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『意外と世界は非常識で溢れてるんだよ』

つい思いつきで書いてしまったorz


別の作品がまだ完結していないのに。

それでも書いてしまったからには、一話分だけでも公開します。


よろしければ感想をいただければ嬉しいです。


「おはよー」


「ねえねえ、昨日のテレビみたー?」


 暖かな日差しが降り注ぎ、雲一つない空は青色が広がっている。


 道には制服を着た高校生が学校に向かっている。あちらこちらで挨拶や昨日のテレビの話題など話が弾んでいる。


 そんな高校生の中で、あくびをしながら歩く男子学生がいた。

 短めの黒髪に眠そうな表情。右手に鞄を持ち、周りと同じように学校に向かっていた。


「おーい、真司―!!」


 ゆっくりと歩いていた須藤真司は、後ろから聞こえてきた男の声に振り返った。


 そこにはテンションの高い茶髪の男子学生が走ってきていた。周りの生徒も彼に視線をやるが、見た瞬間にいつものことかと興味を失っていった。


 茶髪のチャラい男、真司の友人である斉藤隆二。一見すると友人とは見えない二人だが、意外と仲が良い。入学当初に知り合い、休日に二人で遊びに行くような仲である。


「いつも通り、寝むそうだな」


「まあな。昨日も夜更かししたからな~」


 再びあくびしながら返事をする。そんな態度もお馴染なのか、隆二も気にすることなく並んで歩いていく。


 暫く歩くと学校に到着する。


「そういや知ってるか、真司?」


「ん? 何をだ?」


 下駄箱に着いて、靴を履き替えていると、隆二が何かを思い出して聞いてきた。


「ここ最近起きてる、昏倒事件」


「昏倒?」


「ああ。放課後に学校内で生徒が倒れているのが発見されてるらしい。身体に異常はなく、数日で意識を取り戻すらしいんだが、何も覚えちゃいないらしい」


 最近学校内で騒がれている事件。ある日の放課後、教師が見回りをしていると、廊下で生徒が倒れているのが発見された。生徒は意識が無く、目を覚まさない。

 病院で検査しても、全く異常が見当たらない。生徒は数日で目を覚ますが、何も覚えていない。警察も出動して調査されているが、生徒が何も覚えていないので、調査は全く進んでいない。


「そんな話は知らないな。誰から聞いたんだ?」


「二組の後藤だ。なんでも話が広まらないように教師が止めてるらしいんだが、こっそりと話が流れてるらしい」


「なるほど……」


 なんとなく気にはなったものの、自分にあまり関係が無いだろうと思い、教室に向かった。


 その後無駄話をしながら歩いていると、視線の端に金色を入ってきた。


「ん?」


「どうした?」


 二人が視線を向けると、そこには数人の女子に囲まれた金髪の美少女がいた。


 少女は周りの女子よりも頭一つ分以上に小さく、その小ささから女子に可愛がられている。

 顔も幼い感じがして、どう見ても高校生には見えない。


「お、三倉先輩じゃん」


「せ、先輩!?」


 先輩という言葉に驚きを隠せない。どれだけ多めに見積もっても、後輩しかあり得ない。それほどまでに幼く見える。


「三年の三倉志穂先輩だ。小さいことで有名で、密かにファンクラブがあるほどの人気がある。よく告白されてる所を見かけるぜ」


「ふーん……」


 真司は、確かに可愛いと心の中で思う。ついつい目線が小さな動きを追ってしまう。


 キーンコーン、カーンコーン。


「やべ、早く行こうぜ」


「ああ!!」


 聞こえてきたチャイムに二人は慌てて廊下を走りだした。周りの生徒も急いで移動していく。


 走っていく真司の後ろ姿を、誰にも気付かれることなく志穂が見詰めていた。


――意味深な笑みを浮かべながら。






「――――で、あるからして」


 三時間目の英語の時間。教師の言葉を聞きながら、真司は眠気と真剣に戦っていた。


 真司は窓際の席で、窓の外から暖かい日差しが当たり、それが睡魔を召喚する。そしてやってきた睡魔に対して、小さな真司が武器を手に戦っているが、現在不利な状況のようだ。


(何か気がまぎれるものは…………ん?)


 眠気をどうにか出来ないかと窓の外を見てみると、そこにはグラウンドで体育の授業に勤しむ体操服姿の女子生徒の姿があった。


(あれは……三倉先輩? ということは三年か?)


 暫く眺めていると、綺麗に輝く金色が靡いているのが見えた。染めたような髪の輝きではなく、鮮やかな輝きは大勢の中にいてもはっきりと認識できる。


 二コリ。


(ッ!?)


 金髪の動きを追っていると、彼女は突然立ち止まって校舎を見上げた。そして真司と眼を合わせると、ニッコリと微笑んだ。


「――――で、お前は何を見ているんだ?」


 パコン!!


