易的なヴェノン量産して暴れればよかったじゃーん? あれ造るの大変だったんですけど―? しかも、やられたし」

「いや。派手にする必要はあった。……あんだけ派手にブチかませば、俺たちの話は絶対に広まる。ましてや、全国からいろんな連中が集まるエリアだ。実際、あのガキみたいに収穫はあった。村の連中が話を広げてくれれば、こっちも都合がいいんだよ。あれの件もあるしな。……あと、さっきのヴェノンだが心配ない」

 言うなり、ガスマスクはバチンと指を鳴らした。

 途端にすぐそばの空間が歪み、そこからさっきやられたはずのヴェノンが元通りの姿で現れる。

「おおっ!!」

 白衣の女は、歓喜の声をあげ、ヴェノンに飛びつく。そして、すぐにヴェノンの肩によじ登った女は、言った。

「ねぇ? なんで?」

「……あらかじめ、破壊されることのない未来を重ねておいた。だから一見壊されたように見えても、この通りだ」

「ほんっと、便利ね。あんたの能力。今の能力も気に入ってるけど、あんたの能力羨ましい」

 そう言って、女はあっさりとヴェノンの腕をちぎった。

 無反応のヴェノンに女は囁く。

「次は、強くしてあげるからね♡」

 一瞬、ガスマスクすら硬直したその淫靡かつ不気味な囁きは、すぐさま訪れる静寂に消えた。

 凍り付いた場を取り持つかのようにチョッキの男が、話を変える。

「で、このまま終わりなわけないよな?」

 もちろんそれはコウヤたちのことであり、ガスマスクはこくりと頷いた。


「もぅ。手はうってるさ。一戦終わった後っていうのが一番油断するからなぁ?」



×××



「そっか。なら、二人ともいい具合に鋼精と契約できたってわけか。そんならよかったぜ」

「あんたは全然良くないわよ」

「ちょっ! ちょっと待って! 痛い痛い!!」

 火傷傷を含めた全身の治療を四人の美女に施される俺は悲鳴を上げた。もちろん治療しているのは、ユリア、アルス、ヘルセーラ、ユノである。正直、そこまでしなくても……と言いたかったのだが、鏡に映る自らの姿とヘルセーラによるスキャニング診断はその言葉を飲み込ませた。全身重度の火傷、両手の皮膚ただれ、腕部神経麻痺、重度の脱水症状、および大量出血。裂傷による発熱。意識が朦朧としていたところをヘルセーラが俺をユノの店まで運んでくれたのだ。そして、鋼精を連れて帰った二人とも合流して今に至るわけだ。

「それにしても、毎度無茶してくれるわね」

「これだけのケガで生きてることが不思議なくらいね」

 ユリアとアルスが口々に文句を言う。全く言い返す言葉もない。でも――――――――、

「でも、こうでもしなけりゃ負けてたかもしれねぇ。……そんだけ強かった。それにこれでも、戦ったのは主犯の奴じゃない」

 俺はそういうと、深く息を吐き目を閉じる。……そう。戦ったのはあくまで奴の生物兵器。それにあいつら……転生能力って。やはりこの世界に飛ばされているのは、俺だけではないということか。

「ねぇ。ユノさん。あいつらがどこの奴らか分かった?」

 アルスがユノに話を振るが、ユノは頭をふる。

「いや。全く。……普通、あの手の連中は紋章とか旗を掲げているものなんだが、あいつらにはそんなものは無かった。それにあんな妙な恰好の連中聞いたこともない。あと、コウヤと戦っていた化け物だが、あんなもの見たことが無い。さっき見せた化け物を映した映像魔石は、ギルド協会に送っておくよ。奴らの手掛かりになるかもしれないしね」

 そうそう。の化け物なんだよアレ。バカみたいに強かったし。あー。あと、なんでアイツは俺の名前を知ってたのかが気になるな。

 いろいろと思うところはあるのだが、とりあえずはゆっくり休むことにしよう。幸いにして、堪能することは叶わないが、こうして四人の美女に介抱してもらえているわけだ。楽しまなくては損だ! 全国のアニオタ諸君どうだ!? 羨ましいだろ!? おそらくライムとやらも血の涙を流しつつこの場面を執筆していることだろうよ! ははは……ゴハッ!

「あーあ。吐血してる。おとなしくしてなよ。コウヤァ」

 ヘルセーラが吐血した俺の背中をさする。うぅ。鉄の味がするぅ。

 

 と、その時だった。


 ガタン

 不意にユリアとアルス、ヘルセーラが立ち上がり身構えた。

「ど、どした?」

 動揺する俺をヘルセーラが守るように周囲を警戒する。

 ユリアが呟いた。

「す、すごい濃厚な魔力……。この間の魔王と同じくらいか……」

「それ以上よ……。しかも……三人も」

 アルスがユリアの言葉を引き継ぎそう告げた時、なにかゾワリとした感覚が俺の背筋に走った。

 …………これは…………殺気か!?


