全知全能の対価:孤独
そろそろ無限想歌が終わるので、別のテーマのtipsを挙げました。
無限想歌で得たkeyはいずれ、このテーマの突破口となる予定です。
TiPs〜32番目の物語:全知全能の対価:孤独ークリティカルポイント:神を殺すもの、神を救うもの
神が人を救うことをやめて、久しく経つ。
それはもちろん、神への祈りがなくなったからーーーというわけではない。
古今東西、神への祈りは延々と子守唄のように歌われ続けているのが、現実だ。
なれども、神は救いの手を差し伸べない。
ーーーーもともと、神はそのような存在ではなかった。
全知全能である神は、命により生じるあらゆる意思を大切に育んでいた。
さながら、赤子のように。
母親が、あるいは父親が。
愛という、根源なき肯定の意思でもって、我が子に笑顔を向けるように。
けれど。
『貴様のそれは所詮、人形遊び。どれほど命が意思ある存在だとしても、それらはお前の手のひらで踊る道化でしかない』
あるとき浮かんだ、一つの可能性が。
『祈りの声は数多あれど、おまえの為に誰が祈ってくれた?』
わずかばかりの疑念が。
『この世界はお前より成る、お前だけの、人形劇だ。脚本を描くのもお前なら、観客もお前』
それは、全知全能であるが故に生じる、一つの既決。
『無意味だな。ああ、無意味だ。なんの、意味も無く、そして、価値もない』
あるとき生まれた可能性は、神に『孤独』という概念を突きつけた。
そして、自身の行い。果てには、世界の存在価値ですら、虚構である可能性もーーーー
………故に神は、意思を捨てた。個であることを、やめたのだ。
ただし、それだけのこと。彼は、最後まで世界に価値があると信じていたし、それだけに、世界を滅ぼすようなことをしなかった。
そう、個を殺し、世界と自身の意識を切り離すことで、神はーーーー
『誰か、私を見つけてくれ。だれか。だれか。』
ありもしない幻想に、「願い」をかけたのだろうと想う。
※
32番目の物語:メインストリーム:超えるもの
「4番機能停止しました。ただし、下層の偽世界は依然として存在したままです。
どうやら4番は、個の消失だけで満足したようですね。」
報告を受けたウォレットは、溜息を漏らした。彼が神への道を探り始めて、はや数百年が経つのだが、うまくいったことなど、ありはしなかった。
「最上位の演算機(AI)を神に見立て、下層の空想世界の管理を任せる---うまくいかんな」
姉妹世界αで生み出された無機演算技術、及び、セントラルで生み出された魔法のいくらかを駆使して生み出された、神の思考をシュミレーとするモデルだ。基本的にこれの目指すところはーーー
さて、次は無限想歌をupしなきゃですね