悪役令嬢とヤンデレパニック! ~閉幕~
「ん……あ、かなり寝ちゃってたのか。えっと、今は何時?」
「あ、起きたんだ。ふふっ、おはよ、ローズ」
「……」
「……ローズ?」
私は結局リリーと一緒に十二時まで寝ていたらしい。
そして、私に笑いながらおはよう、と言ったリリーがとっても可愛くて。尚且つ、ちょうどリリーに陽の光が当たって不思議と私の心が跳ねるような感覚を感じた。ほんと、今のリリーはヤンデレと言うのを忘れるくらいに可愛いし、美しい。そしてこのタイミングで少し小さな疑問が浮かび上がってきた。
……私って、もしかしてリリーに恋してるんじゃ?
いや、まぁ断言するのは早いけど……
「おーい、ローズ?……考え事かな。ちょっと嫌だな、私以外の事をローズが考えるのは。ローズには私の事だけ考えていてもらいたいから……こうしちゃう。文句はなしだよ、ローズが悪いんだもん」
「ひゃっ!?ちょ、ちょっとリリー!」
「ふふっ、やっぱりローズは可愛いね」
リリーが私の耳をはむっと優しく噛む。あまりにも急すぎて、思わずびっくりしてしまう。……リリーって意外と小悪魔な一面もあるよね。いや、今はヤンデレだからなのもあるのかな?……どうしよう、ドキドキしすぎて死んじゃいそう!
「にしても、寝ているローズは本当に可愛かったよ。本当に、理性を抑えきれないくらい可愛かった」
「いやいや、私そんな可愛くないよ?あ、ていうかリリーはいつ頃から起きてたの?」
「私?私はね、大体十時だから……ローズが起きる二時間くらい前にはもう起きてたよ」
「も~、だったら起こしてくれても良かったのに」
そんな事を話していると、ゴーンゴーンとどこからが鐘がなる。何故か、この世界では十二時ではなく十二時三十分を知らせる鐘があるらしい。そして、その鐘が鳴った瞬間だった。
「あれ?私、何して……え、ローズ?あっ……ぁぁぁ!」
「ちょっとリリー!暴れないで!痛い!」
「と、とりあえずごめんね……すぐ手錠は外すから」
「え?うん。あれ、いいの?」
「うん、全然いいから!」
途端にリリーの目がいつも通りになり、リリーの顔がどんどん赤くなっていく。そして、すぐに手錠を外してくれた。……あれ、もしかしてだけどリリーのヤンデレ化が解けた?
「……ほら、解けたよ。ねえローズ、私が攫っておいてなんだけどもう帰ってくれないかな」
「え?うん、いいけど……」
「ありがとう、助かるよ」
リリーにそう言われて、私はクレスアドル邸を出ていく、のだが……
「うわぁぁぁぁぁぁぁん私のばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「……本当に解けたみたいだね。にしてもどうして……ってあ、ジークか!きっと今は……実験中かな?よし、そうと決まれば学校へ行こう!」
門のあたりでそんなリリーの悲鳴?のようなものが聞こえてきた。ふふ、リリーも意外と可愛い一面あるじゃん。と、それはさておき……やっぱりなんで十二時間も早くリリーが正気に戻ったのかが気になる。もしかしたらジークが何かしてくれたかもしれないから、一応ジークに会いに行ってみよう。
「あ、やっぱりいた。おーい、ジーク~」
「あ、ローズ様!そのご様子だと無事だったみたいですね、良かったです」
「危ない場面は多々あったけどね……あはは」
「そういえば……どうなさいましたか?」
「えっとね、急にリリーのヤンデレ化が解けたからもしかしてジークが何かしたのかなって」
「って事は、あれが無事に効いてたんですね、良かったです」
「あれ……?」
「はい、ローズ様が逃げたあと、たまたま近くにあった解毒の薬を皆様に飲ませたんです。結果、四十八時間のうちたった十二時間しか縮めれませんでしたが……無事効いたなら何よりです」
予想通り、ジークは薬学室で実験をしていた。そして話していたら、やっぱり時間より早くヤンデレ化が解けたのはジークのおかげみたいだ。
ていうか……なんでたまたまそんな薬が近くにあるんだろうね。まぁでも……
「でも、おかげで助かったよ。ありがとう、ジーク」
「いえいえ、体を乗っ取られていたとはいえこれは僕の責任ですから。これくらいはして当然ですよ。あ、そういえば僕もひとつ聞きたかったんですが……」
「ん?私に答えれることならなんでも答えるよ!」
「でしたら、そのメサーク?という魔族について教えて欲しくて」
そして私はジークに以前メサークが襲撃をしかけてきたこと、謎に私達のことを『来訪者様』と呼んでいること、ジークの見た目や話し方、目的が一切不明な事を話した。
「目的はわからない……けど、ローズ様に固執をしているって事、ですよね」
「うん、大体そんなイメージかな」
「念の為、僕も要警戒しておきます。魔族はまた人間と違った魔法を使う……意外と興味深いかもしれない!」
さすがは研究者とでも言うべきなのか、心の声がダダ漏れだししかもそれが全部欲望だし……まぁさすがはジークとでも言うべきかな。
「それじゃあ私はこれで帰るね。実験、頑張ってね」
「ありがとうございますローズ様!ローズ様の方こそ気をつけて帰ってくださいね!」
と、最後にジークとそんなやり取りをして私は薬学室……というか学校を後にする。そしてフラフラ歩いていると。
「あ、マイ!こんにちは!」
「えっ、あ、ローズ様!?ご、ごめんなさい!!」
「あっちょっとマイ!」
マイに出会った。が、マイは私に驚いて物凄い勢いで頬を赤らめて、全速力で逃げてった。……これは本気で恥ずかしいのかはたまた他の何かか。……ていうか今更ながら、記憶ってちゃんと引き継がれるんだね。いやまぁ……体を乗っ取られたジークにもちゃんと会話が聞こえるようにしているメサークだし……記憶も受け継がれるよね。
次回から二話ほど紗蘭と峰華にフォーカスを当てた話になります、よろしくお願いします




