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黒い狐


「……ちっ。あのガキ共、ローズ達を呼びやがって」


満月が照らす街に、黒い九つの尾を生やした男が現れる。……これが、例の黒い狐か。たしかにアリアよりも魔力を感じる。さて、やれるかな。


「……なんてことは今はいい。さて……恐らくローズ。貴様、無理やり満月を顕現させたな?」

「あ、バレてる」

「一体どういうつもりだ?」

「もちろん、君を討伐するために無理やり顕現させたに決まってるじゃん」

「ほう、それはなかなか強気なことを言う。アリアと互角がやっとな貴様らに私が倒せるとでも?」


話してる途中、リリーの周りに黒い炎が浮び上がる。


「リリー!」

「わかってる!」

「これを避けれた人間というのは貴様らで初めてだが……正直、これくらいはできてもらわないと困る」


やがてその黒い炎はリリーへと向かって集まり、黒い火柱を作りあげた。……流石だ。かなりめんどくさい事をしてくる。だけどさすがはリリー。飛び退って難なくそれを躱した。


「んー……ここだとちょっと場所が悪いかも。変えたいんだけど」

「……貴様らを葬れれば確かに全ての都合が良くなる。ましてや貴様達から私を探しに来てくれるなど、願ってもない事だ。……いいだろう、場所を変えよう。……そうだな。では、私の変わりにお前達に暴れてもらおうか!集え、妖狐の軍勢よ!」


黒い狐の手から次々と小さな妖狐が生み出されていく。……なるほど、私達が集中してるが故に、妖狐達は一切触れれない。かと言って、妖狐の処理に回れば現状のまま戦闘は続行、と。……まぁ、いいか。策は用意してある。


「場所は……そうだな。そこの砂漠にしよっか」

「あそこなら思う存分暴れても大丈夫だしね」

「良かろう。では、私を楽しませてみせるがいい!」


ここ、リービアに隣接している名も無き砂漠へと移動する。ここならいくら暴れても環境に問題は無いし、なんならむしろ余波で魔物が死んでくだろうからむしろ良影響だ。さて、それじゃあリービアは彼女に何とかしてもらおうか。


【アリア、状況はわかってるよね。準備はいい?】

【もちろんじゃ。……久方ぶりに暴れてやるとするかのう。さぁ、いつでもよいぞ】

【了解!】


「ほう?まさか本当に妖狐を放っておくとはな。まさかこんなことになるだろうとは思っていなかっただろう?生憎だが、そんな醜い知能に読まれるほど私は愚かでは無いのでな」


うわぁ、超生意気じゃん。え、てか私ディスられた?

醜い知能か……要はあれかな。人間をとにかく下に見ているんだろうね。それで、若干調子に乗りつつもあると。……典型的な敵キャラじゃん。


「……リリー?」


リリーに目を向けた一瞬の出来事だった。リリーは隣におらず、リリーがいた場所から黒い狐に向けて紫色の閃光が走った。


「ローズの知能は全然醜くないから。むしろとてつもなく清いから。撤回してくれないかな?」

「何故撤回する必要がある?あくまで事実を述べただけだろう。というか、貴様も貴様でまぁ随分と愚かだ。そんな怒りに身を任せた攻撃で人間風情に私が討てるとても?少しは頭を使ったらどうだ、馬鹿が」


私を馬鹿にされた事が気に入らず、リリーが咄嗟に斬りかかっていた。それを、黒い狐は黒い魔法の結界で防ぐ。……まぁ、そんなことはどうでもいいんだ、うん。


こいつ……今、リリーの事を馬鹿にした。リリーが愚か?馬鹿?いやいや、そんなまさか。……不思議だ。怒りは怒りでも、今まで抱いていた怒りとは遥かに違う。怒り?憎しみ?さぁ、なんだろうか。とりあえず……


「ごめんリリー。私もだいぶ頭に来ちゃった」

「気持ちはわかるから大丈夫だよ。私も今すごい頭に来てるし」


人間風情、ねぇ。……ふふ。覚悟しててね、名前も知らない黒狐。


「今から、一番愚かなのは誰かって事、証明してあげるよ」


容赦は一切ない。全力で叩きのめす。

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