 軽い音と共に頭に痛みを覚えた。視線を反対側に向けると男性教師が立っていた。どうやらよそ見をしていたのを見付かったようだ。


「女子の体操服姿を堪能していました」


 真司はまるで悪気が無いような態度で事実を話した。


 パコン!!


「そいつは結構。もう充分に堪能しただろう。それだけ余裕があるなら、問題でも解いて貰おうか」


「…………はい」


 周りのクラスメイトに笑われながら、真司は黒板に書かれた問題を解きにかかった。






 放課後、無事に授業を終えた真司は隆二と無駄話に興じていた。


「にしても、お前がよそ見なんて珍しいな」


「今日の睡魔が手強くてな」


 携帯を片手に話しかけてくる隆二に、真司は苦笑いを浮かべながら荷物を鞄に詰めていく。


「今日どっか寄ってかないか?」


「悪い。先生に用事を頼まれてるんだ」


「よそ見の罰か。そりゃしょうがないな」


 含み笑いをする隆二。携帯を仕舞って鞄を手に取った。


「じゃあ頑張ってくれよ」


 そう言って、隆二はさっさと帰宅してしまった。その後ろ姿を早々に無視して、真司は職員室へと向かっていった。






「失礼します」


「おう、助かったわ」


 職員室の前で中に向かって言葉を掛ける。それに答える教師の顔には不敵な笑みが張り付いている。


 一瞬張り倒したくなったが、今回のことは自分のせいなのでなんとか自制した。


 簡単な書類整理と荷物運びを終え、真司はようやく解放された。疲れから肩を落として教室へと向かおうとした。


「…………?」


 廊下の途中で立ち止まる。


 別に何かを発見したわけでも、誰からに呼びとめられたわけでもない。いつも通りの学校がそこにはある。


 なのに、立ち止まざるをえなかった。


 真司には霊感があるわけではない。拳法の達人のように違和感が分かるわけでもない。何処にでもいる一般人だ。


 それでも何かに気になってしまった。その何かが全く分からないのに。


 歩き出す。まるで誰かに、何かに呼ばれるように。


「…………」


 意識ははっきりしている。いや、はっきりしていると錯覚しているのか。自分の中で思考は出来るのに、まるで宙にも浮いているかのようにフワフワしている感覚を覚える。


 そんな状態で1階、2階、3階を行ったり来たりしながら、真司は屋上へと続く階段の前に立った。


「…………」


 別に屋上に用事などない。これから帰るために教室に向かい、荷物を取りに戻ろうとしていたのだ。わざわざ遠回りをする必要はない。


 それでも、真司は屋上に続く階段を一歩、また一歩と進んでいった。


 屋上への扉の前に立った。ここまで来ても、何の感慨も違和感もない。


 あるのはただ、無意識下で呼ばれているような感覚だけだった。


 そして、ノブを回して屋上へと足を踏み入れた。




――――瞬間、世界が反転する。




「ッ!?」


 そこに見える風景は、確かに学校の屋上だった。いや、屋上に似たものだった。


 見えるもの全てが、自分の中にある風景とは反対だった。

 カップルが良く座っているベンチも、向かって右側にあるグラウンドも、全てが左右逆に配置されている。


 まるでドッキリ映像を見ているような気がした。


「うん、やっぱり私の睨んだ通り。君も資格を持っていたんだね」


「!!」


 突然上の方から声が聞こえてきた。


 慌てて上を見たが、誰もいない。左右を確認しても、誰もいない。まさかと思いながらも下を見たが、誰もいない。


「こっちこっち」


 声がする方。後ろを振り返り、視線を上に上げると、屋上の入口の上、コンクリートの縁に腰掛け、楽しそうに笑う三倉志穂の姿があった。


「三倉、先輩?」


「おや? 私のことを知ってるんだ」


 一瞬驚いた表情をしたものの、直ぐに笑顔に戻る。彼女の笑顔に真司は気を抜きそうになるが、今の状況を思い出して、気を引き締める。


「…………ここは何処ですか?」


「ここ? 君も知っている学校の屋上――――と言いたいところだけど、そんなわけないのは分かってるよね?」


 人懐こい笑みが緊迫感の無さを誘う。


「ここはね、世界の裏側。資格を持つ者だけが来ることのできる世界」


「資格……?」


「そう――――ゲームに参加する為の資格」


 優しく、柔らかな笑みを浮かべながら、志穂は宣言するように言葉を紡いだ。



どうでしたでしょうか?


この作品は設定を全く考えずに書いてしまったので、

色々矛盾やおかしな部分があるかもしれませんが、

生温かい目で許してやってください。


一応次回タイトルだけ発表します。


「バットは立派な凶器です」


お楽しみに。


9/11改訂しました。

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