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悪役令嬢はパーティーにて主人公と出会う

と、名も知らないメイドが迎えに来た。


「もう準備は充分にできています。さぁ、早く行きましょう」


と、そのメイドに私は意気込んで話す。

何せこっちは今日のために色々獅子奮迅して来た。後はパーティーに望んで無事にイリアとラーベルをくっつけてバッドエンドを回避するだけ。……ついでにドレス姿の推しを拝める。


「それでは行ってまいります、お母様、アベル」

「行ってらっしゃい、ローズ。くれぐれも迷惑のないようにね」

「行ってらっしゃいませ、お嬢様。お怪我等々気をつけて」


アベルとお母様に挨拶を済ませて、私は馬車に乗る。

少し経ち、私は馬車に揺られながら重要事項について再度確認をしておく。


「礼儀よし、ワルツよし、黒魔道士よし……これはまぁリリーのおかげだけど。イリアよし。そしてドレスもよし、髪型も良し。オールオーケーね!」


ドレスはいつものやつだが汚れは着いてない。し、アベルが家に来てから毎日アベルが丁寧に洗濯してくれている。髪型もアベルがセットしてくれたから問題無し。……でもでも、油断するな私!今は私の何も知らないルートだから……もうとにかく無事に終わる事を祈る!


……と意気込んでから20分くらい経った頃、ようやく着いた。

馬車から降りて、そのパーティー会場の外見が目に入る。

やはり生で見るとでかいな……って言うか、全てに共通して生で見るとゲームで見てるより色々とすごいんだよな……

パーティー会場もとてつもなく大きく感じるし、イリアやアベルだってゲームよりもずっとずっと可愛い。そしてローズ様も生で見ると目が焼けそうなくらいに美しい。……中身は私なんだけど。


「イリアであれなんだからリリーやアキ様の場合どうなるんだろ……イリアは推し補正とかもあったけど」


今更ながらリリー・クレスアドル。本作の主人公で本来はローズ様に目をつけられる公爵令嬢。魔法はあまり得意ではなく、その魔法も身体強化だけなのであと4年後の魔法学校でたくさんのいじめに会う。リリーはとてつもないお人好しかつとてつもない美貌の持ち主なので周りから多く嫉妬の目を向けられている。これがゲームでローズ様が目をつけた原因。とにかくゲーム越しでもその美しさは凄い伝わってくる。

次にアキ様ことアキ・スマーティア。

私と合うのはあと1週間ほど後だけれど私が5歳くらいの時から居たメイド長。中性的な顔立ちに、口元の黒子。一切の無駄がない洗礼された動きでテキパキ与えられた事をこなしていくのだがちょっと抜けてるところがあるギャップの持ち主。

アキ"様"と多くのファンから呼ばれるくらい、本当に魅力に溢れている人だ。……これもう本当に私の目が燃え尽きるんじゃないかな……。

とりあえず私は中に入った。


「うわぁ……やっぱり中もものすごい広いわね……」


と、内装の広さに驚きながら歩いていると……


「すごいですね……やはりとてつもなく広いです……」

「…………!」


同じ事を言っている人がいた。その彼女を見て、私は驚く。

そして再度確認させられる。今私がいるこの世界は本来のルートとは大きく逸れている事を。


「はぁ……薄々予想はしてたけど……本当にルートから大きく逸れているのね。……まさか本来はいないはずの彼女がここにいるなんて……」


私の視線の先には、白髪サイドテールの赤と黒を織り交ぜた色のドレスを着ている少女がいた。……そう。本来のルートでは絶対に姿を現さないはずの、リリー・クレスアドル。本作の主人公であり、ローズ様と会うのは魔法学校に通う15歳のはず……確か人見知りが激しくてこれなかったのでは?

