思い出 市街
「さて、次はそうだなぁ……じゃあ少し外れた街に行こっか」
「少し外れた……あぁ、もしかしてマイと出会ったとこ?」
「うんそうそう!折角イリアと出会った花畑に行ったんだからこのままみんなと初めて会ったところも行きたいなってね」
「みんなと会ったとこ……ほとんど学校じゃない?」
「学校は最後に行きたいな」
「んー……まぁ、そうだね」
「学校でちょっとしたいことがあるからさ」
「したいこと?」
「うん。……とりあえず、またその時になったら教えるよ」
話しながら私達はマイと初めて出会った時のあの市街へと向かう。そこにいるかどうかは分からないけど……まぁ、ね。大事なのは振り返ることだから。
「懐かしいなぁ……あそこで丁度マイが少し柄の悪い男に絡まれてたんだよね」
「あー……そういえばそんなイベントあったね。本来ならラーベルが助けてたんだったよね? 」
「うん、だけどまぁ私が破滅エンドを回避する為に無理やり助けに入って……結果助けれて今って感じ」
「あ……ローズ見て! マイとジークだよ」
「……あ! ローズ様にリリー様! 」
「こんなとこで会うなんて奇遇ですね。おふたりはここに何か用事でも? 」
街をリリーと話しながら歩いていく。それから数分、書店からマイとジークが出てきた。……お、ラッキー。まさかジークも一緒に会えるなんて。
「んー、思い出の振り返りって言うのかな。リリーにね、まだリリーと出会う前の話をしてあげてたの」
「そうなんですね。私も……今でも、覚えておりますとも。ここであなたと出会い、私はこんなにも変われたんですから」
「いいなー、私もその場にいたかったなーー」
「マイからよく聞いてますよ。いっぱいローズ様が守ってくれた、と。改めて本当に好かれてますね、ローズ様は」
「ちょっとジークさん……恥ずかしいですよ」
あぁそういえば。なんだかんだで二人も付き合うことになったらしい。確かに前々からジークはマイとよく絡んでたしねぇ。
「そういえばおふたりはこの後どちらに向かわれるおつもりで? 」
「んー、今のところ未定かなぁ。ぶらぶらと歩きながらのデートだから」
「そそ。ローズとは歩いてるだけでも楽しいからね」
「……あの、宜しければお昼、一緒にどうですか? 」
「お昼? ……あ、ほんとだ。もうお昼なんだ。うん、食べよ食べよ! 」
話していたらあっという間に時計は十二時を指していた。
お昼は適当なお店で済ませた。……相変わらず、言葉が出てこないほど美味しかった。それから……あの二人が尊いの極みすぎてちょっとつらい。
「ローズ様。明日はぜひ、楽しみましょうね」
「うん、楽しもー! それじゃあね! 」
と、二人に手を振って私とリリーは街を後にしてまた歩き始めた。