悪役令嬢の戦闘訓練 その二
あの後結局少し話して、他のみんなは変わらず練習を続けて、マイとイリア対ジンとチアキとコナツは午後やることになった。そしてすぐ解散して、今は午後。折角魔法を教えるなら、ということでジークにも来てもらっている。
「さ、午後も変わらず頑張ろう!って行きたいんだけど……とりあえずまずみんなにはちゃんとした魔法知識を身につけて欲しいから、魔法のスペシャリストを呼んでおいたよ。さ、こっち来て!」
「ちょっと大袈裟すぎませんかね、ローズ様……あ、えっと……ローズ様からのお願いという事でしたので、少し皆様に魔法学を教える?ジーク・レヴァスチェンです」
「ジークも結構私達と一緒にいるからみんな知ってると思うけど、魔法知識なら右に出るものなし!のジークだよ!」
「あ、そういえば……実は今日、ローズ様達にも覚えてもらいたい魔法があるんです」
「私達にも覚えてもらいたい魔法?」
私達にも覚えてもらいたい魔法?何かあったっけ?っていうか……私とリリーに覚えてもらいたい魔法がこの子達にできるの?
「あぁ、安心してください。みなさんでもすぐに出来るような魔法ですよ。それで、覚えてもらう魔法は……そうですね、通信魔法とでもしておきましょうか。簡単に言うと、そのまんま脳内通信を行う魔法です」
脳内通信きたー!!私ずっと前からそういうのに憧れあったんだよね~!!普通に考えてあれってかなり難しいはずだけど……流石魔法の大天才ジークだ。
『……上手く行けばこんな感じに、対象の人物の脳内に自分の声を送ることができます』
「うわ、凄い!ほんとに頭の中に声が!」
「僕やローズ様の場合であれば、普通に魔力を飛ばして会話する事が可能ですが……まだ流石に厳しいと思うので、ちゃんと方法も考えてきてあります」
「魔力を……飛ばす?あ、それで方法って?」
「相手に自分の魔力を付着させて、その魔力を介して通信をするんです。それで、どうやって魔力を付着させるか、という話ですが……」
久しぶりにこんないきいきとしたジークを見たかも。ジークが言うには、魔法を構える、けど魔法は撃たない。そうすれば一分くらいは手に魔力が残るらしいので、その状態で相手に触れば魔力を付けれるんだとか。それで、私が発案したのが……
「よし、みんな。円になって!」
前世でよくやってた、みんなで円になって手を繋ぐあれだ。ジークは付着した魔力は伝播するとも言っていたので、みんなで手を繋いで魔力を付け合うという方法。さ、これで上手くいくといいんだけど……
『どう?みんな、上手くいった?もし、上手くできてるならみんな答えて!』
『はい!ローズ様、上手く行けました!』
『私も上手く繋がっていますわね!』
うん、よし。順調みたいだね。マイやイリアは勿論、ほかのみんなも上手く繋がったみたいだ。
「魔力が複数付着してる場合は、その付着した魔力の相手の名前を思い浮かべれば個人宛に通信を送ることも可能です。思い浮かべなければ、全体への通信になります……っと。これでおしまいです。思ったより早くできましたね」
「じゃあまた始めよっか。ジークが折角通信魔法を教えてくれたんだから、今日は連携のトレーニングも兼ねてやってこう。魔法でわかんないことがあったらジークに聞いてみて。分かりやすく教えてくれるから。……それじゃ、まずは準備体操始めるよー」
と、今朝と同じように準備運動を始める訳だが……
『やっほーローズ、聞こえてるー?』
『聞こえてるよ、どうしたのリリー』
『暇だから話しかけたくなっちゃっただけー』
『まぁ薄々そんな予感はしてたけど……ちゃんと集中して準備運動しなきゃだよ』
『ローズは真面目だねぇ』
まぁ案の定リリーが私に通信をしてきた。一応ちゃんと返しながらも準備運動はやって、それからまた本格的な稽古の時間になった。
『ローズ様、今朝仰られた事なのだが』
『ん?どうしたの?ジン』
『折角の通信魔法が手に入り、連携が取りやすくなった。そして今はジーク殿もいるので魔法教育も全然問題ない。……故に、宜しければ私達五人と戦って欲しい』
『え、私一人で五人と?まぁ、別にいいんだけどさ……』
『いや、流石にいくらローズ様と言えど五人まとめて相手にするのは厳しいと思ってな。ローズ様とリリー様……五対二の勝負を申し込みたい。ルールは一発食らった者は脱落、ただそれだけでいい』
『うーん……うん、いいよ!ちょっと私も戦闘で通信魔法を試してみたかったしね』
今、皆にはほんとに軽く怪我にならない程度の魔法の撃ち合いをして貰っている。これは、今朝あんまり確認できなかった誰がどんな魔法を使うかを確認するためだ。そして見ていると、ジンから脳内通信が届いた。……五対二か。ちょっと面白そうじゃん?
