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魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
出会い
3/77

【01】

現在ウォルガフは、猛スピードでリュウイの元に到着しようとしています。

 俺の知っている《剣と魔法と魔王》世界はこんな世界ではなかったはず……

 そもそも、俺とハグが魔王の元に行って殺されてから、教会で復活するまでそんなに日にちは経っていないはず……

 なのに……何故?

 廃墟しか残されていないんだ……?

 ここには街があって……プレイヤーたちが沢山いて……


「ハグ……お前は今どこにいるんだ……?」

 空を見上げながら、そう呟くも返答が変わってくるはずもなかった。


「……」


 空高く飛んでいるモンスターの声が聞こえてきた。


「おいおい……あんなのゲームの中にいなかったぞ……」

 翼竜は確かに存在していた。

 でもそれは、プテラノドンとかガーゴイルなどと言った雑魚モンスターだ。


 俺の上空を旋回しながら飛んでいるモンスターは、見た事もない全く別な翼竜モンスターであった。

 興味深くみていると、モンスターの名前が表示されてきた。


『ケツァルコアトルス』Level.158


 その他の詳しい情報は表示はされなかったが、俺にはそれだけで十分だった。


 だって、ケツァルコアトルスが急降下しながら俺を襲って来たんだもん!!

「やっやべぇ!!」


 慌てて教会から走り出し、廃墟と化した街中を駆け抜ける。


「うわっうわっ! くるなぁっ!」


「シャァァァァァ!!」

 ケツァルコアトルスの口から吐き出された炎によって逃げ場を塞がれてしまう……

「!!」


 あっそうだっ、魔法! 魔法だ!!


 システムメニューを開きながら、魔法画面を選択する。

『現在、魔法は覚えていません』


「ぬおっ!」


 Level.1だからか……

 ならば装備だ。取り敢えず一撃死だけは避けよう!!


『Level上限が合いません。Levelを上げて下さい」


「!!」 


 しまった!

 初期装備系は、全て倉庫に保管してあった!!


「……」


 Level上げる前に殺されるって……!


 そんな事を考えているとケツァルコアトルスは、爪を立てながら上空から俺の背中と言わず身体ごと掴み取っていく。

 俺の身体は宙に浮いていた。


「やばいって、これはっ!!」


 魔法も使えない、武器も防具も何も装備出来ない物だらけ、爪の中で暴れる事しか出来ず……

 逃げ切る事は不可能だった。


「どっどうしょ!?」


 スパーーーンッ!!


 と、閃光のような音と共に一本の光が、ケツァルコアトルスを斬りさいていた。

 悲鳴を上げる事なく、気絶したケツァルコアトルスは地面へと俺諸共急降下して行く……




「いてぇ〜」

 堕ちたケツァルコアトルスは、ぐったりとして動かない。

 その隙に爪から抜け出し、巨大な翼竜に俺はビックリしていた。


 白色の身体に翼を広げると多分十m以上あるだろう……

 どこに連れて行くつもりだったのか知らないが、ロクな事にはならなかった事だろう……


「はぁはぁ……取り敢えず、助かったぁ〜」


 しかし、一撃でツァルコアトルスを倒す攻撃力一体誰だろう……?


