Aブロック決勝 主人公VS魔法学者
あれからもリリーは圧勝して、ジークも勝ち進み、あっという間に決勝のリリーVSジークになった。
……さて。ジークは果たしてリリー相手にどこまでやれるのか。
『さぁそれでは。Aブロック決勝戦、始めて行きましょう!』
「お嬢様。お隣、よろしいでしょうか」
「アリア。うん、いいよ。あと、今は近くに誰もいないし崩していいよ。マイ達なら平気だから」
「そうか、助かる」
空いてた私の右隣に、アリアが座る。まぁさすがにね?マイ達なら正体がバレても平気だと思うし。それに、アリアがどんな反応をしてたのかも気になる。
「お久しぶりです、アリア様」
「久しぶりだな、マイ、イリア」
「……?なんかいつもと話し方が違うように感じますわ」
「えっと……私がね、今は砕けた話し方でいいよって言ったんだ」
「私自身敬語は苦手なのでな。で、試合の方なのだが……」
「多分リリーの圧勝で終わるだろうね、また。というか、あのスピードに追いつけない限りは誰が相手でも圧勝で終わるよ」
正直な話、リリー相手なら流石のジークも手も足も出せずに終わると思う。別にジーク達が弱いだとかそう言う訳ではなくて、というか普通に強いしジークは。ただ単にリリーの強さがずば抜けてるだけ。
「多分、対等にやり合えるのは私とアリアだけだと思う」
「いや、さすがに私でも厳しいな。あの速度を見破ったところで目に大きなダメージが行く」
『選手の登場です!!まずはこの方!!二年ぶりに帰ってきたかと思いきや、次々と他の選手を一瞬にして薙ぎ倒していく強さの塊!!リリー・クレスアドル選手!!』
「悪いけど、また一瞬で決めさせてもらうよ」
『相対するはこの方!!この学園唯一の魔法知識を持ち、既に魔法学者の肩書きも所有している魔法知識では右に出るものはいない男!!ジーク・イジェスチェン選手!!』
「三十秒……いや、せめて十秒だけでも耐えてみせます」
また、それぞれ闘技場の中央へと行き言葉を交わして、試合が始まる。さて、どんな試合になるか……
「十秒か……耐えれるといいね」
「耐えてみせますよ、意地でも!!」
「おぉすごい、避けられた」
先制攻撃を仕掛けたのはリリーで、また軽く小突く程度なのだがジークはそれを間一髪で避ける。おぉ、流石ジーク。
「まだ開発途中の魔法がちょうど今のリリー様にぴったりだったので」
「開発途中の魔法……当ててあげる。未来予知でしょ」
「大体は当たりです。ですが、未来予知というのは違いますね。未来と言うよりは動きを読む魔法です。現状、持って一秒なのですが……今のリリー様ととても相性が良い」
未来予知……ってかそんなこと出来るんだ、やっぱジークの魔法知識はすごいな。
「未来予知、か……まぁまた随分と便利な魔法を得たものだ。ジークとやらはまだ未完成と言っていたが、お前であれば十分に使いこなせるのではないか?」
「あー……そっか。私も使えるようになるのか。それじゃあ少し試してみようかな」
……読めちゃった。リリーの動きが、読めてきちゃった。次にリリーは踵落としをする。そして勝つ。……風圧で。
「そろそろ勝たせてもらうよ。……はぁっ!!」
「くっ、はや……がっ」
ジークが踵落としを避けた次の瞬間、ジークは突然倒れた。……まぁ他の観客からしたら急に倒れたように見えるよね。
「……ローズ。今、何が起きた?」
「リリーもね、ちょっと変わった能力があるんだ。風圧を操れるっていう能力が」
「風圧?」
「うん。きっとアリアなら見えたと思うけど、リリーは空高く飛んで思いっきり踵落としをした。けど、それは避けられた」
「あぁ、そこまではわかる。だが、次だ。何故急にジークとやらは倒れた?」
「踵落としははずれた。そしたら、溜まってた風圧はありとあらゆる方向に散らばってくでしょ、普通なら」
「周りを遮るものは何も無いしな」
「だけどさっきも言ったように謎にリリーは風圧を操れるの。だから、散らばってった風圧を一つにまとめて、それを思い切りジークにぶつけた。それで、ジークは倒れた」
自分でも何を言ってるか分からない。けど、リリーは本当にできる上にこれがなかなかに厄介だからなぁ。
『決まりました!!Aブロック優勝は、リリー・クレスアドル選手です!!おめでとうございます!!』
……うーん、ますます不安になってきたかも。