ラストスパート
現在進行形で燃える地面は継続中な為、私は空に浮いたまま、この眼を解除しないように、例えるならば閃光のようなリリー相手に一分近く持ちこたえなければならない。しかも、一度でも喰らえば恐らくコンボ……というかそのまま連撃を決められてゲームオーバー。……え?ハードモード過ぎない?
「解刀緋桜一ノ解……炎魔!!」
「クレスアドル流四刀、三日月!!」
緋桜をリリーに向けて振る。すると刀身が光り、リリーの時よりも激しい黄色い炎の波がリリーを飲み込まんとする勢いで押し寄せる。リリーは緋桜で三日月を描き、それを豆腐でも切るかのようにいとも容易く切り凌いだ。……え?ねぇ待って、波って切れるの?え?
「クレスアドル流ももう惜しみなく使ってくから!!五刀、横凪ぎ!!」
……なかなかに、いや……言葉では表せれないほどに早い。他の人からしたらゆっくり緋桜を横に振っただけに見えるだろうが、私には見えていた。恐らく、これは早すぎて一周まわって遅く見えるあれだろう。
何せ、一回横に振った風に見えてるだけでも実際は十回近く振っているから。これは……厄介極まりない!!
「雷虎!!」
腕から手のひらにかけて、電流が私の左腕を伝っていく。電流は手のひらに集まり、ビリビリ、バチバチと暴れている。……ちょっと、痛いかも。
電流を凝縮して、小さな雷の球に変える。そしてそれを、放つ。進んで行く度に雷の球は大きくなり、やがて白く光る虎が現れた。
「触ったら痺れちゃう感じ?おーけー」
「炎鎖!!」
「全部まとめて切る!!炎波刃!!」
リリーが高く飛び上がる。そして私は炎の鎖で攻撃を仕掛けようとする。焔の鎖がリリーを捕らえる……わずか手前。突然、炎の鎖がちぎれて消えていった。……もしかして、フェイク?いや、違う!!
「はあっ!!」
リリーは地上目掛けて燃え盛る衝撃波を放った。衝撃波は雷の虎を貫き、大爆発を起こした。……こういう使い方もできるんだ、初めて知った。
リリーの制限時間は残り……三十秒とかそこら辺?このままいけば勝てる。もう、終わっちゃうのか。楽しいのに。この時間が、大好きなのに。私のどんな技も通じなくて、それで油断したらいつ負けてもおかしくないし、体だってボロボロなのにとてつもなく楽しいこの状況が、大好きなのに。
「残り三十秒くらいだよね、リリー」
「流石の観察眼。うん、あと残り大体それくらい」
「本当はもうちょっと、いやずっとやってたいけど。ラストスパート、あげていくよ!!」