御伽噺
完結目指してがんばります!!!駄文だけど宜しく!!
―――むかしむかし、今からずーとむかし………空から綺麗で大きな『星』が墜ちてきました―――
―――綺麗で大きな『星』を見た人たちは―――
「あれは神様からの贈り物だ」
―――みんな口をそろえて同じことを言いました―――
―――しかし、綺麗で大きな『星』は神様からの贈り物なんかではなかったのです………………なぜなら―――
ガオオオオオオオオオオオオォォォオオオォォォォオ!!!!!!!!
―――『星』からは誰も見たことも無い魔物が生まれ人々を襲いました―――
―――人々が魔物に襲われる中でも綺麗にそして妖しく輝く『星』は―――
―――魔物を生みだす『破滅の星』だったのです―――
―――そして『破滅の星』は人を滅ぼす為、たくさんの魔物を生みだしました―――
―――魔物の中には一際力が強く、まるで天変地異そのものといった六匹の魔物がいました―――
―――六匹の魔物は他の魔物と姿かたちも力も何もかも違っていました―――
―――全てを薙ぎ払う嵐の怪鳥―――
―――命の時を止める絶対零度の魔女―――
―――国をも飲み込む大海の蛇―――
―――大地を震わせ大地を裂く巨人―――
―――万物を灰に帰す煉獄の鬼―――
―――雷鳴と共に現れる皇―――
―――六匹の魔物はその強大な力を揮い、破壊と虐殺の限りを尽くしました―――
―――魔物の強大な力は天を震わせ―――
―――大地を裂き海を割り………そして………―――
―――一つだった大陸を7つに砕いたのだった―――
―――人々もその右手に剣を………左手に盾を持ち魔物と戦いますが―――
―――魔物の力には屈強な戦士たちも歯がたちません―――
―――人々は嘆き悲しみそして絶望しました―――
―――人々の絶望に呼応するかのように『破滅の星』の輝きは増していき、世界は闇に包まれました―――
―――人々が滅びの運命を受け入れ、ただ死を待つだけとなったそのとき―――
―――闇を切り裂きながら進む『流れ星』が地上にやってきました―――
―――『破滅の星』とは違い綺麗な輝きとは言えませんでしたが―――
―――その輝きは人々の絶望を切り裂き力を与える、暖かくそして力強い輝きでした―――
―――人々の絶望を切り裂き、人々に希望を与えた『流れ星』は魔物たちを切り裂きそして『破滅の星』をも切り裂いたのです―――
―――世界を包み込む絶望の闇を切り裂き―――
―――人々に希望を与えた『流れ星』は役目を終えたかのように燃え尽きたのでした―――
―――世界を救った『流れ星』を人々は感謝の意を込めてこう呼びました―――
―――『救世の流星』と―――
◇◆◇◆◇◆◇◆
「………『そして世界は『救世の流星』のおかげで平和になったのでした』………………めでたし、めでたし」
「ママ!もう一回よんで!」
「こらナナリー………もう寝る時間だろ?」
見るからに高級な家具が揃えられたリビングのソファーには、亜麻色の髪の女の子ナナリーとナナリー挟み込むようにして座る両親がいる。
両親の名前はアーロン・シュトラウスとヒルダ・シュトラウスといい、父親のアーロンは医療機器メーカー界としてトップを走るシュトラウス財団のトップであり、そして妻のヒルダと共にこの世界で知らないものはいないと言われる考古学者でもあるのだ。
そんな彼らには10歳の息子のレナードと4歳になる娘のナナリーの二人の子供たちがいるのだが、仕事の関係上家を開けることが多く子供たちに寂しい思いをさせているという思いがある。そのため、たまの休みの一家団欒を大事にしているのだ。
今回は珍しく二人の休みが一緒に取れたのだが、息子のレナードは学校のサマーキャンプに行っているため娘のナナリーのおねだりを聞いているのだった。そのナナリーはいつもあえない分甘えており、今も母親のヒルダにもう一度絵本を読んでと頼んだのだが、反対に座っている父親アーロンに駄目だと言われナナリーは「まだ眠くないもん!!」と言って頬を膨らませながらはアーロンをしばらく睨みつけていたが、急に顔の筋肉が緩み大きな欠伸をしてしまった。欠伸をしたあとハッとして手で口元を隠すようにするナナリーを見てアーロンたちはクスリと笑い声をこぼした。
「パパッ!!ママッ!!」
「あ、ああゴメンよナナリー………で~も、早く寝ないと明日はお留守番だぞ?」
「そうよナナリー………パパとママだけでお兄ちゃんお迎え行っちゃうわよ?」
「ヤダッ!!レナにいはナナリーがおむかえいくの!!」
