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006


「お願いしますっ!」


〈タウン〉に戻ってきたサアキスは久遠に頭を下げていた。


「えっ?突然なに?」


「お願いしますっ!ボク、強くなりたいんですっ!」


人通りのある道の真ん中でサアキスは土下座した。


「わっ、解ったから立って!」


「ありがとうございますっ」


周囲の視線が二人に集中していた。


「取り敢えず、ここでは人の目があるから場所を変えようか」





河川敷。

サアキスと久遠は向い合う。

徐ろに久遠は腰の鞘から剣を抜いた。


「君の使ってる武器は?」


「大剣です」


「それじゃ、やろうか?」


「え?」


「言葉で理解しても身体で覚えないと意味がないから戦いの中で覚えて」


「解りましたっ」


サアキスが久遠に大剣を構えた。


「アァァアア!」


久遠に向け振り下ろす。

が、既にサアキスの視界に久遠の姿はなく、彼女の持つ剣の柄頭で後頭部に打撃。


「身体のバランスが取れてない。君にその武器は合ってないみたい」


久遠はメニューを呼び出しアイテムから片手剣をオブジェクト化。


「これを使ってみて」


サアキスは言われるまま片手剣を装備。

久遠に向かっていく。

振り下ろされる剣を避け一撃を__瞬間、久遠の回し蹴りが炸裂しさあは吹っ飛んだ。


「いてぇぇえ!」


「少し早くなったね。それに武器は攻撃力が高い物を選べばいいってわけじゃない。自分の戦闘スタイルにあった武器を使わなきゃ自分すら守れない」


サアキスは起き上がりすぐに久遠とツバ競り合う。


「敵はいつも一体とは限らない。視野を広くっ」


久遠はサアキスの背後を取る。


「死角はつくらない。常に周囲を意識して」


サアキスはすぐに反応、久遠の剣撃を受け止める。


「そう!初めて動けたね。でも__」


久遠の軸足がジャリッと鳴らし、華麗な回し蹴りが再びサアキスを捕らえ吹っ飛んだ。


___


暫くしてサアキスは目を覚ました。


「大丈夫?」


「だぁぁぁああっ!すいません!」


サアキスは飛び起き、久遠に頭を下げた。


「体術も覚えた方がいいと思う。武器に頼りきりじゃダメ」


「はい、精進します」


「続きを、と言いたいところだけど続きは明日、今日はアウトするね」


「あ、はいっ。ありがとうございます」


「明日は何時にインする?」


「昼くらいです」


「私は夕方に入るからそれくらいでいい」


「宜しくお願いします」


じゃっと小さく手を振る久遠の姿を見送った後、サアキスもログアウトした。





それから一週間__

サアキスと久遠は訓練を続けた。


「ごめん明日から暫く付き合えない」


「あ、大丈夫です。明日から始まるイベントですよね」


「知り合いとコンビを組んで参加するの」


「久遠さんはギルドには所属してないんですか?」


「ギルドは嫌い。レベル上げノルマとか縛られるの嫌だから、君はイベントには参加しないの?」


久遠は小首を傾げてサアキスに問う。


「まだまだレベルと経験が足りません。イベントとか特務ミッションに挑むのはまだ先です」


サアキスは片手剣を腰に収め久遠に頭を下げた。


「久遠さん今までありがとうございます。ここからは一人でやって行きます」


「イベントが終わればまた時間が作れるよ?」


「いいえ、これ以上は久遠さんの時間を割くことは出来ません。だから、今までありがとうございました」


そう言うとサアキスと久遠は転送リングに囲まれタウンへと転移した。


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