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衝突 一


「逃げられてしまいましたかぁ。じゃあ……せめてあなた達二人は殺させてもらいますねぇ♡」


あまり思い出したくなかったのですが……昔からシンは変わっていませんね。そうやって歪な笑みを浮かべながら、私の大切な全てを壊していく。私を傷つける。


「そう簡単に殺されてたまるか、ですわ!私達にも守りたいものがありますもの!ですわよね?マイ!」

「はい!今もきっと、リリー様はローズ様を救うために頑張っているでしょう。もちろん、他の皆も。ですから……私だって、本気で守らせてもらいます」


誰かの為、という訳ではありません。もしかしたら、復讐に近いかもしれません。まぁ、そんなことはどうだっていいです。大事なのはただ……今、生きる為に、もう一度笑い合うために勝たなければならないということ。ですから、私も、イリア様も……誰も死なせずに。


「シン・オラクル。私達があなたを、打ち負かします」

「えぇ。言っておきますけど、私達はそう簡単には死にませんわ!」


私も、イリア様も、それぞれ魔具を着ける。赤いネックレスと、青の指輪。それぞれ着けた途端に光だし、魔力が体に流れてくる。


……戦闘訓練のおかげもあり水魔法はもう使いこなせるようにはなりました。


「へぇ……私を打ち負かす、ですかぁ。果たしてお嬢様にそんな事ができるのでしょうかぁ?」

「確かに、身体能力等等で考えるなら私はシンの足元にも及ばないでしょう。けれど、私には頼れる大切な仲間が、友達がいます。きっとそうすれば、足元くらいは届くはず」

「昔からやってきたことですわね!必死に足元にしがみついて、下克上ですわ!」

「では……試させてもらいましょうかぁ!」


最初に動いたのはシン。炎魔法と風魔法を重ねがけて、熱風を飛ばしてきた。そして、私はそれを水魔法で相殺する。


「水よ……撃ち落とせ!」

「雷よ、纏わりつきなさい!」

「魔具、ですかぁ。それにしても流石の魔力量ですねぇお嬢様。だぁいぶ手を抜いていたとはいえ相殺してみせるなんて。そちらのお友達もお見事ぉ」


こぼした時のために、イリア様が雷のヴェールで守ってくれる。……よし、これなら少しは対抗出来るはずです!


「攻めますわよ、マイ!……雷の槍!」

「はい!イリア様!……水の槍!」


雷と水の融合魔法は相手を感電させる効果があり、とても便利だとローズ様から教わりました。そしてそれは、格上にも効果があったみたいですね。合わさった槍は弾き飛ばされてしまいましたけど。


「これは……腕が、動かせませんねぇ。時期に治るとは思いますが……またやられたら面倒くさいですねぇ。では、開幕から本気で行かせてもらいましょうかぁ」

「気をつけてくださいイリア様。シンは、片手だけでもとても強いのです。それに、シンには……武器があります」

「武器ですって?」


奥の部屋に進む前に、リリー様は不安な顔をしていました。

恐らく、リリー様が不安な顔をしていたのはこのシンの武器を恐れての事でしょう。きっとリリー様は前世でシンの知識は全て知っているはずですからね。


「吹き荒れる風よ。燃え盛る炎よ。形を得て、私に仕えるがいい!」


シンがそう唱えると、シンの両手に風の魔力と炎の魔力が球体となって現れた。そして、それはゆっくりとひとつになり、鋏のようなものへと姿を変えた。


これは、シンだからこそできる技術です。シンは、昔魔法の研究をしてたことがあったみたいで魔法から武器を作ることができるんだとか。その中でも彼女が特に好んで使ってるのが……


炎風の鋏(えんぷうのつか)。さぁ、全てを切り刻みましょぉ?」

「っ!?」


シンが炎風の鋏を軽く振る。すると、次の瞬間イリア様の腕に少し大きな切り傷がつく。


「イリア様っ!」

「そんな痛かったですかぁ?ちょっと掠めただけなのにぃ」

「私は全然大丈夫ですわ!……雷よ!」

「これは失礼。少し、侮りすぎていたみたいですぅ」


イリア様の雷は、炎風の鋏によってかき消される。

リリー様ならきっとこの炎風の鋏についても知ってて、シンに対して優勢を取れるのでしょうけど……生憎、私は私で何も知りませんので。ひたすらに思考を巡らせるしかないみたいですね


「……はぁっ!」

「おぉ……無詠唱ですかぁ。お嬢様、成長しましたねぇ。ですが……まだまだです、ねぇ!」

「私もいるのをお忘れで?」


水を鎌にして切りかかる。少しシンの頬を掠めたけど、またすぐに炎風の鋏で反撃される。


「ぐっ……!」

「マイ!」


イリア様が寸前でまた雷のヴェールを貼ってくれたが、貫かれて炎風の鋏が私の右腕に刺さる。


「お嬢様ならおわかりですよねぇ?この炎風の鋏がどういう能力を持っているのかぁ」


炎風の鋏には、鋏を通して魔法を発動できるという能力が備わっている。恐らく、このまま私の腕の中に炎魔法を流し込んで大やけどを負わせるつもりでしょう。


もうこうなったら。一か八かの賭けです。私も、本気を出しましょう!


「……我が内なる魔力よ、その全てを解放せよ!」

「なっ、これは!?」


段々と使いこなせるようになってきた魔力解放。この前わかったことですが、魔力解放は威力上昇、魔力上昇の代償として消費魔力量が増加する効果もあるみたいです。ですから賭けです。私が魔力を使い切る前にシンを倒すか、それともシンが耐え抜くか。


「全く、本気を出すのが遅いですわ」

「イリア様もご存知でしょう?魔力消費量が増えるの」

「……驚きましたぁ。まさか、その雫を魔力源として取り込むなんてぇ。いいじゃないですかぁ、面白くなってきましたねぇ!……お、腕が治ってきましたよぉ」


これでシンも正真正銘の本気になったわけですが……どうでしょう、この戦い。シンとはもうかれこれ八年近くあってない訳ですから……私が知らない何かを隠してる可能性も捨てきれません。


「闇炎!」

「やっぱり腕をちゃぁんと動かせるのって、ありがたい事ですよねぇ。はぁっ!」

「ならこれはどうですの?……雷炎っ!」

「面倒ですねぇ。……熱波!」


黒い火球をシンにぶつける。少し押されつつも、シンは鋏で火球を切り裂いた。そして次にイリア様の雷魔法と炎魔法の融合体が近づいた時。シンは鋏を一振りする。すると、その融合体は消え去った。


「隙ありっ!」

「イリア様!」

衝突を四パートにわけて、それから本命のリリーVSローズに持ち込んでいきたい

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