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魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
出会い
6/77

【04】

 なんだろう…………

 腹部あたりが妙に重い……

 深い眠りから、そんな違和感を感じながら俺は目覚めた。


 見覚えのない天井……

 徐々に自分の身に起きた出来事を思い出して行く……


 そして、夢だといいなと思っていたが、やはり夢じゃないらしい……


「そう都合よくならないよなぁ〜」


 呟きながら重く感じた腹部の方へと目を向けると、ウォルガフが何故か大の字で涎を垂らしながら気持ち良さそうに寝ていた。

「何故? 俺の身体の上で!!」

「ん〜っ……」

 と言いながら転がり回るウォルガフ。


 コロンコロン……

「うおっ! 危なっ!!」

 ウォルガフは、ベットから落ちそうになっていた。

 気がつけば、慌てて服を掴み取り落下を防いでいた。


「ふぅ〜」

「んっあっ……リュウイたんおはよう……」

「あぁ、おはよう」


 眠たい目を擦りながらウォルガフは、両手・両足を動かしながら踊り歌を歌い初めている。

「あっさごは〜ん♪ あっさごは〜ん♪」

 どうやら、自分の準備はとっくのとうに終わり、俺の準備を待っているようだ。



 下に降りカウンター席に座り朝食を待っていると、ウォルガフはフォークとナイフを持ちながら再び歌を歌いだした。

「まぁ〜だかなぁ〜、おいちぃご飯はまぁだぁかなぁ〜」


 ふむ、間違いなく幼稚園児だな……


 出てきた朝食は、フランスパンくらいの固さのパンに、じっくりと煮込まれた野菜たっぷりのシチュー。

「うまい!」

「おいちぃでちゅ!!」


 ウォルガフが三杯ぐらいお代わりした所で、俺は流石に止めた。

 他の宿泊している人たちの食べる分が、このままでは無くなってしまう……

 ぶぅ〜と膨れ顔をするウォルガフを連れ、宿屋汐音(しおね)を後にしたのであった。




 まずは、防具屋だ。

 大きな盾を掲げている建物の中へと入って行く。

「おっちゃん! おはようでちゅ!」

「おぉ、おはようさん。早いな」

「おはようございます。

 早速なんですが、出来上がっていますか?」

「あぁ、出来ているぜ。

 だがよ……見せる前に言っておくが結構いい値するが、今更払えません。

 は、なしだぜ。(あん)ちゃん」

「はい、わかりました」


 多分、大丈夫だろう。


(あん)ちゃんの特製オーダーメイドはこれだ」

「おぉ〜でちゅ〜」


 おっちゃんが見せてきたのは、何の変哲もないない灰色のローブだった。

 これでいい値がするのか?

