悪役令嬢VS影 決着
何とかこれで片腕片足だけにできたけど……それでも油断はできない。なんせまだ闇魔法は残ってるし、それにあと二発位で意識が飛ぶのはまだ変わっていない。だからまだ全然負ける可能性もある。
「……闇」
「ぐ、ぁぁぁぁぁぁっっ!!」
……な、何とか耐えた。もうこうなったら本当に早いことケリをつけるしかないな。とりあえずまずは残った左手を……
「炎の……槍!」
「水……柱」
流石は私……いや、ローズ様だ。こんなボロボロになってもまだ柱魔法が使えるとは。……なーんて、感心してる場合じゃないんだよね。防がれちゃったし……いや、別に不安に思うほどの事じゃない、か。どうせ左手を消したらもうそれであとは終わりなんだ。だから……一発、全速力で。
「腕が痛い……」
「炎……水」
柱が消えた瞬間。私はボロボロの腕を動かして、全速力で水槍を投げる。前世では感じたことないくらいの腕の痛みが襲いかかってくるけど、それでもなんとか残った左手を消せた。……影の私は、両腕を失い壊れたラジオのようにひたすら魔法を唱えていた。
「流石ローズ様。最後の最後まで、とてつもなく強かった。でも、これで……おしまいだね。……炎よ」
影の私の近くまで歩いていき、最後に火球をぶつける。火球に全身を包まれた影の私は、ただ何も言わず、
無機質な表情ですぅっと消えていった。
「何とか終わったな。……あ、これまずいかも」
とてつもなく瞼が重い。視界がゆらゆらする。……これは、かなりやばいかも。今倒れたら絶対リリー達の邪魔に……
「……あっ」
そんな私の気持ちも虚しく、私の視界は閉じて……いかなかった。今私がいるのは白い世界。何も無い、空白の世界。……ここは一体、どこなんだろう