「やれやれ、こんな所にいたのでちゅね?」

「???」

 声が聞こえてきた。

 しかし、俺の周りにはツァルコアトルスが倒れているだけで、誰もいなかった。


「もっと下を見てくだちゃい」

「???」

 言われるがまま目線を下に下げる。

 するとそこには三歳児ぐらいで、 二頭身。

 細かく逆立った金髪の髪……

 そんな子供がいたのである。


「迷子……?」

「違うでちゅ〜!!」


 子供は怒りながら地面に落ちていた石を拾いながら、俺目掛けて投げつけてきたのである。

「いてっ!」

「これでもぼくぅは、二百歳でちゅ!!」

「にっ、二百歳??」

「そうでちゅ! ステータス画面を見てみるといいでちゅ!!」


 言われた通り興味深くみていると、目の前にいる子供の名前が表示されてきた。


 ーーーーーーーーー


 名前:ウォルガフ

 種族:フォス

 Level.:200

 JOB:剣士

 武器:魔王の大剣


 ーーーーーーーーー


「Level.200??」

「二百歳でちゅ!!」

 なるほど、Levelが歳になっているのか……

 それにしてもこいつ……

 背が小さい癖にLevelが異様に高いな……


「ウォルガフって言うのかな?」

「うん!」


 ふむふむ、どうやら表示されている情報は間違いではないらしい。


 更に驚くべき事にウォルガフの右手には、自分の身長よりも遥かに大きい大剣を握りしめていた。

 俺ですら、その剣扱える自信がないのにあの三歳児の身体でどうやって扱うんだ……?


「なんでちゅか?」

「いや、なんでもない……」


 口に出したら、あの剣で斬られそうだから言うのはやめといた。


「所でウォルガフは、どうしてここにいるの?」

「そうでちた。わちゅれていました。ぼくは、リュウイたんを探していまちぃた」

「探していた?」

「そうでちゅ」

「なぜ?」

「詳ちぃ話ちぃは、リュウイたんの家でするでちゅ!」

「俺の家?」

「家、持っていまちゅよね?」

「確かにあるけど……」

「早速行くでちゅ」


 ちゅちゅばかりで、うるさいな……


「ウォルガフ、俺の家知っているのか?」

()らないでちゅ。

 でもリュウイたんはマイホームに戻るアイテム持っていまちゅよね?」

「あっあぁ……」


 そう言いながら俺は、アイテムボックスから一枚の葉を取り出す。

 どこにでもありそうな葉を頭上へかざしながら、

「帰還!」

 そう唱えると葉の周りに光が集まりだし、景色が変わり始めて行く……


 一瞬にして、廃墟とかした街から別な場所へと移動を果たした。



 俺が使用した葉は、帰還アイテムと言う。

 登録した場所に一瞬で戻る事が出来る貴重アイテムだ。

 登録できる場所は三箇所……

 アップデート前には三箇所全て設定していたのだが、今はマイホームしか残っていなかった。

 どうやらリセットされているみたいだ。

 一度登録すると、大金を払わないと設定した場所はリセットが出来なかった為ラッキーだ。



 マイホームに着いたのはいいが、俺がβ時代から丹精込めて作り上げ……

 マイホームコンテストに何度も入賞し、外見を見に見学者が後を絶たなかった俺の家が………


 跡形もなく地面しか残されていなかった。

 ショックだった……

 呆然と立ち尽くす事しか出来なかった……

「……」


「何、放けているんでちゅか? ここはリュウイたんの家で間違っていまちぇんか?」

「んっあぁ……」

「なら、ぼくも入れるように設定ちて下ちゃい」

 ウォルガフに言われるがまま、家の前にある看板に手を触れる。


 システムメニューを開き、ウォルガフの入場可能に設定する。

 入場制限をしてあると、設定していないプレイヤー以外この土地に入る事は出来ない。

 設定しておかないと、知らないプレイヤーが勝手にアイテムを持ち去る事を防止出来る。

 いわゆる空き巣対策というものだ。

 確かに入場設定はフレンドのみにしていたから、ウォルガフが入れないのも当たり前であった。


 ーーーーーーーーー


 番地:77-7

 所有者:リュウイ

 現在の状況:土地のみ。(建物キット購入して下さい)

 入場制限:無制限


 ーーーーーーーーー


 取られる物なんて何もないし……無制限にしておいた。

「よし、これでいいよ」

「ありがとでちゅ!」

 何もない地面に足を踏み入れる。

 虚しかった。

 俺のマイホームはどこに……


 運営者よ……億単位の金を返せ!!


