表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔弾の狙撃手リィン  作者: ルピナス
第1章「出会い編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/5

第2話「5年後」

ここはアルモワールと呼ばれる世界。

自然と人が調和し、剣と魔法が満ちる豊かな大地。

地、水、火、風、光、闇の属性魔法は人々の生活に溶け込み、村も街もその恩恵を受けていた。

だが、その均衡を破ろうとしている国がある。


バルボルン帝国。

強大な軍事力を持つ帝国は、大陸の大半を支配下に置き、世界の統一を掲げて侵攻を続けていた。


そして、トルーニャ村が焼かれた日から五年の歳月が流れた。



森の中に乾いた銃声が響いた。

轟音のあと、少し遅れて鳥たちが飛び立つ。

倒れたのは巨大な猪だった。


全長は二メートル近い。

牙も太く、普通の狩人では手に負えない魔獣だ。

その巨体の額には、綺麗な穴が空いていた。

リィンは静かにゆっくりと銃口を下げた。


五年前よりも背は伸びている。

暗い紫の長い髪は少し乱れ、片目を隠している。

瞳は暗い緑。

フード付きの黒いコートを羽織り、肩には黒いライフルを掛けていた。

ヘイム『ほう』

低い声が響く。

ヘイム『距離は300m以上はあったぞ』

リィン「……うん」

ヘイム『少しは喜べよ』

リィンは猪の脚を掴み、引きずり始めた。

ヘイム『なあ?まだこんな生活を続けるのか?』

あの日逃げ込んだ狩猟小屋点が住処になっていた。

リィン「…強くならないと」

ヘイム『まだ、復讐とか考えてんのか』

リィンは何も言わない。

狩猟小屋に着き、猪を置く。

リィンは立ち止まった。

ヘイム『リィン?』

リィン「名前を呼ばないで」

リィンは猪を見る。

リィン「……決めた」


ヘイム『へ?』


リィン「…街に行く」

リィンはそう言うと猪をまた引きずり始めた。

ヘイム『おいおい…どうするつもりだよ』

リィン「……これをお金に替える」

ヘイム『へいへーい…』


しばらく森を歩く。


やがて木々が開けた。

小さな街が見える。

石造りの門、人の出入り、荷車。

武器を持った人間。


冒険者の街だった。

リィンは門をくぐる。

ヘイム『ほう…俺が知らない間にこんなにも栄えていたのか』

リィン「……」


街の人間が振り返る。

理由は簡単だった。

160cmくらいの華奢な少女が巨大な猪を引きずって歩いていたからだ。

引きずった跡には血が流れている。

ざわめきが起こる。

「おい、あれ……」

「魔猪じゃないか?」

「一人でやったのか?」

リィンは無言で引きずっていく。


まっすぐ進む。

やがて大きな建物の前に立った。

看板には剣と盾の紋章。

冒険者ギルドだった。

扉を押し開ける。


ギィィ――


中は酒と肉の匂いで満ちていた。

屈強な男たち、魔法使い、旅人。


その空気が一瞬で止まる。

酒を飲んでいた男の手が止まり、賭け事をしていた冒険者が視線を向ける。

全員の視線がリィンに集まった。

少女は何も言わない。

ただ猪をドサッと床に落とした。

リィン「……これ」

受付嬢が目を丸くする。

受付嬢「え?」

リィン「……売りたいんだけど」

沈黙。

そして、ギルド中がざわついた。

受付嬢「買取には冒険者証が必要なんですけど…」

リィン「……ない」

ヘイム『世知辛いな』

こうして、少女リィンの冒険者としての物語が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