 その瞬間だった。


「綺麗ですねぇ。その……血。素晴らしき美を感じます」

 どこからか、すました様子の声が響く。そして、声は一つではなかった。

「あ? 俺は違うなぁ。すごく臭う。腐った魔力……大きな力……鋼の香り……ウゼェ」

「言葉、汚い。仕事、遂行、目的、黒髪、男。邪魔、殺す」

 ユノの工房に響く三つの声は、俺たちをあざ笑うがごとく余裕の言葉で囁く。

 そして、その直後。

 突然俺の体が見えない何かに持ち上げられる。

「うっ!? うおっ?」

「コウヤ!!」

 ヘルセーラが異変にいち早く気が付き、俺に手を伸ばす。しかし、その手は届かず、俺は工房の外へとフワリと移動させられる。もがこうとするが何故か体に力が入らない。それどころかなんだか、ボーっとする。

 四人が慌てて俺を追って、外に出る。

 外に出た俺は、声の主達を見た。

 影の中から姿を現した三人は、俺を頭上に移動させる。ユリアたちが身構え、魔法を発動させるタイミングを伺う。

「いやはや綺麗だ。美女の戯れとはまさにこのこと! 素晴らしき美を感じます!!!」

「……ウゼェ」

「目的、完了。楽勝。帰還、早急」

 スキンヘッドに不気味な模様を描いた頭のガリガリに痩せた男。気だるそうに「ウゼェ」と呟き続ける赤いおかっぱ髪の獣人。単語だけで言葉を話すフードの小人。その三人からは、大気が震えるほどの濃密な魔力が感じ取れる。魔力を感じられない俺でも、これだけ近づくと嫌でも伝わってくる。

「あんたら、さっきの連中の回し者か?」 

 ユノが強気の口調で問いかける。

 すると、スキンヘッドの男が、その骨のような腕をうやうやしく胸に当て、一礼する。

「これは失礼いたしました。自己紹介がまだでしたねぇ。わたくし、異界同盟大幹部【美】のヘイデベルン・カウスピラーゼと申します」

「同じく【邪】のガルルド・アーガ。……ウゼェ」

「同様、【望】、ウェステア・ノウン」

 その名にアルスが驚愕する。

「異界同盟!? ……大幹部なんかがなんで……」

「知ってるの!? アルス!?」

 ユリアが反応すると、ヘイデベルンたる男が「おや?」と声を漏らす。

「おやおやおやぁ? 誰かと思えば、魔王アスカのところのアルスではないですかぁ? アスカの軍は崩壊したと聞いておりましたが…………なるほど、その紋章、ギルドに入ったのですねぇ。いいですねぇ。素晴らしき美を感じます!」

 ニヤニヤと笑みを浮かべるヘイデベルンを無視し、アルスは説明する。

「異界同盟。異界から召喚した強力な能力者を中心に構成された組織。ほとんどの裏勢力や魔王の後ろ盾をしている凶悪かつ謎だらけの集団よ。しかもその大幹部は大陸間協議で全世界共通手配となっているわ。もっとも、数万お英雄たちをもっても倒せなかったと聞いてるわ。私の前まで仕えていたアスカもあいつらの後ろ盾を受けていたわ」

「おやおや。凶悪とは人聞きのわるぅーいことを言いますねぇ。……合ってますけど」

「……おい。さっさと戻ろうぜ。ウゼェ」

「同意、早急、帰還」

 仲間の言葉にヘイデベルンはちらりと頭上の俺を見るとにんまりと笑う。

「そうですねぇ。目的は果たしました。帰りましょう。アンタレクスの方々が待っています」

 そう言って、踵を返そうとする一行。

 すると、ヘルセーラが飛び出し、光線を放ちヘイデベルンに襲い掛かった。

「コウヤを! 返せ!!!!」

 

しかし、


ヘルセーラは見えない何かによってはじかれて地に落ちる。光線もその何かに遮断されて四散してしまう。

ヘイデベルンは笑う。

「御業の異行【拒絶】」

 すると、ユリアが雷の瞬間移動を利用し、一瞬にしてヘイデベルンの正面に距離を詰める。だが、

「断絶空間砕牙!」

 振り下ろされた獣人の斬撃が空間を裂き、ユリアのパンチは裂かれた空間にはじかれる。

「そんなっ!?」

「……ウゼェ」

 獣人は、がら空きとなったユリアにデコピンをする。途端にユリアは吹き飛び、工房の壁に突っ込み瓦礫の下敷きとなる。

「ユリア!!」

 アルスは声を上げるが、剣を握る手に何故か力が入らず、動けない。前を見ると、フードの小人がフードの下でにんまりと笑っていた。

 ユリアに駆け寄るユノ。はじかれたショックと謎の力によってアルス同様に身動きできないヘルセーラ。

「それでは、皆さん。またお会いしましょう。また、素晴らしき美を感じさせてくださいね。では……」

 そう言って、三人はコウヤを連れてゆっくりと闇の中に消えていった。


「コウヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 アルスの悲痛な叫びだけが、夜の村にこだまする。


 悪意の闇は、深い。



挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)



 はい。というわけで、次回から新章でございます。

 素敵な美を感じますねぇ(※私には髪があります。

 なかなか別の執筆作業に追われ、こちらに手が付かないのですが、ちまちまと執筆して頑張りたいと思います。実況動画の方も始めましたので、よろしければそちらもww Twitterをご覧いただけたら、そちらからいろいろと情報が分かると思います。

 そして、何より! 知らないうちにブックマークが増えておりました。本当に皆さんありがとうございます!!

 これからも頑張って書いていきたいと思います!!

 次回は、いつになるかはっきり公言できませんが、きちんと書くので待っていてください!!

 では次回に!!!!

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