ナンバー4の軌跡
代々続く名門武道家の長女として育った私は、家族や親戚から大きな期待を受けて育ってきた。私には、血筋があり才能があった。10歳でモンスターハンターズメンバーに登録し、12歳でトップ10入りを果たした。トップ10入りを果たすと、ニューヨークの本拠地での活動が主な仕事となる。私は日本を離れ、モンスターハンターズの拠点が私の世界となった。
たったの2年でトップ10入りを果たした私は、すぐにナンバー1になれると信じて疑っていなかった。実際に、私はナンバー4までは苦労なく上がる事が出来た。しかし、そこから上には全く上がれなかった。何故なら上位三名の戦歴、実力ともに、私の遥か上を行っていたからだ。
ナンバー3、金色のリュウ。上に這い上がる為に、私はリュウと公式な試合を行った。試合形式は、凶暴な生物が蔓延る地区での生物討伐数を競うものだった。私には勝算があった。この試合、穴があった。凶暴生物の強さなどは考慮されず、数のみで勝敗が判断されるのだ。つまり、比較的倒すのが容易な生物を倒して行けば数を稼げる。そして私は凶暴生物学を専攻しており、弱い凶暴生物を見分けるのは容易だった。
「絶対に勝てる」
そう自分に言い聞かせて、試合は開始された。
結果、私は一時間で30体討伐。リュウは倍の60体討伐だった。
「一分に一体討伐ってどんだけよ……それに」
私は小物30体を討伐しただけ、だけどリュウは危険レベル最大に指定されている筈の超凶暴生物達を60体討伐していたのだ。
「この地区には、超凶暴生物が60体しかいなかった。雑魚はお前達弱小ハンターに残しておかないと、色々と煩いからな」
汗一つかかず余裕のリュウの発言を聞いて私は到底敵わない事を悟った。
「これが上位三名の実力なのね。私達四位以下と差がありすぎるわよ」
私が呆れ気味に言うとリュウは同じく呆れ気味に答えた。
「よく上位三名という言われ方をするが、ナンバー2のカナタからしたら俺を赤子同然に捻られる程、実力差がある。そしてカナタから聞いた話では、ナンバー1はそもそも次元が違うらしい」
私は信じられないといった表情でリュウの話しを聞いていた。
それから三ヵ月後、リュウ・カナタ・ナンバー1(名称不明)の三人は凶暴生物が生み出され、神凶暴生物と呼ばれる凶暴生物達の親玉が存在しているとされる魔界地の調査に向かった。その翌日、あの事件は起きた。
モンスターハンターズ本拠地襲撃事件である。
つづく