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思い出 花畑


「そうだね……最初はどこ行こっか」

「色々歩き回ろうよ。ゆっくり振り返ってこ! たくさん、思い出あるんだから」

「じゃあちょっと、行きたい場所があるんだけど……いいかな? 」

「うん、じゃまあまずそこに行こっか」


振り返る……なら、まずはあそこからだよね。ここからはちょっぴり遠いけど、リリーと一緒なんだもん、直ぐに着くよね。


「……これは私の思い出だけど……ここは、私がイリアと初めて会った場所。リリーも知ってると思うけどね」

「本来ならここでイリアは腕を焼かれてパーティーに来られなくなるんだったっけ」

「そうそう、最初はラーベルをイリアになすり付ける予定だったからさ」


そうして辿り着いたのは、沢山の花々が美しく咲き誇り、風を嬉々として浴び揺れている花畑。私が、イリアと出会った場所。今思い返すと懐かしいなぁ。あれももう十年近く前になるのか。


「そういえば……ここって昔と全く変わってないよね」

「十年前の、ゲームの景色と全く同じだね」

「……あら?ローズにリリー! ごきげんよう! 」

「あ、イリア! やっほやっほ! 」

「もしかしてだけどさ。イリアってずっと前からここの手入れしてたの? 」

「ええ。 この花畑はお爺様が私に与えてくださったものですから。 それに、ずっと前からここが好きなのは変わっていませんもの……どうしてお二人はこちらに? 」

「今ね、ローズとデート中なんだ。それで、思い出の場所を歩いて振り返ってこうって」


花畑を進んでいると、風に吹かれてなびいている桃色の髪が目に入ってきた。なるほど、私と出会ったあの日からずっと、定期的にここの花の手入れをしていたんだ。っていうかここってイリアの所有物だったの!?


「嬉しいですわ。ローズにとってこの花畑が、私との出会いが、大切な思い出になってくださっているということですものね」

「うん、ほんっとーに、大切な思い出だよ。イリアとの出会いも、この綺麗な花畑も。改めて思うもん。あの時、イリアを助けてほんとに良かったって」


理由は確かに邪なもの……っていうか自分のためだった。けど、今こうしてみんなと一緒に笑えて、かけがえのない思い出が数え切れないくらいに増えて。そして私は今ものすごく幸せなんだから、全く後悔はしてない。いや、きっと今後もすることがない。


「ローズ。あなたに、こちらを」

「えっとこれは……バラ?」

「以前、リリーからこのバラというお花がローズの名前の元となっていると聞きましたの。それに、このバラ……ローズに似て、とても美しくて綺麗ですから……つい、渡したくなってしまいました。それに、明日はローズの誕生日でしょう?」

「あ、そういえば」

「ですから、一足先にプレゼントを、と。明日になりましたらまたちゃんとしたプレゼントをご用意させていただきますわ」


イリアは近くにあった一輪のバラを摘んで、私にくれた。このバラ、綺麗だな。……帰ったら部屋に生ておこう。


「ありがとうイリア。ずっと大事にするよ」

「リリーは、確かユリ……でしたわよね。また、誕生日が近づいた時に渡させていただきますわね」

「うん、ありがと。楽しみにしてるよ」

「それじゃ、そろそろ行こっか」

「それじゃあイリア、また明日のパーティーでね」

「ええ」


イリアとのやり取りを終えて、私とリリーは花畑を後にした。

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