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戦争と、悪意
人は個々という観点でのみ、性善なんだろうね。
けれど、その「人」が群れを成したヒトという存在は、なぜかその本質が反転してしまっている。
構成因子が善である、ヒトという集合体の本質はーーー悪。いや、悪意と呼んだほうが良いだろうか。
この悪意は魔学において絶対矛盾の一柱と称されていて、併せ持つ冠の名は、「ヒト種の保存法則」。
この秩序は50年周期(各世界における霊長の平均寿命)で励起されることが知られているのだけど、その結果として観察される現象には、大戦がある。
基本的に、霊長であるヒトと対等に渡り合える存在はヒトしかいないのだから、増えすぎたヒトを減らすために採りえる手段として―――同種殺しの戦争は、最善の選択と言えると思う。
これは星の許容量内でヒトを保存するために非常に効率的なシステムであり、不可避な周期的現象と言える。もし、ヒトがこのシステムを破棄、あるいは打破することを望むのなら、それは---