 と不思議に思っていると、どうやらローブはLevel.1の俺が装備出来るのはこれしかないから、仕方がないらしい。

 ローブではなく、問題なのはローブに付加されていた能力との事だ。


 付加された能力は『経験値アップX』と『防御力アップX』だった。

 ゲームの時にはなかったのだが、武器や防具には能力を付加する事が出来るらしい。

 能力はIからXまであり、lが一番ランクが低く、Xが一番ランクが高いのである。

 ランクが高ければ高い程能力も高く、それに見合って希少価値も高く値を張り、白金貨一枚出しても手に入れる事が出来ない能力もあるらしい。

 おっちゃんが用意してくれた『経験値アップX』は、例えば経験値10しかくれない所を、『経験値アップX』の場合、経験値1000くれるとの事だ。

 後、Level.1の俺でも『防御力アップX』はLevel.50ぐらいの防御力を誇るとの事だ。

 これがLevel.1ではなく俺の持っている防具に付加したら頑丈なローブが出来上がっていた事だろう。


「というわけで二つの能力付加して、しめて金貨5枚。払ってもらおうか」


 金貨5枚と言う事は、えーと……500Gか……


 よゆーよゆー


「銀貨でいい?」

「あぁいいぜ」


 おっちゃんに500G、いや銀貨500枚。耳を揃えて払い早速着て見る事にした。

「ふむ……」

「リュウイたん、かっこいいでちゅよ!!」

 ウォルガフに褒められてもなぁ〜

 Level.1で装備出来る、変哲もない灰色のローブだし……


「毎度あり〜」

 おっちゃんも機嫌がいい。

 俺が本当に払えるのか半信半疑だったのだろう……

 金貨5枚……


 この世界の人たちにとって、どれだけ大金なのだろうか……


「あっあの質問なんですけど……」

「なんだ?」

「このローブに付加された能力は、別な服に移す事って出来るのですか?」

「それは出来るがよぉ〜(あん)ちゃん。

 そのローブに付加されている物、事態が超レアだから付加しなおすとなると、また金貨5枚必要になる」

「なるほど……」

「金あるのかよ??」

「いやぁ、これから武器もオーダーメイドで頼んでいるので、それでお金尽きますのでまた貯めますよぉ〜」

「そうか、まぁ頑張れや」


 少しホッとしながらもおっちゃんは、俺たちを見送ってくれた。


 よし!

 次は武器屋だ!!



 武器屋では、これまたLevel.1で装備出来るどこにでもある木で出来た杖だった……

 俺が持ちやすそうに改良されているぐらいで、特色も何もなかった。


 ただ木の中心に空洞を作り、その間には常に魔力を溜め込みやすいようにミスリルと言う金属を流し込まれていた。

 そして、赤く綺麗な宝石……

 宝石もXまであるそうだが、流石に在庫がなかったらしい。

 無難な、魔法攻撃を二倍までに高めてくれる宝石を着けてくれた。

 それでも、金貨3枚必要だったけど……

 ミスリルが高いとの事だ。

 アイテムボックスにミスリル沢山あるんだが……


 金貨8枚……800Gで俺はLevel.1にして最強装備とまではいかないが、いい買い物が出来たと思う。


 杖を持ち、ローブを着ている俺は立派な魔法使いだ。

 ウォルガフも喜んでくれている。


「なぁなぁ、ウォルガフ……?」

「なんでちゅか?」

「金貨1枚は、ゲーム時代で言うと100Gだろ?

 でも、この世界で金貨一枚はゲームで言うと、いくらぐらいの価値になるんだ?」

「えっ〜とぉ〜金貨一枚で10m……つまり1000万Gでちゅね!」

「と言う事は、俺……8000万G使って事か!!」

「そうでちゅ〜♪」


 そうでちゅじゃねぇ!!


 これがゲーム時代だとしたら、俺は五分の一の財産を使った事になるじゃねぇか!!

 価値が変わってて良かった……


 ウォルガフはクルクル周りながら、ご飯の歌を歌っている。

 さっき食べたばかりなのに……またご飯かよ……

 まぁ、まだまだお金にはかなりの余裕はあるし、これから依頼をこなしながらお金を蓄えれば、簡単に使い切る事はないだろう……


 そう考えながら、次の目的地である冒険者ギルドへと向かうのであった。




 冒険者ギルドに入ると真っ直ぐウォルガフは、左側にある酒場の方へと向かっていく。


 朝ごはん三杯もおかわりしておいて、まだ食べるのかよ!!!


 どれだけ大きな胃袋なんだろう。

 と思いつつ右側にある受付へと歩いていく。


「おはようございます。ギルドカード受け取りに来ました」

「あっおはよう、リュウイさん。ギルドカード出来ているわよ」


 受け取ったギルドカードは、普通のカードと同じぐらいの大きさだった。

 そこには、名前、ランク、Level、バーティー名などが浮かび上がっていた。

「身分証も兼ねてあるから失くさないでね。再発行は面倒くさいから」

「はい」


「じゃ、早速依頼受けてみる?」

「そうですね……あっ、でも先にウォルガフとバーティー組んだ方がいいかな?」

「その場合は、ウォルガフの方がLevelもランクも高いから、ウォルガフがバーティー申請しないとダメね」

「わかりました。ウォルガフ呼んできますね」

「ねぇ、リュウイさん……」

「はい?」

「ウォルガフとあなた……一体どういう繋がりなの?」

「えっ?」

「だってウォルガフが人を連れて来るなんて……」


 今までなかったのか……


「以外と面倒見もいいでしょ?」

「はぁぁぁ??」


 どこがぁぁっ!?

 我儘だし……

 無鉄砲だし……

 落ち着きがないし………

 むしろ、俺の方が面倒見ている!?


