悪役令嬢の文化祭 その二
「お待たせいたしました、こちら『お嬢様お好みのオムライス』でございます」
「うわ、美味しそう!」
「やっぱりローズってオムライス見ると子供みたいになるよね」
「でも、リリーだって今とっても食べたそうな顔してるじゃん」
「……よし、それじゃあ早速食べよっか!いただきまーす!」
あ、逸らした。……注文を終えること五分、思いの外早くオムライスは来た。にしても……このオムライス、美味しそう!バター使ってるのかな?甘い匂いがぷんぷんする!
「それじゃあ私も。いただきます……ん、何これ!?めっちゃ美味しいじゃん!」
「ほら、目キラキラさせて凄い美味しそうに食べるところとか子供っぽくて超可愛い。……けど、ほんっとに美味しいね!」
「この美味しさなら目もキラキラしちゃうでしょ?」
「キラキラするのはローズくらいだよ。はい、あーん」
「えっ、ちょっ……え?リリー?」
「どうしたのローズ、食べないの?」
「食べないの?じゃなくて……周り見てよ、めっちゃ見られてるよ!?しかもみんなめっちゃニヤニヤしてるし!……ん」
「色々言うくせに、結局食べるんだよね。可愛い」
「え、えいっ!」
「んぐっ!?」
「ちょっと一旦黙って!これ以上はほんとに恥ずかしいから!!」
あーやっちゃったやっちゃった!どうしよう、思わずリリーの口にスプーンを……!いや、落ち着け私。これはいつもからかってくるリリーに対しての仕返しだ。あとちょっと強引だけどリリーにあーん返しをしたかったからだ。……あーん返しって何?
「いいのかなー?私にあーんなんてしちゃって。周り見てみなよ?」
「あ……」
リリーに言われて周りを見ると、従業員と他のお客さん……主に大人を除く、が皆私たちを見ていた。中にはカメラを持ってる人もいた。……え待って?なんでこんな私達にいるの?そのファン的な人が……いや、確かに私も前世で百合は好きだったよ?同人誌販売会とかも行ってたけど……いや、違うか。みんなは私とリリーが恋仲にあるって噂はほんとだったって思ってニヤけてるのか。……って、そんな変わらない!
「も、もう食べ終わったでしょ?次行くよ、次」
「はいはーい。はぁ、美味しかった」
あんなやり取りをしながらもちゃんと私もリリーも手は止めてなかったので、あっという間にオムライスは完食した。そして……ここにいても恥ずかしいから次に行く。あ、ちゃんとお会計はした。
「次は……おっ、面白そうなとこはっけーん。行くよ、ローズ!」
「待ってリリー!そこってお化け屋敷だよね!?」
「え?あ、ほんとだ!まいいや!レッツゴー!」
「リリー……恨むから」
次はお化け屋敷になったんだけど……あくまで文化祭だから大丈夫だよね?そんな怖くないよね?私が怖がってるだけであって欲しいんだけど……とりあえずここは暗くて人目がないから……リリーに抱きつこう。安心する。
「あー……どうしたの?急に」
「私、怖いの苦手だから……その、離れないで」
「……うん、わかったよ。離れない。さ、行くよ」
「うん」
今、一瞬リリーの顔が赤かったような……気の所為かな?さ、私は叫びすぎてリリーの鼓膜にダメージを与えないようにしなきゃ。
「……ばぁ!」
「きゃぁぁぁぁぁ!……ってもう、リリー!驚かさないでよ!」
「あっはは!本当にローズって怖いのダメなんだね!」
「私本当にダメなの!さ、早くすす……きゃぁぁぁぁぁ!?」
……何回叫んだだろうか。かなり疲れた気がする。リリーもだいぶ笑ってるし……はぁ、文化祭なら遊園地より緩いから大丈夫と思ってたけど……全然怖かった。
「大丈夫?ローズ」
「……ごめんね、リリー。うるさかったでしょ」
「ううん、全然。っていうかやっぱりローズも可愛い一面があるんだなーって思って、楽しかった!なんか遠い友達を見てるみたいだった!」
「そっか……ありがと」
私も、沢山叫んでたけどなんか不思議と紗蘭と遊園地に行った時のことを思い出した。そういえば、あの時も沢山叫んでたな。
「今は……十時四十分か。どうする?もう行く?」
「んー……そうだね。劇が終わった後でも楽しめるし……ちょっとリハとかもしておきたいから、行こっか」
「うん!」
体育館に行くわけだけど。まだ始まるまで一時間くらいあるんだよな~。 まぁもっとも、先生に言って鍵を貰って入ってる訳でまだ誰もいないからリハーサルにはうってつけなわけなんだけどね。よし、じゃあ最後の確認だ。一応ジン達にも伝えてはおこう。