さっきまで不機嫌だったナナリーだったが、アーロンの一言で目に涙を溜めアーロンに抱きつき顔を押し付けていた。そう、サマーキャンプに行っているレナードは明日帰ってくるため家族皆で迎えに行くことになっているのだ。生粋のお兄ちゃん子であるナナリーはレナードを迎えに行くことを楽しみにしているのである。アーロンは自分の胸が少しずつ濡れていっているのに気付き、ナナリーの背中を何度かさすったあと胸からナナリーを離すと顔を覗き込みながら優しく喋りかけた。
「じゃあもう寝るのかな?」
「うん!!」
「よ~し!良い子だなナナリーは!!」
アーロンはもう一度ナナリーを抱きしめたあと、ヒルダにナナリーを渡すとナナリーを抱っこしたままヒルダはソファーから立ち上がった。
「それじゃあナナリー………パパにオヤスミの挨拶をして」
ヒルダの言葉を聴いたアーロンは立ち上がり二人に近づくと、抱っこされているナナリーのおでこに軽くキスをすると、ナナリーもアーロンのおでこにもキスをし「おやすみなさい」といってリビングから出て行った。彼女たちと入れ替わるように執事服をきた白髪交じりの男が部屋に入ってきた。彼の名はジョセフ・クロフォード、アーロンを当主とするシュトラウス家に代々使える執事であり秘書、そしてアーロンにとって年の離れた兄のような存在である。
「どうしたジョセフ?」
「アーロン様、先程ハーヴェイ様からお電話がありまして言伝を預かっております…………」
「ルイサイトから………?繋いでくれればよかったのに………」
「はい、私もお繋ぎしましょうかと聞いたのですが………『急ぐ用事ではない』と言われましてそれに………」
そこまで言うとジョセフは何かを思い出したかのようにクスッと笑みをこぼした。
「それに………………何だ?」
「いえ、ハーヴェイ様は最後に『一家団欒を邪魔したらアーロンにどやされてしまう』と笑いながらおっしゃられまして」
ジョセフがそう言うとアーロンは一瞬、ポカンとした顔をしていたが「あの野郎………」と呟くと急に笑い出し、ひとしきり笑うとその場で静かに主人の笑いが収まるのジョセフに喋りかけた。
「それで………ルイサイトは何て?」
「はい………ハーヴェイ様は『ハロルドと自分のスケジュールが取れたので4日後に調査団の最終打合せを行ないたいから明日連絡がほしい』とのことです」
「そうか分かった………今夜はもう遅いから休んでいいよジョセフ」
「では、そうさせて頂きます」
アーロンに一礼しジョセフが部屋を出ようと扉を開けようとした時、「そうだ」といって何かを思い出したアーロンはジョセフを呼び止めた。
「ジョセフ明日はレナードを迎えに行くから車を回しておいててくれ」
「かしこまりました」
そう言うとジョセフは今度こそ部屋を出て行った。リビングで1人きりになったアーロンはソファーにもたれかかると、一冊の絵本がおいてあるのを見つけた。
先程までヒルダがナナリーに読み聞かせていた絵本、世界中の人々が一度は聞き、読んだ絵本………アーロンはその絵本のページをめくりしばらくその絵本を読んでいた。しばらくするとふうっとため息をついて絵本を閉じてソファーの上に置くと、ソファーから立ち上がりリビングの窓を開け満天の星が輝く夜空を見上げていた。すると扉が開きヒルダがリビングに入ってくる。彼女がアーロンの姿を確認すると、彼の傍に近寄り夜空を一緒に見上げた。
「ナナリーはもう寝たのか?」
「ええ、もうグッスリとね」
そうかと呟くと二人はもう一度夜空を見上げた。静かに夜空を見上げる二人だけ空間を静寂が包み込み、開いた窓か吹く夜風を全身で感じる二人にとってそれは心地良い静寂だった。しばらくするとヒルダはアーロンの肩に頭をコテンと乗せた。
どれぐらいそうしていたのか分からないが、ヒルダは夜空を指差しながらアーロンに喋りかけた。
「アーロン!!ほら流れ星よ!!」
「え………何処?」
「ほら、あそこ!!」
ほらと指をさすヒルダと、何処と言いながら流れ星を探すアーロン。そんな二人の後ろのソファーにある絵本が、窓から入る夜風によってページがパラパラと捲られていく。風によって捲られていったページはとうとう最初のページに戻り、この絵本のタイトルが大きく書かれていた。………この世界の人々で知らないものはいない絵本………………………この世界の人々が一度は聞いたことがある噺…………………………なぜ世界中の人々がこの噺を知っているのか………………その理由は簡単だ。
なぜならこの絵本が御伽噺ではなく真実の噺だということを皆知っているから、そしてお噺の一部が違うということも皆知っているのだ。そう………………世界は平和などではない………今現在も人類は………世界は………脅威にさらされ続けているのだ。
誰もが知っているこの世界の真実を描いた絵本のことを人々はこう呼ぶのだ………………………………
―――――『破滅の星と救世の流星』と――――
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