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Bブロック決勝


翌日。今日はBブロックだ。私の隣には、私を真ん中にしてリリーとアリアが座っている。といっても、正直Bブロックもイリア対マイ以外見所はないしな。実際特に見所がある訳でもなく決勝まで来ちゃったし。

あ、でも途中でイリアもマイもかなり成長は感じられた。


『それでは、Bブロック決勝戦の方を始めていきたいと思います』


えっと……うん、さっきから気になってたけど実況……ってか司会って日替わりなの?今日めっちゃダウナー系っていうか、落ち着いてない?あの熱血お兄さんは一体どこへ……


「選手の入場です。まずはこの方。持ち前の大きな魔力とセンスで見た目とは裏腹な強さを誇る前大会の優勝者。マイ・サヴェリス選手~」

「最後の戦い、楽しみましょう。イリア様」


「相対するはこの方。雷魔法を得意とし、度々マイ選手ともぶつかりあってきたこの方。前回は惜しくも3位で終わってしまいましたが、今大会はどこまで行けるのか?イリア・ミシェンス選手~」

「そうですわね。私今、ローズ達が見てくれてるからかなり燃えてますの」


例の如く紹介が終わると、二人は闘技場の中央まで行き、向かい合う。


『それでは……武術大会Bブロック決勝戦。用意……始め』


「火のあられ!!」

「く……一手遅かったですわ。雷よ!!」


合図が終わる。と同時に、マイは魔法で作った小さな火の塊を無数にイリアにぶつけていく。そしてそれを、イリアは雷を手に纏わせて薙ぎ払っている。


「炎よ、咲け!!」

「それはもう、対策してきてますわっ!!」


度々見てきたあの技。マイは、闘技場の地面という地面を全て黒い炎の花で埋めつくした。そしてイリアは、飛行魔法を使って軽く宙に浮き、雷玉を生成して全ての花を吹き飛ばした。もちろん、大爆発が起こる。


「よし、とりあえず間に合った」

「あれくらいなら別に大丈夫だと思うが?」

「ずっと前からローズはそういう性格なの。それに、そこそこ大規模な爆発だし」


とりあえず警戒して、観客席をまとめて埋め尽くすような結界を展開した。実際爆発の規模はとてつもなく大きいものだし、煙で前も見えない。結界を貼ってなかったら何人か怪我してただろう。……っていうか、あんな大きな爆発を受けておきながら結界にヒビすら入ってないのやばくない?


「……観客席の方は、ローズ様のおかげで無事みたいですね」

「えぇ、そうみたい……ですわね。久しぶりですわ、こんな怪我を負ったのは」


やがて煙が晴れて、闘技場の方が見える。見れば、イリアは頭から、マイは頬から、血を流していた。繰り返すが、そこそこな規模の大爆発を起こしたので、イリアもマイも当然かなり負傷はする。


「それよりも……少しまずいかもしれないですわね。今の大爆発でも、あなたはまだ本気を出していない」

「まだ取っておきたい理由があるんですよ。何より、もし魔力を解放した状態で使えば私も、貴方も、ただではすみませんから」


よくよく見ればそうだ。あれだけの爆発を起こしておきながら、マイの目元の雫はまだ消えていない。……驚いた。まさかここまで成長してたなんて。


「あら、気遣ってくれて嬉しいですわ。じゃあ……私も一発、高威力のものをやらせてもらいますわ。……轟雷!!」


イリアが唱えた次の瞬間、ゴォォォォォォッというけたたましい轟音とともに、マイめがけて雷が落ちてきた。うお、イリアもこんなことできたんだ。揺れが凄いな。ここからでもちょっと空気がビリビリしてるのを感じる。っていうかマイ大丈夫?


