ダンジョン攻略第四層 中二
「妖舞・炎打ち」
「くっ……全部、早い!」
「一見変化なく見えるが……速度や勢い等、全てにおいて先の攻撃の二倍じゃ。さぁ、どうする?」
「避けるのはちょっと厳しいかな。なら、私も!……妖舞・炎打ちっ!!」
妲己の周りを回っている狐火達が、先程よりも遥かに早くあちらこちらに散らばっていく。対抗するかのように、速度強化を上乗せして私も黄色い炎を散らばせていく。……流石にこれは避けるのもめんどくさいからね。相殺を狙わせて貰おう。
「ほう、相殺するか……そして、だいたい理解した。ローズ。そなた、常人とはまた違う特別な能力があるじゃろ」
「さすがにバレるよね。うん、あるけど」
「ならば筋が通っておるな。そして、そなたの能力は見たもの全てを自在に操れる……と言った感じか」
「半分あたり、半分外れ」
「ほう?その半分とは一体何なのじゃ?」
「真似できるのは見たものだけじゃないってこと。聞いたものや、記憶してるものならなんでも」
「面白い能力をしておるのじゃな。……気が変わった。前言を撤回しよう。そなた達を殺すのも、魂を喰らうのも止めじゃ。それよりももっと楽しいことを思いついた。ここからは……」
そう言うと妲己は周りを回っていた狐火を消した。不思議に思ってると、妲己の薄紫の髪が白く、長くなり、尻尾の数も増え、背丈も少女から大人の女性のようなものになった。魔力も、先程よりも増えている。
「ただ、妾との遊戯に付き合ってもらおう」
「遊戯?それに、どういう風の吹き回し?」
「さっきも言ったであろう?主らを殺して魂を喰らうより面白い事を見つけた。ただ、それだけの話じゃ」
すごい、なんて言うか……色気が凄い!!雰囲気も声も話し方も大人っぽくなったし、私達に対する呼び方も「そなた」から「主」になってるし。なるほど、これで沢山魅了してきたんだ。
「遊戯と言ったが、実験のようなものと思ってくれればよい。ローズ、今から妾の技を全て真似してみせよ。安心せい、断じて殺しはせぬ。リリーにも手は出さぬ」
「私もまだ自分の限界がわかってないからね。いいよ、付き合ったげる」
「えっと……私は?」
「あー……えっと……」
「結界紫炎」
リリーの周りから紫の炎が立ち始め、やがて炎は固まり、大きな結界となった。
「よほどのことがない限り炎攻撃全てを無効にする結界じゃ。今からローズに真似してもらうものは全て炎攻撃じゃから、変に動かず見ているといい。少々退屈させると思うが、それは許してもらいたいのじゃ」
「まぁ……別にいいよ。私、ローズの圧倒的な強さを見るの好きだし。それに、ローズが戦ってる姿は見てるだけでも楽しいから」
「話には聞いていたが、妾の思った以上にお主らの絆というのは深いのじゃな。……さて、始めようか」