たくさんの初めて
それから私とリリーは、この街で一番高級なホテル?へと案内された。前世では無いことばっかりで、すごいとしか言いようがなかった。何気に私、ホテルは初めてだから……
「落ち着かない?ローズ」
「う、うん……こんな高級なホテルなんて今まで一回も行ったことなかったから」
「ふふ、私も同じ。こんな高級なホテルは生まれて初めてだよ」
お風呂やご飯を済ませて、今はまた二人でベッドに座って話している。着替えに関しては家から着替えだけ転送したから問題ない。
「この世界に来てから沢山の初めてを経験してるよね、私達」
「うん、そうだね。前世よりもずーっとずーっと幸せな事ばかりだよ……罰が当たっちゃいそうなくらいにね。……リリーのおかげだよ」
「そっか。なら、言葉にできないくらいに嬉しいよ。あとそれで言うなら……ローズの方こそ、私に沢山の幸せをくれたんだよ?私からしたら何十、何百、何千年かけても返せないほどの大きな恩をくれた。だから……ローズのおかげで私は今幸せです、本当に、ありがとう」
「どういたしまして。私の方こそ、ありがと」
昔の事、思い出せば出すほどにどんどんリリーの事を更に好きになっていく。だって、リリーも、紗蘭も、私に沢山の初めてをくれたから。
初めて、私を受け止めてくれた。初めて、私の大切な人になってくれた。初めて、人を好きになった。恋をした。初めて、私の事を好きになってくれた。
「私ね、ローズの事がほんっとーーーーに大好きなんだ」
「……知ってる。急にどうしたの?」
「だから、今がとっても嬉しいなー、幸せだなーって思って。好きな人に好きでいてもらえてることが嬉しい。こうやって、ずっとずーっと私のそばにいてくれることが嬉しい。……ローズに、先輩に、私を好きでいてもらえてることが何よりも嬉しい。あの先輩が、私に恋をしてくれたことが嬉しい」
「えっと……あの私って?」
「……メサークと戦ってた時ね。半ば強制的に私と出会う前の先輩をずっと見せられ続けたんだ」
「私の過去、見たんだね。……私も驚きだよ。まさかあんな状態から誰かに恋をすることになるなんてね。……しかも、相手が尚更考えられなかった女の子だなんて」
「だからこそ、言葉にできないくらいに嬉しいんだよ。先輩に好きでいてもらえてることが」
「これからもずっとずっと……一生、大好き」
「うん、私も」
……リリーで、良かった。私が恋をしたのがリリーで、紗蘭で、本当に良かった。そのおかげで今、私はとてつもない幸せを感じられてる。きっと、リリーじゃなかったら、紗蘭じゃなかったら。こんな気持ちなんて抱いていなかった。
「……そろそろ、寝よっか」
「うん、そうだね」
話し終えた私達は、ベッドに横になる。そして、お互いに抱きつく。……やっぱりすごい落ち着くな。こうするのは。今日はかなり疲れたのもあって、いつもよりぐっすり眠れそうだ。
「リリー」
「なに?ローズ」
「大好きだよ」
「……ありがと。私はじゃあ……愛してるよ」
「私だって……負けないくらい、愛してる」