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第一話 占い少女は天使さん?!

本作品、執筆にご協力頂きましたnekomate様、主人公の参考にさせて頂きました友人Hに多大な感謝をしております。

 冬、雪舞う2月。俺は憂鬱な曇り空を見上げながら繁華街を歩いていた。寒い中、手を取り合う男女は別の意味で暖かそうであった。そんな中、廃ビルの前に手相占いをしている少女がいた。そんな怪しげな商売人でも冬の寒さには負けるだろうと腹をくくっていたのに、少女は平然と客待ちをしてる。余程、金に困っているのだろう。

 色々考えを巡らせていると少女は俺の視線に気づいたようで笑いかけてきた。

「お悩みの様ですね。占って差し上げましょうか?」

 同情から来た行動だったと思う。バイトの収入で比較的財布が暖かかった俺は、少女の目の前に座った。普通、こういうのは少なからず通行人の目を引く物であるが、不思議なことに誰もこちらを観なかった。

「何についてお悩みですか?」

「あんた。」

「え?」

 そりゃ、いきなり初対面の人間にそんなことを言われたら驚くのも当たり前だろう。俺としたことが浅はかな考えだった。

「こんな寒い時期に何で占いなんかやってるんどうろうって考えてた。」

 スグに表情を変えて笑いながら返事をしてきた。ポーカーフェイスは職業柄、得意と言うわけだ。

「たくさんの人の悩みを聞いてきましたが、あなたの様な人は初めてですよ。」

 当たり前だ。こんな奴は俺くらいしかいないだろう。

「私はですねぇ、占いを趣味でやってるんですよ。」

「趣味?」

俺は彼女の考えがイマイチよく分からなかった。

「はい。皆さん様々な悩みを抱えていらっしゃいます。それを私のアドバイスで楽に出来ることに喜びを感じているんです。なので、占いは名ばかりで正しくは悩み相談っと言ったところでしょうか?」

 笑みを崩さず、机に上に置かれている角材をそっと触れている。

「その年で凄い趣味を持っているんだな。いくらだ?」

「代金は頂けませんよ。」

 驚いたように手を振っている。こんな少女でも中身はしっかりしているようだ。

「悩みを解決して貰ったんだ。礼をするのが道理っていうものだろう。」

 占い何て今回が初めてで相場なんて全く知らなかった俺は5000円札を老いて立ち上がった。少女は静止の声を掛けてくるが知ったこっちゃ無い。人の群れに紛れ込んでしまえばそれまでだ。


 俺は妙な気分に浸りながら、繁華街を抜け駅に出た。

「遅いよ、大輝。」

 女性達の眼を惹いていた男が俺の方に歩み寄ってきた。コイツは俺と同じ市内の私立高校に通う1年で、小学校からの知り合いだ。自分で言うのも何だが、俺は無愛想なタチで友人なんか作ろうと思ったこともないのに、コイツは無駄に絡んでくる。

「週一日しかないこの貴重な休みをどうしてお前に付き合わねばならんのだ?」

「ブラックジャックで負けた罰ゲーム♪」

 そう、昨日学校で敗者は勝者の言うことを一回だけ、何でも実行するというルールで勝負することになった。俺はキングと9、2のカードを所有し、絶対的な勝利を確信していたのにも関わらず、友樹コイツジャックエースの最強無敵・ブラックジャックの役を出して勝利したのだ。その後、家で病んだのは秘密だ!!

「くっ…。」

 言い返すことが出来ず苦虫を噛んだ表情をしている俺を見て、満足そうに笑う友樹。女性達の黄色い声なんて俺は聞こえていないぞ。

「ゲーセンでも行くか。」

「ゲーセンなんて一人で行けよ。俺はいなくても大丈夫だろう。」

 チッチッチッと指を振る。キザっぽいのは大っ嫌いだ。

「大輝は大いに輝くお守りとして機能するのだよ。」

「人の名前を勝手にいじくるなよ。それにお守りってどういう意味だ?」

「愚問だね。待っている間に何人の女性から声を掛けられたことか…。大輝はいれば僕に声が掛かる率がぐーんと減るのさ。君に流れるからね。」

 はぁ?俺に流れる?何の話をしているんだ?

