013
「天音、少し回ってきたんだろ?」
「ええ、そうね」
「どこか変わった事はなかったか?」
「例えば?」
「そうだな。何か珍しいアイテムが見つかったとか?未踏のエリアが見つかったとか?後、アップデートしてるとか?」
「サアキスが挙げたその三つだったら昨日全部やってますよ」
天音はあっけらかんと答えた。
「は?」
「〈アース・プロジェクト〉。サアキスも知ってるでしょう」
「ああ、その第一弾の拡張パック、〈ノウス・アルヴィロスの開眼〉でフィールドと言うかリインカーネイションの世界は実際の星のように一周出来るようになったって言われてるな」
「実際に試したプレイヤーはまだいないみたいだけれど。そして昨日、第二弾の拡張パック、〈ヴェルム・クラウディスクの顕現〉の導入。それによって未踏エリアの増加。これは第一弾を遥かに上回るとまで言われているわ」
「色々と拡張したのは解った。でも実際、アース・プロジェクトてなんなんだ?」
「それで終わりじゃないよ」
天音は言いきった。
「他になにが?」
「神具を越える武器、聖皇具」
聖皇具__リインカーネーションのバック・グラウンドで何度か目にした事のある伝説の武具の名称を天音は口にした
「まさか?」
「ええ、存在するそうです。心が踊るでしょう」
「現状が解らない事には外に出るのは危険だ。しかし、探しに行きたい気持ちもある」
「だったら試しに街を出てみたらいい」
まどろっこしいと言うように沈黙していたミューレは決定打である一言を言い放った。
「……悩んでても仕方ない。それしかないよな」
「ナイ乳にしては大胆な決断をしますねっ」
「デカ乳はおっぱいばっかりに栄養が行って頭が働いてないのでは?」
ミューレと天音は再び睨み合う。
「二人ともそれくらいにしてとりあえず、装備を整える為に本部に行こう」
サアキスはそう言って準備の為に本部に向かった。