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新たなる一歩 朔人の場合

 打ち上げの日から僕はバイト以外のゲームとかに充てていた時間を削って、イベントというものについて考えることから始めた。

 僕は、確かにクロという名前で歌い手の活動をしていたし、シロと一緒にではあるけれどライブに出たことだってあった。でもそれは、あくまでも出演者として。主催はもちろんスタッフとしての、裏方としての知識なんて皆無に等しかった。そんな僕がみんなを羽ばたかせるなんて息巻くならば、ちゃんとした考えのもと知識も身につけて行動していくことしか思いつかなかった。そんな初歩的なところからでも初めて行かなければならない自分にもどかしさを覚えながらも、イベントの前にまずは結梨を歌い手としてデビューさせるためにはちゃんとした環境での録音から始まるなと思った僕は、懐かしい人に電話をかけた。


 「あ、もしもし。お久しぶりです。……僕はもう歌の活動をするつもりはないんですけどね?僕の知り合いというか、友達の歌に惹かれたんです。僕の進む道は変わってしまったけれど、それでも同じ方向を見ていけたらなって思えたんですよね」


 そんな僕の話を相手は穏やかに聞いてくれた。そして……


 [うん、クロくんの紹介だったらうちでレコーディングしてくれていいよ。なんならちょっと安くしとくよ]


 なんて言ってくれた。やっぱりこの人はすごく優しい。


 こうして、とりあえず第一歩が決まった僕は心少し晴れやかにバイト先の居酒屋に出勤したんだけど……


 「あれ、最近結梨シフトあんまり入ってないですよね?店長」


 「そうなんだよなぁ。まあ、6月の今はそんなにシフトカツカツってわけじゃないからまだいいんだけども、そういうんじゃなくて普通にちょっと心配ではあるんだよなぁ」


 僕の職場の店長は、詳しいわけではないけど僕達の趣味にも理解があって、シフトの融通とかも利かせてくれるようなとてもいい人だ。だからこそ、シフトが減ってしまった結梨のことも心配してくれていた。でも、実を言うと僕も結梨がシフトを減らしてる理由を把握していなかったので少し、いや結構不安を覚えていた。

 そんな帰り道、ふと道の向かいを見るとそこには……


 「結梨!……と、シロちゃん?」


 ビルから出てきた結梨とシロちゃんがいた。そのビルに入ってるのは飲食店と、メイドカフェと……め、メイドカフェ!?

 僕はまた、なんとも言えない気持ちを抱えながら帰路に着いた。絶対に問いただすと言う決意と共に……

さぁ、少しずつ動き出す朔人、今後どうなってくんでしょうか?

次話はそんなシロと結梨のお話です!


もしよかったら評価や感想など書いていただけると!

何卒…何卒……

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