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プロローグ
『本当にお前は…』
―私が何か言う度に、呆れつつため息混じりに微笑む顔が本当に大好きだった。
フサフサの雪のように白い尻尾。陽に透けるとキラキラ輝く白い髪。冷たいのに、どこか暖かい瞬きする度に軽やかに光る琥珀色の瞳。
寡黙で、大事な事は喋ってくれなくて、全部一人で抱え込んでしまう所はちょっと嫌いだけど、全部全部優しくて甘くて。
ずっと一緒に居れたら良かったのに。
ごめんね。
私のせいでそんな顔させちゃって。
いつもなら抱き締めてあげれるのに、出来ないのがもどかしい。
『ばいばい』
今にも溢れてしまいそうな涙をグッと堪えて、笑みを浮かべる。
最後だから、最後くらいは貴方が好きだと言ってくれた笑顔を見せたくて。