第3話 ドキドキバレンタインデー
ん?今朝から男子諸君がそわそわしているが、何かあったんだろうか?
『シルフィー、何か事件でもあったのか?』
あ、ちなみにこの『』は俺とシルフィーの念話。つまりテレパシーだ。それと、このバカ天使は”学校に連れて行かないと家を爆破しちゃいます!”という、物騒な事言い始めたので泣く泣く連れて行くことになった。
『大輝さん、思考が筒抜けです。それに今日はバレンタインデーだからだと思うんですが…』
『そう言えば毎年この時期にそういった行事もあったなぁ。好きな人にチョコをあげるなんて日本限定の行事なんだが…。』
『恋する乙女を一番強くするのがバレンタインデーなんです!!自分が義理チョコ程度も貰えないからってこの神聖な日をバカにしないで下さい!!』
『お前サラッと世のモテない男性を敵に回すような発言したんだぞ。』
『念話は他人には決して聞こえません。大輝さんが散々頼み込んでくるから仕方なしに契約して使えるようにしてあげたんですよ。』
『いや…読者の方々だって…。』
『ヒィッ!!』
バカ天使シルフィリア嬢は何を見たのか恐怖の表情で消えてしまった。邪魔な奴が消えてスッキリした気分で登校できるぜ。ったくバカ天使が言えに来てからというもの食事に関しては感謝しているんだが、ダラダラと夜遅くまでテレビを見てはしゃいだり、朝は変な起こし方したり迷惑極まりない。そもそもだな、俺がこ……。
「朝から何難しそうな顔してるんだい?」
「別に〜。色々考えてただけ。」
「チョコの個数とかでしょ?」
「バカなことを言うな。そんなアホらしい行事に付き合っている暇はない。」
「珍しいね。毎年僕が言わないと覚えてないのに。さては気になる女の子でもできたの?」
「いるわけねぇだろ?俺は一生そういったものとは無縁なんだよ…。」
「Mな子とかは大輝にメロメロだと思うんだけど。」
「そいつは変態で俺には変態の趣味はねぇ。よって俺には女が寄りつかない。証明終わり。」
「やっぱ理系志望は考えが堅いね。」
「…そういうお前も理系だろ?」
「だねwそれよりも、問題は靴箱を開ける時だよ?毎年のことなんだから分かってるでしょ?」
俺は長年の付き合いから友樹の言いたいことを察知した。つまり、靴箱を開けた瞬間に流れ落ちるチョコをなんとかしなければならないのだ。ちなみに、なぜか毎年俺の靴箱に友樹宛のチョコが入っている。そして、他の男子の痛々しい視線と期待に満ちあふれる女子生徒諸君のまなざしも付いてくるのだ!
「一つも漏らさないように下にカバンを設置してはどうだ?」
「それ去年も一昨年もやったよ。漏れて大変な事になったの覚えてない?」
そう言えば落としたチョコをどっちが先に触るかで大変な騒ぎになった。触れたチョコの持ち主はなぜか気絶したし、触れて貰えなかった方はなぜか意識不明の重体で三日間病院に寝泊まりした。そんな事があって校長とかに”へたに彼女たちの感情を揺すらないで欲しい”と中学時代に言われた。高校ではどう対応するのか楽しみではあるが、面倒なことになりそうなので言い解決方法を思案するか。
あれこれ考えているうちに、とうとう魔の時が来てしまった。
「大輝は先にあけなよ。」
「イヤだ。お前が先に開けろ。」
「僕もイヤだよ。」
「………。」
「………。」
「なぁ。」
「ん?」
「開けないってのはどうだ?今日一日は来客用のスリッパ履いて過ごそうぜ。」
「名案だね。」
まず第一の試練はクリア。続いて第二の試練が…orz
「何コレ?」(注:友樹
机の上には大量のチョコ、チョコ、チョコ!!もちろん机の中にもギッッッッッシリ詰まっている。チョコに触れてしまっては死人が出そうな雰囲気が辺り一面に広がっていたので俺は隣の奴の机と交換した。登校してきたらこの奇怪な現象にぶっ倒れるだろうが、俺の身を守る犠牲だ。が…、男子諸君の視線が痛々しすぎる。無数の視線というナイフが幾重にも俺の精神を切り刻んでいく。痛い…痛いよ、ママ…。
『凄い量のチョコですねぇ〜。大輝さんモテモテ☆』
頭を抱えて悩んでいた俺に救いの天使が光臨した。
『シルフィー頼む!友樹に行くはずのチョコがなぜか俺にまで回ってきているんだ!全部消してくれ!』
『何言ってるんですか。コレ全部大輝さん宛じゃないですか?』
『毎年のことだから分かってるんだよ。友樹の机の上に乗りきらなかった分が俺に来ているんだ!!』
『乙女の恋心をズタズタになんか出来ませんよ〜。』
『この悩みを解決したら善行ポイントが加算されるんじゃないのか?』
『こんな小さな悩みでは善行ポイントなんて溜まりませんよ。魔法使うだけ無駄です。それに念話していると私の魔力が削られるんですよ?』
『関係ねぇえよ!!!さっさとこのチョコを消し…。』
あ、あの野郎…。念話の接続を切りやがった(怒)
「林くん…。」
ふと顔を上げると委員長がいた。
「委員長も友樹目当てかよ。俺はそういうのことはしないんだ。自分で渡してくれ。」
なんで俺が友樹のチョコを渡さねばならんのだ。ったく、毎日、毎日声を掛けてくると思ったらこの日のための布石だったのかよ。
「私は大森くんじゃなくて…。」
「もういいって。朝から疲れてるからさ。どっかいってくんね?」
「…分かった。」
これだけ冷たくあしらっておけば二度と俺に声を掛けてこないだろう。
「大輝さんひどくないですか?」
いつの間にか背後にシルフィーがいた。さっきは忽然と姿を消していたというのに…。少しばかりその身勝手な行動について説教をしてやらねばならんな…。
「言い訳は聞きたくありません!委員長の気持ちに気付いているんでしょう?!」
「友樹が好きで俺に近づいてくるんだろう?分からない程俺はバカじゃない。」
「本気でそう思ってるんですか?」
「あぁ、魔法で何でも使って俺の心を覗いてみろよ・」
「人の精神に介入する魔法は使えないんですって!使えたら苦労しませんよ。」
「お前がいうセリフかよ。」
「誰か言うセリフなの?」
友樹が不信な目で俺を見てくる。
「モナ・リザに向かって話すなんて…末期だね。」
哀れみというか、絶望的というか複雑な表情で俺を見てきやがる。まぁ、一般人にはバカ天使の姿が見えないので勘違いをするのも仕方がないことだ。と、問題の元凶はまたしてもいなくなっていて、マジでモナ・リザに話しかけていたのか…。
「やめろ。その事これ以上いうんじゃねぇ…。」
「今モナ・リザが大輝に向かってウインクしたよ?」
「重症だな。いい精神病院を紹介してやろうか?」
「僕より大輝が先に入院させられると思うんだけど。」
あのバカ天使が来てからと言うもの、俺には悩みが絶えない…。
下書きは第10話でネタ切れ…。
どうしましょう…。
下手したら、終わりに掛けだしてしまうかもしれません。汗
皆様のアイデアを下さい。お願いしますm(_ _)mペコリ