いや、まぁ……イリアを助けた時点で大きくルートが変わることは予想してたけどまさか本当にリリーがパーティーに来るなんて。と、リリーを見つめていると彼女はこっちに気づいて振り返り、近くに来る。


「そこの貴方、どうしましたの?(わたくし)の事をじっと見て……」

「い、いや……あまりにもリリー様の後ろ姿が美しかったものですからつい見惚れてしまいました……」


と私が言うと、少しだけ彼女が驚いたような表情をした。

……本音である。ほんっとーーにお世辞抜きで……というか、お世辞を言う余裕もないほど美しすぎる。リリーがいた事に対して驚いてたのもあるけど、何よりリリーが美しすぎた。その後ろ姿だけでも美しすぎた。風に髪がなびいただけでも私の視界がキラキラとしたエフェクトで満たされるくらい……というか我ながらよくこんなにも理性を抑えれてるなと思う。あの髪の美しさに加え薄紫の瞳さえも美しいのだからきっと今私がローズ様じゃなければきっと理性をぶっ壊されて卒倒していた事だろう。


「ふふっ、嬉しいことを言ってくれますのね。そういうあなたもとても美しいですわよ。私はリリー。リリー・クレスアドルです。あなたのお名前は?」

「ありがとうございます、リリー様。私はローズ・コフィールと申します。」

「ローズ様、もしあなたさえ宜しければこの後一緒に踊りませんか?」


……といきなりリリーに誘われて焦りつつも、色々この後の事を考えた結果しょうがなくイリアとラーベルをくっつける為に利用させてもらうことにしましょう。何せ私は悪役令嬢ですもの……ならば人間のひとりやふたりは利用しないと。


「え?でも女性同士じゃ……」

「大丈夫ですわ。私、こういったパーティーには何度も参加してまして。ですから男性のパートは覚えていますの」

「それは……凄いですね……!」


と、話していると。


「あら?ローズ!こんばんは。リリー様も一緒なのですね」

「イリア!無事に来れて何よりです!」

「お初にお目にかかります、リリー様。私、イリア・ミシェンスと申しますわ。」

「あら、私の名前を存じてくれていましたのね。初めまして、イリア様。ご存知かと思いますが、私リリー・クレスアドルと申します。」

「イリア、そのドレス凄い似合ってますね。」

「ありがとうございます。ローズも、大変似合っておりますわよ。」


以前助けた時のイリアはなんというか、私服?とか村娘?とかそっち系の服だった。ゲームでも度々見てはいたけど、やはり生で見ると言葉に表すのが失礼な程に可愛い。イリアにリリーって……何回私の理性は死にかけるんだろうか


「そういえばローズ、この後のワルツの相手っておりますでしょうか?」

「ええ。先程リリー様と踊ろうって話になってます」

「そうですね。ローズ様となら一生忘れぬほど楽しいものになると思い、気持ちが先走ってしまいましたわ。」

「そうですのね。できたらローズと踊りたいと思っていたのだけれど……リリー様の言うことも充分に分かりますし、それにまたいつか踊る機会なんてあるでしょうしね。」

「私で良ければ、誘ってもらえればいつでも踊りますよ。」

「イリア様。もしまたお会いする機会があれば、今度は一緒に踊りましょう?あなたと踊ってもものすごい楽しそうですわ。」

「そう言っていただけて光栄ですわ。ええ!また是非会う機会がありましたらその時は是非ともに。……とはいえ困りましたわね。私あまり人に話しかけるのが得意じゃないのですわ……誰と踊りましょう?」


よしよしよしよし!イリアとリリーに囲まれて理性はほぼ崩壊寸前だが、ちゃんと従来の目的は覚えている。ここでイリアに上手いこと言ってラーベルと踊ってもらわねば……!

……ぶっちゃけ、バッドエンドを回避する為……というのはあながち間違いでは無い。というか間違いであってたまるものか。私のこれからがかかっているんだ。正味、バッドエンド回避の他にももうひとつ目的が、第二の目的があった。それが……

"推しのイチャイチャ成分の補給"!なんだかんだ言っても私は高校二年生だ。乙女ゲープレイヤーだ。もちろん推しカプの一つや二つ、あるに決まっている。そしてその推しカプのひとつがイリア×ラーベル、通称イリベルと呼ばれてるものだ。

せっかく異世界に転生して、私が見たかった全てをこの目で見ることが可能なんだから……ねぇ?生の推しの恋愛なんて見たいに決まっている。というか見たくない人っているの?


「それなら……ラーベル様とかどうでしょう?」

「ら、ら、ラーベル様!?わ、私なんかがいいのでしょうか……?」


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