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圧倒


「さて。そろそろ終わった頃かな」

「終わった?あぁ、あの街がか?」

「いや?そうじゃなくて……妖狐の掃討が」

「何を言う。あそこには貴様ら以外戦える者がおらぬだろう」

「いや、いるよ?君の妹ちゃんが」


あの妖狐はアリアなら十秒もあれば片付けられるくらいだった。だからおそらくもう終わってるはず。


「アリアが……?あぁ、なるほど。召喚魔法か」

「正解……って事でいいよ。それじゃあいい加減始めるとしようか。言っとくけど、私今容赦できないから」


明確に言うとあれは召喚魔法ではない。召喚魔法よりもずっと強力なものだ。……で。さぁ、思う存分いたぶるとしよう。そうでもしないとこいつは撤回しないはずだから。


「はぁっ!!」

「……ふっ。ふはははは!いかに貴様が強かろうと、当てることが出来ないのであれば弱者同ぜ……」


私は八方向に向けて、それぞれひとつずつ速度を微妙にずらして火球を放つ。そして、ぱちんと指を鳴らす。すると、私が放った八つの火球が、全て爆発する。最初は笑っていた黒い狐だったが、一秒後に理解が出来ないと言った表情をしていた。


「……今、何が起こった」

「さぁ、何が起こったんだろうね」

「く……貴様、私を馬鹿にしているな?この、ロクロを」


……ロクロって言うんだ。初めて知った。いちいち黒い狐っていうのもめんどくさかったからちょうど良かったかな。


ロクロは、指から黒い炎の球を作り出してそれを私に向けて超高速でぶつけてくる。私は、またぱちんと指を鳴らす。


「……何故だ。何故攻撃が全て私に当たるのだ」

「クレスアドル流二刀……切渾!!」

「ぐっ……」


また、私がぱちんと指を鳴らすとリリーがロクロの前に現れ、ロクロは切渾を直に食らった。


「ようやく種が分かったぞ……転移魔法か」

「ご名答。でも、種がわかったところで対策なんてできないでしょっ!」


私が今使っているのは転移魔法……の更に上、強制転移。本人の意思は関係ない。予備動作も発動に要する時間も一切ない。よって、タイミングを読むのは限りなく不可能に近い。また、インターバルは挟まない。


「いや、対策ならばできるとも。その転移魔法の欠点を見つけたのでな」

「へぇ、欠点か」

「先程から一人しか転移できていないでは無いか。故に……欠点は、転移できる人数には限りがあるというものだ!黒炎大蛇!!」


ロクロの手から次々と黒い炎を纏った巨大なヘビが生み出される。そしてそれは、私とリリー二人めがけて突っ込んできた。


「何勘違いしてるの?別に出来る出来ないじゃなくて、さっきからロクロの攻撃がゆる~いから一人転移させるだけで済んでたんだけの話。……ほら」


また、指をぱちんと鳴らす。私達はロクロの後ろに。ロクロは私達がいた場所に。いわゆる位置を入れ替えるってやつ。こんなことも出来るし、この強制転移には人数制限はない。だからニア達は強制転移で屋敷に送った。……で。


「"止まって"」

「……体が、動かせ……」


強制魔法でロクロを固定する。すると、ヘビは全てロクロに当たり、体の至る所を火傷していた。黒炎大蛇か……これは中々に遊べそうな気がするな。


「黒炎大蛇」

「話に聞いていたとおり、まさか本当に私の技を真似るとは」

「まぁ、もちろん使用者が私なんだからただの技だとは思わないでよ?」


ロクロと同じように、手から無数の黒い炎に包まれた巨大なヘビを生み出し、ロクロ目掛けて突撃させる。……が、ヘビは途中で消え去った。


「蛇が消えた……?」

「リリー、飛んで!」

「おっけー!」

「本気で回し蹴りできる?」

「おっけー!それじゃあざっと五十倍くらいで……」


さっきから戦っててわかったことがある。ロクロは、リリーの攻撃は極力防ぐようにしているのだということ。おそらくそれは、リリーは結界が破れないことを理解したからだろう。


さっきは急に転移させて切渾を喰らわせれたけど、あくまでリリーは体術がメインだ。つまり、同じことをやればいいわけで。超がつくほどのタイミングゲーにはなってしまうけれど、リリーに思い切り飛んでもらい回し蹴りをしてもらう。そしてそのタイミングで、ロクロをリリーの真下に転送する。


「よし、今!」

「っ……!!!!」


タイミングが噛み合い、見事ロクロに当てることが出来た。蹴りを貰ったロクロは勢いよく地面に撃ち落とされ、軽く地面を突き破った。で、更にそこに……


「はぁっ!!」


さっき消したヘビを出現させて撃ち込む!!これ、これがしたかった!!アニメでよく見たコンボ技!!


「クソッ……」


様子を見るに、もうロクロは戦え無さそうだ。……とはいえ、まだあの発言を撤回してもらうまでは許す訳には行かないからね


「どう?散々愚かって言ってた人間に圧倒的な力の差を見せつけられた気分は」

「ふふ……ははは。まさか二千年生きて初めての敗北が貴様ら人間だとはな。我ながらとてつもなく醜いものだ。貴様らを愚かと言ったことは撤回しよう」

「撤回してくれるなら私は別にいいよ、もう」

「私ももういいや。後はまぁアリアに色々と任せるかな。あ、そうそう。次は無いからね」


よーし、何とか撤回してもらえることが出来た。とりあえずはこれでおしまいかな。後は……街の修復か。

あとそうだなぁ、アリアに任せるって言ったけどどんな会話をするのか気になるからまた盗み聞きしちゃおうかな

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