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Tips~  作者: blue birds
2/31

みち

男の視界にはいつも、道があった。



それはどこまでも続く一本道で、整理されたきれいな道で、そして、意味がないほど、果てのない道だった。



男が生まれた時からあった道。




結局、その道がなんであるかも考えぬまま、男は歩を進めた。



あるときは、黄色い帽子かぶりながら。


あるときは、黒びかりするランドセルを振り回しながら。


あるときは、少し大きめの学ランに意味もなく胸を張り、身を包んで。


あるときは、戦争の冠をかぶった、受験戦争に明け暮れながら、道を歩んだ。





男は、ただただ歩を進めた。なぜなら、そこに道があったから。



男は、もくもくと、前に進んだ。なぜなら、男には選択肢がなかったから。





そうして長いあいだ、男は前に進み続けた。



一度も後ろを振り返ることなく。


一度も考えることなく。


そしてたった一度の後悔もなく、歩を進め、そして。











男は、後悔した。





道が、一本道ではなかったことに、気づいてしまったから。


自分が信じた道の脇には、無数の未知が枝分かれしていたのだと、気づいてしまったから。





『yes』ーーーそれが、答えだったのだ。


虫眼鏡の向こう側にある、とても小さな答え。


階段を上り、天井を見上げ、そして、虫眼鏡をこらさないと気づけない、そんな、大切な何か。










男は今、自身に問いかけている。


たぶん、それはーーー『問い』という名の、『答え』を探すようなもの。



答えなき問い。


答えである問い。



男は今も、『それ』を探している。

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