「お前に声が掛かるのは分かるんだが、どうして俺なんだ?」

「自覚みたいだね。大輝は地味な格好してるけど、かなりのイケメンなんだよなぁ〜。その曲がった性格をなんとかすれば絶対に彼女ができるよ。」

「女を取っ替えひっかえしてるような奴に言われても説得力が無いな。」

「そんなことよりもこの状況はまずいね。さっさと移動しようか?」

 友樹との会話に白熱してしまうとは俺としたことが…。駅前の広場にいる俺たちは地理的好条件もあってた、アイドルの撮影会よろしく多数の女性達に囲まれて写真を撮られていた。この包囲網の突破が容易ではないことは昔からの経験で熟知している。比較的人が少ないポイントを狙い俺は単身特攻をすることにした。彼女らの狙いは友樹。囮になって貰おう。

「助け…。ぎゃぁあああ。」

 力の均衡が崩れると獲物を狙うライオンのごとき勢いで殺到する女性達。罰ゲームで俺に友樹が科したのは”明日、1時に駅にくること”なので、助ける義理も義務もない。明日学校でネチネチ文句を言ってきても俺は約束を守ったんだから無問題。……帰ろ。


 俺の家は繁華街から少し遠い住宅地にある。両親は会社を経営していて海外にいる。んでもって兄弟もいないので俺一人というわけだ。毎月、高校の授業料と生活費を振り込んでくれているのでなに不自由なく生活していけている。

 そんな矢先、俺の家の前には見慣れぬ人影。ご近所さんでもなさそうだし…。ゲッ、占いしていた少女がなんで?!

「待ってました。」

待ってただと?!

「な、なんで俺の家を知ってるんだ?!」

 人生で一度有るか無いかの不思議体験。どもるのは当然だよ、諸君。

「外でお話しするのもアレなんで中に入りましょうよ。長くなると思いますし。」

 アレってなんだよ。アレって!!しかも自分の家みたいに言うなよ。俺の家だぞ、ここは。

 俺は少女から放たれる見えない重圧に逆らうことは出来ず渋々、渋々家の中に招き入れた。

「男性の一人暮らしってこう…グチャーっとしてて、ゴッキー目撃なんて日常の1コマだと思ってたんですけど、案外キレイなんですね。」

 何気なくすんごいこと言ってないか?お前。

「いつの時代の話だよ。男でもそんな家になんざ住みたくねぇよ。」

「ほへ〜。」

 聞いているのかどうか分からない曖昧な返事。腹立ってきた。

「で、何に用だ?」

「そうでした!!私は下級天使のシルフィリアです。階級を上げるのに善行をしなければならず、下界に降りて占いをしていたのですがあまり善行が出来なくて困っていたのです。そこにたまたまあなたが通りかかり、かなりお悩みのようだったので解決しようと家の前で待っていたのです。」

 はぁ?天使?階級?善行して階級上げ?警察に頭のおかしい少女が家にいるって通報しようかな?

「私の頭は正常です!」

 机をバンッと叩き、肩を怒らせて言うシルフィリア。つーか人の思考を読むなよ。

「私のことはシルフィーで構いません。それと作者が都合上、思考を読まさせました。」

 う〜む、作者よ。後でたっぷりとお仕置きをしたやるからな。

「お前…あぁ、シルフィーの目的は分かった。だが、何で俺なんだ?」

「恋に関する悩みを大輝さんが抱えていらっしゃるからです。解決すると善行ポイントが大幅に加算され、上級天使にまで飛び級出来る上に、”恋のキューピット”の称号まで手に入るんです!!それにこの悩みは私にしか解決できません。」

 最後の言葉はよく分からなかったが、コイツは自分の野望のために動いているのがよーく分かった。

「俺には不利益になることはなさそうだし…。」

「では、了承していただけるんですね?良かったぁ〜。4日ぶりに暖かいフカフカのベットで寝ることができます。」

「待て、ここに住むつもりか?」

「そうですけど?」

「許さんぞ!!」

「魔法で大輝さんの事は調べてあります。それに私、見かけより生きてますよ?」

 なるほど、魔法を使ったから家の位置が分かったのか。納得、納得。って

「魔法が使えるなら何にも困らないだろ?出て行け。」

「私が下級天使と言うこともありますが、下界での魔法使用は結構制限されているんですよ。それに物理的なことは出来ても精神に介入するようなこととかは無理です。」

「不便なんだな。」

「と、言うわけでお母様の寝室をお借りします。隣の部屋だからと言って変なことはしないで下さいね。」

「誰がするか!!」

 今日は厄日だ。こんな天使が降りることを許可した神よ!俺は絶対に許さないぞ!

 そう言えば作者のお仕置きがまだだったな。うひひ♪

 風通の住宅にはない防音の地下室に連れ込まれた作者は……その夜、イイ声が家の中に響き渡った。

本格的なラブコメは初めてです。つなたい文章ですが最後までおつき合い頂けるよう、心からお願い申し上げます。


なお、タイトルは仮題であります。小説ネタと同時にタイトルを募集致しております。

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