ジークには事情を説明して、他のみんなを見てもらってる。邪魔にならないように線引きもしてある。だから思いっきり暴れることもできるけど……ま、軽く加減しようかな
「よし、やるよリリー」
「うん、もちろん。私が五人とも倒しちゃっても怒んないんでね!」
「あくまで連携の訓練ってこと忘れないでね」
「まさかお二人と戦えるなんて……恐縮です!」
「よーし、じゃあ始めよっか。そっちからかかっておいで」
「はい!では……」
『ジンは水、チアキは炎、コナツは風魔法だね。なら、軽く風魔法で切り裂けそう』
『けど、流石にマイとイリアはまずいんじゃない?』
『大丈夫、そこは力入れる!』
ハンデがてら、五人の方に先制攻撃を譲る。で五人は普通詠唱で攻撃を仕掛けてくる。ジン、チアキ、コナツは加減しても何とかなりそうだけど……イリアと、特にマイはやばいから普通に加減しないで防ぐ。
『よし、じゃあ私責めるよ!』
『うん、援護なら任せて!』
『やっぱり剣も好きだけど……武術の方が好きだな、私!』
『あまりやり過ぎないようにね!』
剣は使わずに、武術だけでリリーは突っ込んで行った。
「まずは厄介そうなマイからだよっ!……はぁっ!」
「させないよ!……風よ、吹き飛ばせ!」
「そういえばそうだったね……じゃあ改めてまずはコナツから!」
「な、しまった!」
『よし、まずコナツは落とした!ローズ、マイとチアキが構えてる!援護お願い!』
『了解!』
リリーがコナツに吹き飛ばされそうになる寸前に、コナツにデコピンを一発食らわせてコナツをダウンさせた。一応風魔法は攻撃魔法じゃないからセーフ、なのか。そして、その隙にリリーを狙ってマイとチアキが炎魔法を使おうとしていた。……なるほど、炎の合体魔法か。なら、少々強めに行った方がいいかな
「多分七割くらいの……水槍!」
「やっぱり阻止してくるか。流石はローズ様……合体魔法なら行けると思ったんだけどな」
「じゃあ、今度こそ……マイ!」
「させるか!……水よ!」
「お、これはちょっとめんどくさいな。けど……私、かなり早いんだよ?」
「な!?」
「よし、これでジンもダウンだね」
炎魔法を水槍で防ぐ。そしてリリーはマイを狙って攻撃を仕掛けようとするが、今度はジンが水魔法を乱射してマイを守る。……だがご存知の通り、リリーは目で追えないくらいのスピードを簡単に出せる。ので一瞬でジンの背後に回り込んで、軽く手刀でジンもダウン。
『あ、ローズ!チアキがそっちに行ったよ!』
『了解!』
「一回必殺技っぽく言ってみたかったんだよね……『鎌鼬』!」
「それはもう見ましたよ、ローズ様!……はぁっ!」
鎌鼬で軽く守る……けど、まぁもう対策されてるよね。鎌鼬を使うと上ががら空きになる……から上で責めてくるのを狙っての鎌鼬だったが、どうやら当たったみたいだ。なら……
「それを完全に読んでの行動だよ、チアキ」
「なっ、魔法を三重に!?」
まず、チアキが上から撃ってきた炎魔法を普通の風魔法でガード。そして風魔法の上から水の剣を一本投げて、水の剣を通して更に五つの分裂する火球を放つ。……うん、我ながら完璧だ。
「戦ってみてわかりました……ローズ様は、俺達が想像してる数百倍強いって事が」
「私だって日々の鍛錬は怠ってないもん。だからいつまでも前の私だと思ってると痛い目見るよ」
「本当に流石です……とても尊敬します」
火球が一つチアキにあたってチアキもダウンした。で、結局残ったのはイリアとマイか……じゃあそうだな、私も少しあげていこうかな。
『チアキも落とした。私もそっち行くね』
『うん、わかった。じゃあ、私がイリアやるからローズはマイをお願い』
『了解!』




