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絶対矛盾-駒
「ほんとうに、愚かだよね。たとえ役者をそろえたところで、それで物語が出来る訳でもないのに」
老婆の声で、少年は嗤った。
彼の眼下には一枚の鏡と、一匹の『猫』。
彼は鏡越しに『猫』を見下ろし、『彼』ではない誰かを嗤っていた。
「所詮、駒は駒。それ以上でもなく、また、それ以下でもないーーー重要なのは、脚本だよ。どのように、駒を動かすのか。それがすべてで、絶対だ。」
天を仰ぎ、少年は駒を否定する。
そして、うっとりとした表情で虚空を抱き込み、そっと息を吐き出した。
「タイムトラベルも、世界改変も、幻想励起もーーーそして、収束点も、結局は意味がない。『彼らの意図』するような、意味を成すことは、絶対に、ない」
吐き出された息は虚空に溶けて消えさり、そして。
「この私こそが、『物語』だ。この物語は私の望むように謳われ、そして、幕を閉じる」
少年の声で、老婆は密かに『猫』に嗤いかけたのだ。
「せいぜい、走り回れ。そして、伝えてやるといい。この世界が、いったい誰の『物語』かということを!」
運命を名乗るモノの断片