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Tips~  作者: blue birds
20/31

星の願いを

ー星の願いをー



                            ーセントラルにてー


生の象徴である太陽が沈み、死の象徴である月が顔を出す夜。


「ねぇ、あなたの望みは何?」


夜色の髪の魔法使いが、宇宙ソラに浮かぶ三日月に問いかけています。


「あるんでしょう?あなたにも、叶えたい「願い」が」


しかし問いかけられた月が、その問いに答えることはありません。


「あなたの持つ「願い」は、ホントウの意味でカタチだけのもの。それらの根源は、あなたに「願い」をかけたモノたちが所有している・・・でも、そうであったとしても、あなたはが「願い」を持つモノであることに変わりはない・・・でしょう?」


でも、それは月が意地悪だからというわけではありません。月とは元来、そういうものなのです。そして、そのようにあるべくしてある月も、思考することはできるのです。


だから、答えることのできない月は思います。この、人の形をしたモノは、孤独なのだと。


「自分から生まれでたわけじゃない「願い」を想うなんて、私には考えられない。でも、あなたは確かにそれが出来るモノのはず」


故郷を捨て、時を渡り。


「どんな気持ちなの?あなたは、どうしてそんなことをしているの?」


世界を壊し、世界を救い、意志あるモノ達を踏みにじり、意志あるモノたちを救い。


「ねえ、答えて」


罪を祓い、罪を償い、罪を背負い。


「おねがい・・・」


そんなことを繰り返すだけの、救われないモノ。


「————————って、答えてくれる分けないか。絶対矛盾の一柱だしね。そもそも、私たちなんて眼中に無いよね」


幸せになってほしい。

ただただ、幸せになってほしい。君にも。君の大切な彼にも。

そして、

僕に「願い」をかける、すべての”願いを持つモノたち”に。


「じゃあ私、もういくわ。この時空を壊しにね。止めるんなら止めていいよ。できるものならね」


それが、僕の「願い」。他の誰から借り受けたわけじゃない、僕自身の、「願い」のカタチ。


「バイバイ」


願いを持たない僕の「願い」。たしかにそれは、矛盾している。けれど、それは確かに此処にある。


だから。


『———————————』


僕も「願い」をかけよう。

僕に「願い」をかけるモノ達と同じように、かれらに「願い」をかけよう。


『たーーてーげー』


声にならないこの声で。

伝わらないかもしれないこの「願い」を叫ぼう。


『ーー娘をーーけてーげー』





このとき。

月がその「願い」を叫んだその瞬間に、世界は涙を流しました。


それは世界の終焉を意味する災厄の前触れ。

可能性あるモノに、”世界をすてろ”と告げるための、世界の断末魔。


だから、その意味を汲み取ることができるモノならば、悲鳴を聞いた瞬間迷うこと無く自身の故郷を捨て、別の世界へ旅立ちます・・・本来は。


                        


                          ー姉妹世界αにてー


「だれだよ、こんな真夜中に!『あの娘を助けてあげて』だ!?ふざけんな!いつもいきなり不意打ちで意味分かんないだよ!今、夜中!おれ、明日試験!だから、絶対ムリ!てか、泣くな!もう勘弁してくれよ!ああもう!そんな悲しそうに、泣くなよ・・・」


これは、とある物語の序曲の序曲。語られることすらその異議を問われる、なんでもない、始まりの始まりの話。

語られる価値もなく、しかし、それでも語られた、そんな、とある月夜の話。





      ーThis is a story of the moon. And this is also the story of the beginning of the beginning of the happy end ー

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