悪役令嬢達の初詣 その五
「よーしそれじゃあ次はお賽銭しに行こー!!」
御籤を結び付けて、お賽銭をやりにいく。願い事は……去年と変わってない。いや、同じ願いでも去年より強くなったか。……『みんなで平和に過ごしていたい』ほんと、ただそれだけでいい。
「……」
「あれ、ローズ様?どうかなさいましたか?」
ダメだ、どんどん深く考え行っちゃう。私には分からないけど……マイが言ったように、少し顔にも出て来ちゃってる。はぁ、本当にダメだな。
「ごめん、ちょっとみんな先いってて!私、ローズと話したい事があるから」
「おう、わかった。ま、お前だから心配してないがはぐれるんじゃねぇぞ?」
「うん、大丈夫だよ!」
歩いてる途中、リリーがそう言って、皆は先に進んでいく。……にしてもどうしたんだろ、リリーは。私と話したいことがあるって言ってたけど……
「ね、ローズ……やっぱりまだ気にしちゃうよね」
「……ごめんね、せっかくの初詣なのに。楽しくしていなきゃなのに。……私ってやっぱり隠すの下手みたい」
「謝らなくていいよ。やっぱり、何が目的かは分からないけど……狙われてるって怖いもんね。私だって怖いし、必要以上に深く考えちゃう。だから……優しいローズなら、そう考えるのも無理はないよ」
「あのね、リリー……また、嫌な予感がするんだ。それも、この前の襲撃とは比にならないくらい大きいの」
「そっか。じゃあ……その時が来たら私が守るよ。もちろん、死んだりはしない。でも。手足がボロボロになっても、なくなってもいい。だから……ローズ。私を信じて、私に守られてよ」
「さすがにそんなになったら自分の身を案じてよ。でも、ありがとう……少し気持ちが楽になった。あとそれと……ずぅっと前から、信じてるよ、リリー。だって、だ……」
「……だ?」
気持ちは何とかなったけど……第二の問題!!危なかった!!なんでこうも直ぐに口を滑らせちゃうの私ぃ~!!な、何とか誤魔化さないと!!
「だ、誰よりも私の傍にいてくれてるから!」
「……ぷっ。そうだね、私達ずっと一緒にいるもんね。あと……その様子だと、また元気になったみたいだね、良かった」
「うん、ありがとう!ほんと、リリーはいつも私を笑顔にしてくれるね」
「だってそれは……ローズの笑顔はキラキラしてて好きだから?」
「ふふ、なにそれ。私そんなキラキラしてないよ」
「してるしてる!……よし、それじゃあ私たちもお賽銭しなきゃだね!皆を待たせちゃってる!」
「だからもう、人がいっぱいいる中で走らないでよ!」
不思議だな、リリーは。本当にどんな時でも私の事を笑顔にしてくれる。私を安心してくれる。そして、私に恋をさせてくれる。……大丈夫だよね?リリーにこの気持ち、気づかれてないよね?
「審判所でした約束、覚えてる?」
「うん、覚えてる。絶対に私を離さない、だったよね」
「そうそう。あれ、私が行きてる限り破る気は無いから」
「私も破らせる気はないからね」
お賽銭に硬貨を投げて、手を合わせて願う。
どうか、どうかこれからもみんなで一緒に過ごせますように。そしてあわよくば……この恋が、結ばれますように、と。
「よし、おーしまい!」
「私も終わったよ。リリーはさ、何をお願いしたの?」
「多分ローズと一緒だよ?これからもみんなで過ごせますようにってね」
「うん、私もそんな感じ。……あれ、みんなは?」
「多分もう先行って各々ぶらぶらしてると思うよ。探そっか」
「うん、そうだね」
リリーのおかげで安心して、楽しんで初詣を終えることが出来た。あと……普通に屋台美味しかった。
こうして、私の新たな一年は幕を開けた。……そう、死をも超える苦しみを孕んだ、言葉にもし難い地獄の一年が。




