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和平交渉当日 ①

和平交渉についての話が済んだ。

実際は一日ではなく一週間ほどかかったものの、

ロイやアザレアのおかげでかなりスムーズに行った方だと思う。

魔族と人間の和平がこの短期間で成立したのは、やはりマツリを助けたあのバルトニアの一件があったからだろう。


宿屋で昼間に休憩していたところ、ロイが僕に声をかけてきた。


「マスター、明日が調印式だ。準備はできているか?」

「もちろん。ジンから書類ももらったし、後は取り交わすだけ」


僕は書類を確認する。

不備があるかはわからないものの、ロイとアザレアから見て問題ないと行ってくれたから問題ないだろう。

ふとアザレアが僕に話しかけてくる。


「これまでで人間側に変な動きはあったかしら?」

「……僕も意識していたけど、何もなかった。ジンも昨日にこの町到着して書類を届けただけ。明日、立ち会うから調印式の場所と時間を聞いて、宿屋に帰って行ったから」

「そう……」


アザレアは少し訝しんでいる。

マツリはその様子を見て声をかける。


「アザレアさん、大丈夫ですよ!これでようやく人間と魔族が仲良くできるための第一歩が進めるんですね!」

「そうね。私もそう思うことにするわ」


アザレアはマツリの方を見てニコッとした。

すると、ピーピーピーと甲高い音が鳴り響く。

うるさいほどではなく、少し聞こえるぐらいだ。

すると、ロイがポケットから玉のようなものを取り出す。

そしてその玉を耳に近づけた。


「……」


ロイは黙ったままだ。

僕もアザレアもマツリも不思議そうに黙って見つめる。

そしてロイは頷いてため息をついた。


「なるほどね……そういうことか」


ロイは球をポケットの中に突っ込んだ。

アザレアはしびれを切らして声をかける。


「バトラー。何がそういうことか、なのよ」

「あぁ……今から話す。ばかげた話だからよく聞くように」

僕とアザレアとマツリはロイの話を聞き始めた。



・・・・・・



調印式当日。

僕たちは朝からバタバタとしていたものの、昼の調印式に間に合うことができた。

広場に大層な椅子と机が並べられていて、すでにテウルがのんびりと椅子に座っている。

テウルは僕たちに気づいたのか声をかける。


「ヴァルさん、色々ありがとう。今日一日は少し大変かもしれんが、よろしく頼んだよ」

「こちらこそ、ありがとうございました。僕としては流れのままで進んできた話ですが、喧嘩せず、人間と魔族が仲良くなるのであればよかったと思っています」


実際、僕はただこの異世界に来ただけだった。

もちろん人間と魔族の仲介なんてするとは思っていなかったけどロイやアザレア、マツリ、あと他の町のみんなを見ていて、人間と魔族が種族という違いだけで喧嘩するのは変だと思っていたから、仲良くなるのは嬉しい限りだ。


僕が椅子に腰を掛ける。

ロイやアザレア、マツリは僕の椅子の後ろにピタッと立っていた。

調印式を確認するため、ジンも客席の方にいるのが見えた。


そして銅鑼が鳴る。

その音が始まりの合図だったのか、兵隊長が高らかに声をあげる。


「これより、我ら魔族の国『ジニア』と、人間の国『ゼラニウム』の和平を執り行う」


そう。今回は隣通しの国の和平となった。

これは初め、中央国家「カトラス」との和平の予定だったが、ジニアの族長であるテウルが難色を示したからだ。中央国家よりも最も近い国と和平をやらせてくれという話になり、こういう形となった。

もちろん、ゼラニウムの長からも賛成を頂き、このような形になった。

ゼラニウムとしても最も近い魔界の国と仲良くできるのであれば、しておいた方が良いと判断したのだろう。


「いよいよですね……」


マツリは緊張しつつも、わくわくしたような声で呟いている。

ロイとアザレアはいつもと同じく普通にしている。


「では、机の上に置いてある用紙の和平に関する条約を読み、問題なければサインを」


僕の目の前には用紙がおかれている。

内容はロイとアザレアがちゃんとしてくれたから、そのままサインをするだけだ。

僕は自分の名前をサインした。

そして横を見てみる。

ジニアもサインを終えたようだ。


「では、用紙の交換を」


互いの用紙を交換して、再度サインをすれば調印式は終了となる。

僕は用紙を交換するために席を立った。



「その調印式、やめてもらおうか!!!!」



広場にかなり大きな声が響く。

この声は、町の外からかなり大きな声で聞こえた。

想定はしていたけど、ついに始まったか……


僕たち四人は共に頷き、ジニアの方に一度頭を下げる。

ジニアは黙ってうなずいてくれる。

僕たちは広場を通り町の外に出た。


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