「はぁ……はぁ……」

「くっ……腕が」

「……やっぱり、あなたとの勝負はとてつもなく楽しいですわね、マイ」

「同感です、イリア様。私も、貴方との勝負は大好きです」


イリアがかなり疲れてるように見える。やはり、普段使う魔法とは比にならないくらい魔力を消費するのだろう。マイの右腕も焼け焦げて黒く染まって、もはや動かすことすら困難といった状態だった。それでも、二人は笑いあっている。うん、二人は本当に仲がいいな。


「そろそろ本気を出したらどうですの?」

「持って十分。その間に、ケリをつけましょう。……我が内に秘める魔力よ、その全てを解放せよ!!」

「予想通り、腕は回復……ですわね。もう十分と言わず、この一発で構いませんわ。全力を私にぶつけてきなさいな!!」

「お望み通り、全力で行かせてもらいます。イリア様こそ、全力を私に見せてください」


マイは魔力を解放した。黒い雫がすぅっと消えていき、マイからとてつもない魔力が発せられる。多分、アリアにも匹敵すると思う。そして、あっという間に黒焦げになっていた腕は再生した。


「私の全てを、炎に!!」

「雷よ、我が手に集え!!」


マイの手のひらに大きな炎の塊が現れる。同じように、イリアの手のひらにも無数の小さな電気が集まってきている。


「……ローズ。これ、やばくない?」

「だね。魔力を感じただけで火傷する適度にはかなりマイの魔力が高まっていってる」

「あのマイという女、かなりのやり手だな。この私ですらも火傷するとは」

「じゃあ、火傷耐性の結界を……」


再び結界を展開するのだが、今度は火傷耐性をつけて結界内は火傷をしないように設定した。し、炎の魔力を通さないようにした。これで、受けれるはず。


「ふぅ、ありがと」

「さぁ、来るぞ」


アリアに言われて、下に目を向ける。するともうお互いに放つ寸前だった。


「これが、私の全てです!!舞え、炎鳥!!」

「上等ですわ!!迎え撃て、雷虎!!」


マイは集まった炎を前に放つ。すると、その炎は鳥の姿をかたどり、空高く羽ばたいていった。同様に、イリアは手のひらをかざすと雷が虎の姿をかたどり、マイへと襲いかかる。


「ぐっ……今だ……急降下っ!!」


マイは虎の攻撃をもろにくらい、血が溢れ出す。けど、それと同時に空へと飛んで行った黒い火の鳥が急降下して地面に衝突する……寸前。大きな火の塊となって、地面に激突した。そして次の瞬間、まるで地上の全てを吹き飛ばすような、この会場全体を包み込むほどの超巨大な爆発が起こった。


「ローズ!!これ、かなりやばい!!」

「わかってる!!結界が、割れる!!く、こうなったら!」


結界がミシミシと音を立ててヒビが入っていく。まずいと思い、やむを得ず時間停止を使う。そして、結界を上書きする。


「……ギリギリだけど何とか」

「うわ、揺れが!!」

「大丈夫だ、時期に収まる」


激しい揺れがしばらく続いたあと、爆発の煙も空けて下に倒れている二人の姿が見えた。マイも、イリアも、体の所々が黒焦げになっており、お互いにかなり大怪我を負っていたみたいだ。


「……わ、た……し、の……」

「く……う、ご、け……」


最後の力をふりしぼり、何とかマイは立ち上がった。今にも倒れそうなくらいにフラフラだけど。一方でイリアは、意識こそあるものの一切動けないみたいだった。


『……い、イリア選手の戦闘不能を確認!!よって勝者、マイ選手!!』


超がつくほど熱い勝負に、司会の人も最初とは打って変わってとてもハイテンションになっている。……さて。ちょっと治療するか。


「二人とも、お疲れ様。凄かったよ、あんなに二人が強くなってたなんて知らなかったな。でも、ちょっと無茶しすぎだよ?」


再び時間を止めて、私はマイとイリアのほうに降りていく。……はぁ、まさかただの体育祭で瀕死寸前まで行くなんてね。でも、それほど二人は気合いが入ってたんだろう。私がいるから。


「ロ……ズさま……」

「ロー、ズ……」

「……体の方はこれでよし。じゃあ次。私の魔力を分けてあげる」


二人に触れて、火傷の治療に加えて魔力を流す。


「ありがとうございました、ローズ様。すいません、少し熱くなりすぎてしまいました」

「私も熱くなりすぎてしまいましたわ……」

「気にしないでいいよ。あと、もう時間停止解けちゃうから、私は急いで戻るね」


時間停止の解除が着々と迫ってきてるので、急ぎ席へと戻る。……二人には、とてもいい試合を見せて貰った。次は、私か。


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