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008

ゆっくりと意識が覚醒してくる。

目覚めに誘われた。

サアキスの視界に見知らぬ男の顔があり疑問符を浮かべた。


「初めましてだな。俺はライトだ」


「ライト?ボクはサアキスです」


サアキスは眠っていたベッドの上で上半身を起こした。


「サアキスか、オレはソイツの連れだ」


ライトが指差すそこにはベッドの隅で眠る久遠が居た。


「久遠さんっ」


サアキスは無意識に彼女の頭を撫でようとした瞬間、我に返り手を止めた。


「お前は一歩が踏み出せないようだな。別に撫でられたくらいで久遠は怒りはしない」


「ぼ、くは……」


歯切れの悪いサアキスに煮え切らしたライトはため息を漏らした。


「はぁ〜、とりあえずこれを渡しておく」


ライトは病室の壁にゴツゴツした歪な剣を立て掛けた。


「これは?」


「イベントボスを倒した時のドロップアイテムだ。お前にとって初めての報酬だろ、大事にしろ」


「ありがとうございます」


「お礼なんていらない。お前が頑張った成果だろう」


「そうですかっ」


「遅いし、先に落ちるから久遠のこと頼むな」


ライトはサアキスに言い残し部屋を出て行った。

姿が見えなくなったのを確認するとサアキスは吐き捨てるように呟く。


「頼むって、ぼくにどうしろって言うんだ?」





一週間後。

洞窟フィールド。

サアキスはひとり。

彼の手には以前入手した歪な剣・分離剣(シュベルティン)を装備し数体の狼型モンスターと戦っていた。


「あぁぁぁあ!!」


モンスターの一体を蹴り飛ばし粉砕。

瞬間、サアキスの視覚から数体のモンスターが襲い来る。

が、分離剣(シュベルティン)のその名の通り短剣(エクトスエッジ)を分離。

二刀流で視覚からの数体のモンスターを一瞬で撃退。


「もっと速く!もっともっと強く!!」


ポリゴン片が消滅すると短剣(エクトスエッジ)分離剣(シュベルティン)に戻し腰に帯剣。


「今日はこれくらいで戻ろう」


洞窟から出ると広大に広がる平原。

平原にも数多くのモンスターやプレイヤーも存在する。


「いやぁぁぁぁああ!!」


突然、女性プレイヤーの叫び声が響く。

女性の後ろにはゴリラ型モンスターが追いかける。


「なんかスゲー、デジャビュ」


岩に足を捕られ女性プレイヤーは転倒。

モンスターは女性プレイヤーに追いつき拳を振り下ろした。

瞬間、サアキスは背後からモンスターを粉砕。


「大丈夫か?」


「……はい、あ、ありがとうございます」





安全圏内にある池の畔の岩にサアキスは腰を下ろした。


「ここは安全だ」


「はい、重ね重ねありがとうございます」


少し離れたところにサアキスの助けた女性プレイヤーは座る。


「それで君の名前は?」


「あ、自己紹介がまだでしたね」


女性プレイヤーは突然立ち上がり起立した。


「そんな緊張しなくていいよ、ぼくはサアキス。それで君は?」


促すようにサアキスは名乗る。


「黒薔薇姫です」


「黒薔薇姫か。長いな黒薔薇って呼んでいいか?」


「それでしたら私もサアキスさんの事サアキスって呼んでもいいよね?」


二人の視線がぶつかり一時の静寂。

そして、静寂をサアキスと黒薔薇姫の笑い声が打ち破る。


「はははっ」「ふふふっ」


サアキスは立ち上がる。


「別に睨めっこしてるわけじゃないんだけど」


「私もですよ」


サアキスは黒薔薇姫に手を差し出した。


「はい?」


黒薔薇姫はその手に疑問符を出す。


「最近プレイを始めばかりなんだろう?教えてあげるよ」


「え?いいんですか?」


「ああ、よろしく頼むよ黒薔薇」


「ありがとうございますサアキス」


黒薔薇姫はサアキスの差し出された手を握り返した。


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