「それに、リュウイさんといるウォルガフは、なんだが楽しそうだわ。

 だから、どういう繋がりなのかな? って思って……」

「………えーと」


 一緒に魔王を倒す仲間?

 手のかかるお子ちゃま?


 どれも言ったらやばそうだな……


「ウォルガフは、俺の命の恩人ですよ」

「命の恩人?」

「えぇ、誕生した時……右も左も分からず俺は彷徨っていました。

 そんな中……俺の身が危険に晒されたんですよね。

 その時、ウォルガフが颯爽と助けてくれました。

 それ以来、ずっと一緒にいますよ」

「そうなんだ……」


 うん! 嘘はついていないぞ!


 更に質問されそうな勢いだった為、逃げ出すように酒場の方へと歩いて行く事にした。



 ウォルガフは、大量に食べまくっていた。

 これでもかってぐらいに……


 流石にその姿には、呆れてしまった。


「ウォルガフ……」

「んっ?」

「お前……食べ過ぎ………」

「ここのご飯は、おいちぃでちゅからね!!」


 いやいや、そうじゃなくて……

 全く、よく食べれるよ……


「カードは、もらったのでちゅか?」

「んっあぁ……バーティーを申請しようと思ったら、俺じゃダメなんだとさ」

「そうでちぃたね! わかりまちた、ぼくが申請してくるでちゅ」



 椅子の上から飛び降りるかのように降り、ポテポテポテッ……と腰を振りながら歩き出すウォルガフ。


 かっ可愛いかも……



「お姉ちゃま、リュウイたんとパーティお願いしまちゅ〜」


 ジャンプしながら話しかけるウォルガフ……


「じゃカード出してね」

「は〜い」


 だから、カウンターに届いていないって……


 ウォルガフは懐からモゾモゾと探し出し、カードを差し出そうと背伸びをしている。

「とっ……届かないでちゅ……」


 代わりにカードを渡してしまった……



「えっとパーティリーダーがウォルガフ、メンバーにリュウイさん。

 これで登録しておいたわ。

 パーティ名決められるけど、何がいいかしら?」


『剣と魔法と魔王』

 ウォルガフと同時に、その言葉を発した。

 息は、ぴったりだな。


「これで、完了よ。それじゃ依頼は何にする?」

「うんとねぇ〜リュウイたんのLevelをパパッ〜と上げたいでちゅ。

 だから、経験値報酬が一番多くて沢山敵が出る依頼がいいでちゅ!!」

「ん〜そうなると、ドラゴンとゴブリン掃討かな〜」

「それでいいでちゅ」

「いや、ウォルガフが良くても。リュウイさん死んじゃうわよ?」

「大丈夫でちゅ! ぼくがそんな暇、与えまちぇんから!」


 その自信はどこから来るのだろうか?

 まぁ、そこらへんは俺にはわからないから、ウォルガフに任せよう。


「達成できませんでした。

 じゃすまない依頼なんだけど……本当に大丈夫かしら?」

「はいでちゅ!」

 お姉さんは、俺の方へを向き困った顔をしている。

「まぁウォルガフがそう言っているし……いいんじゃない?」

「……わかったわ。リュウイさんいい? 絶対死んじゃだめよ!?」

「どっ……努力します……」


「じゃ、二人ともギルドカード出して」

 言われるがままカードを渡すと、依頼の手続きをし始めた。


「はい、出来たわよ」

 そう言われ受け取ったギルドカードには、文字が刻まれていた。


 ================


 名前:リュウイ

 ランク:F

 Level :1

 バーティー名:剣と魔法と魔王

 パーティリーダー:ウォルガフ

 依頼:現在進行中


 =================


 名前:ウォルガフ

 ランク:S

 Level :200

 バーティー名:剣と魔法と魔王

 パーティリーダー:ウォルガフ

 依頼:現在進行中


 =================


「じゃ行くでちゅよ!!」

「おっおう!」


 冒険者ギルドを後にした俺たちは、街の入り口へと目指す……

 目指すは、ドラゴンとゴブリン掃討。

 街から一時間ほど歩いた山頂にドラゴンはおり、その周りをゴブリンが徘徊しているらしい。


 ゴブリン……ウォルガフと同じく魔物だけど、喋るのかな……?







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