友紀は運命だと思った。千尋は…。いびつなふたりのいびつな出逢い。偶然?必然?ふたりの明日は…。
「ごめんね。
待ったね…。」 「うぅん、
早く来すぎたから…、
早く、顔が見たくて… ね。」
千尋は微笑みを 浮かべている。
車に乗り込む。 ベルトをしめ、 ドアを閉じる。 「これ…、
ここ夏休みにどう?
プールもあるし、
ホテルも安いとこ 探して来たよ。」
テーマパークの パンフレットと
数件のホテルの パンフレットを
千尋に手渡す。驚く。
「…わざわざ、取りに 行ったの?」
「うん、近くだしね。」 「…ありがとう。」
千尋の喜ぶ顔が 嬉しかった。 車は海沿いを走り、
目的地に近づく。
屋内市民プールだ。
“夏休みにプールに 行きたい” という娘さんの
リクエストに 応えてあげて欲しい、 と思った。
プールまでの道を
説明した。
海を走り、
プールは山裾に、 ちょっとした
ドライブだった。
お昼ご飯を食べに、
大きな ショッピングモールへ。千尋の残した
パスタを
美味しそうに
食べる友紀に
驚きながら、
子どもの様に
けたけた笑っている。
手を繋ぎ
ぶらぶらとモール内を 歩く。 ずっとこうしていたい、
友紀は思った。 握った手に
少し力が入った。
顔を覗き込む
千尋。
あの笑顔だ。
身体を引き寄せた。