なぜ
猫とネズミが、ちぐはぐなワルツを踊っていた。
サルと犬とが、笑みを浮かべて談笑していた。
過去と未来とが、生まれたばかりの「今」を愛おしそうに抱き上げていた。
怠け者のキリギリスが、病気のアリに変わって仕事に出かけていた。
運命を受け入れた少女が、運命に立ち向かう青年を支えていた。
答えなき問いが、問いである答えとして、滅び行く世界に微笑みかけていた。
未来のロボが、過去を救おうと奔走していた。
神から愛された少年は、彼自身は神を愛することなく、神の愛するモノを愛そうとしていた。
闇が、光を静かに招き入れた。
光は、闇にほんの少しの温もりを手渡した。
ーーーーーーーーーーなぜ。
なぜ、それが成される?なぜ、猫とネズミがワルツを?なぜ、サルと犬が談笑などを?
過去は未来を否定するのではないのか。怠け者のキリギリスは、どこまでいっても怠けもでしかないはずなのに。
受け入れるなら、なぜ立ち向かう?
自己矛盾んを抱えるモノが、どのツラで世界に微笑む?
未来を救えぬ機械が、過去を変えるなど冒涜である。
神より愛されし少年も、同罪だ。
相克する闇が光を受け入れるなど、あってはならないーーーーあってはならぬのに、なぜ。
なぜ、彼らはーーー?