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和平交渉当日 ③


「うぉぉぉぉぉ!!」


戦場に叫び声が広がる。

勇者ケイトは動揺して、周りの兵に話を聞いているようだ。


「なんだ!?何が起こっている」

「わかりません!後ろから人間の兵が!!」

「こちらの味方か。でかしたぞ!魔族なんてやってしまえ!!」


恐らくこんなことを話しているのだろう。

まぁ、そう世界は甘くないことを知るだろうが。


ケイト達の後ろから来た人間の兵は、僕たちの魔族の軍ではなく、ケイトの軍を攻撃し始めた。

もちろんケイト達は前にロイとアザレア、後ろから人間の軍という状況になって、パニックに陥っていた。


そしてしばらくすると、ケイト達の軍は散り散りバラバラになっていた。

そしてケイトだけがその場で叫んでいる。


「まて!!逃げるな!!!目の前に敵がいるのになんで戦わないんだ!!」


その叫んでいるケイトの前にロイが立つ。


「お前……勇者はく奪だな。人間界に帰りな」


そう言うと、ロイは剣を置き、ケイトの服をつかんだ。

アザレアは詠唱をおこなって、黒い穴のようなものを作る。


「お帰りはあちらだ!!」


そう言いながらケイトをアザレアが作った黒い穴のようなものの中にほりこむ。

ケイトはその穴の中に吸われていき……穴は無くなった。

僕は心配になり、アザレアに尋ねる。


「アザレア……あいつはどこに行ったんだ?」

「カトラス近くに送っておいたわ。まぁ、カトラスに直で送られなかっただけマシだと思ってほしいわね」

「……」


詰まるところ、殺さなかっただけマシと思ってほしいということだろう。


ケイト達を攻撃していた人間軍の大将らしき人がこちらに来る。

かなりお年を召しているように見えるが、しっかりときっちりした服を着ている。

すると、僕たちの後ろから、テウルが出てきた。


「同盟の助けに応じて参上した。久しいな……テウルよ」

「助けに来てくれてありがとう。70年ぶりかな……コテツ」


二人はがっちりと握手を交わす。

僕はコテツと呼ばれた方に話をしに行く。


「コテツさん。ヴァルと申します。この度は無理を通して頂きありがとうございました」

「お主がヴァルか。本当に苦労したぞ。緊急連絡できた手紙を見ると、同盟を一日早くしてほしい、そして念のため軍を送ってほしいなどと……だがわが友、テウルを助けさせてくれてありがとう」


そう。

僕がもう一つ思いついていた案は、先に同盟を成立させてしまうという案だった。

ただ一つ、気になることが……


「あの……一つお伺いしたいのですが、お二人はお知り合い?」

「あぁ。70年前まではこの二つの町は元々同盟だったんだ。俺とテウルはどっちも子供で良く遊んでいたものさ」

「そうだったな。人間と戦争になるとなって、コテツとは離ればなれになった。その時にまたいつかこの二つの町が仲良くなる日を夢見て……と言っていたのさ。まぁ、まさか生きているうちにそれが達成できると思っていなかったがな」


なるほど。

この二つの町は元々仲が良くて、他のしがらみで離れていただけのようだ。

だから、どちらの町も魔族や人間界に最も近い町のはずなのにきっちりした城壁とかがなかったということか。

おそらく、この二人のリーダーの先代も恐らく仲が良かったのだろう。


この二人を見ていると、色々な疑問が解消された。

そして、ロイとアザレアはこの二人が仲良く話している姿を横からずっと眺めていた。


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