「さてと、では説明をするでちゅね」

「あっあぁ……その前に話は長いか?」

「当たり前でちゅ」

「そうか。なら、ちょっと待て」


 アイテムボックスを開きながら家具を探し出す。

 確かに、椅子を置こうとした所でメンテナンス時間になり、ログアウトしたからあるはず……


 あったあった……

 椅子を二つ置き、ウォルガフにも座って話してもらうように伝える……


「まず、ここは《剣と魔法と魔王》の世界(ちぇかい)で間違いないでちゅ。

 そして、あの日(・・・)を境に魔王ちゃまは復活し世界征服を企み次々と占領して行きまちた」


 ウォルガフの言うあの日とは、きっと大型アップデートの事なんだろうな……


「プレイヤーの皆ちゃまは、勇敢にも戦いま()たが、一人残らず魔王ちゃまにクリスタルの中に封印されてちまいまちた」

「封印?」

「そうでちゅ、今も魔王ちゃまの元で封印されていまちゅ」


「ウォルガフ、俺も魔王に殺されたんだぞ? なんで、クリスタルに封印されていないんだ?」

「それは、リュウイたんが、魔王ちゃまに最初(・・)に殺された者だからでちゅよ」

「あぁなるほど……」

 だから、あの時……

『あなたは魔王に最初に挑み殺された者として、特別特典があります。受けますか?』

 と、出たのか……

 特別特典ねぇ……


「それで、ウォルガフはなぜそんな事を知っているんだい?」

「ぼくは、魔王ちゃまに最後(・・)に殺された者として、特別特典をうけまちぃた」

「……ウォルガフの特別特典って何?」

「ぼくは、魔王ちゃまに忠誠を誓う種族として転生を果たちました」

「魔王に忠誠……?」

「そうでちゅ、だからぼくは魔王ちゃまに戦いは挑めません」

「へっ?」

「魔王ちゃまには刃向かう事は心が許しても、身体が動いてくれまちぇん。

 リュウイたんが唯一、魔王ちゃまを倒せる可能性のある……転生ハイヒューマンでちゅ」


「俺がただ一人の転生ハイヒューマン……?」

「そうでちゅ。皆ちゃまは封印されていまちゅので……」

「この世界は魔族しかいないと……?」

「はいでちゅ」


 うへ……まじかょ……

 いや、まて……

 落ち着いて、よく考えてみろ。

 そもそも、俺がウォルガフの話しを信じる根拠はどこにある?


「…………」


「……」




 あったよ……

 ここは俺の知っている《剣と魔法と魔王》世界じゃない……

 空は暗いし、魔物は頻回に飛んでいたし……

 それに、何より目の前にいるウォルガフの種族『フォス』なんていうの者は存在していなかった。

 三歳児みたいな二頭身、なぜかにへらぁといつも笑っている。

 そう考えると、ウォルガフの話を信じるしかないのだろうか?


 俺が魔王を倒す?

 一人で……?

 全てのプレイヤーを封印した魔王にか……?

 無茶だろ……

 それにLevel.1だし……


「なぁ、魔王は倒さないとダメなの?」

「今は魔王ちゃまは、リュウイたんの存在に全く気づいてはいまちぇん。

 でも、これから先……

 リュウイたんの存在に必ず気づくと思いまちゅ。

 そうなれば、魔王ちゃまは必ず刺客を送ってきまちゅ……」

「刺客を撃退する為にも取り敢えず俺は、強くならないとダメってことか……」

「そうでちゅね」


 武器も防具も何もないんだよなぁ〜


「ウォルガフ」

「はいでちゅ」

「魔王に会う事って出来るかい?」

「!?」

「遠くから、チラッとでいいんだ。

 俺と魔王の力の差を知りたい」

「魔王ちゃまに会うには、Level.50以上で初めて末端の席から拝見する事が出来まちゅ」

「ふむ、じゃ取り敢えずLevel.50目指すか……」

「了解でちゅよ」



「あっそうだ。最後にもう一つ……結局あの日から何年経っているんだ?」

「えーと、ぼくが転生を果たちゅまでの期間が約200年。

 転生してから旅に出るまで50年……

 Level200になるまでに250年かかりまちたから、ざっと500年でちゅね」

「ごっ! 500年!!」


 道理で……

 街が廃墟になっているはずだ……



 はぁ……ハグ……

 お前は、今もクリスタルの中で封印されているのだろうか……?

 俺は、お前を助けてやりたいが、今の俺にはお前を助けてやれるか自信がないよ……






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