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人間界に最も近い魔界の国「ジニア」 ②

見た目が若そうな門番の魔族がこちらを向く。

門番の魔族の見た目は人間とほぼ同じに見える。

ただ一点、頭にしっかりした角が二本生えていた。


そして門番の魔族は持っていた剣を構えて僕たちに叫ぶ。


「止まれ!!貴様らは何者だ!!」


門番の魔族は僕と横にいるロイが人間であることがわかっているようだ。

まぁ、頭に角が生えていないからだろう。

作戦通り、アザレアとマツリが前に出る。


「私たちは小さな旅団よ。人間側から和平の話を持って来たわ」

「和平……?何を言っている。そもそも、お前たちはなぜ人間とともにいるのだ!」


兵士は剣を構えたまま尋ねてくる。

やっぱりかなり怪しまれるか……

様子を見ていたマツリが一歩前に出て話をする。


「兵士さん、とりあえず話を聞いてください。私たちは喧嘩をするために来たわけではありません」

「人間を連れた魔族の話を信用しろと?」

「そうです!」


マツリは門番の魔族にまっすぐな目を向ける。

門番の魔族はその目を見て……首を振る。


「すまんが、俺には後ろの人間まで信用できそうにない……が、この子に免じて悪くはしないから、とりあえずそこで待っててくれ」


門番の魔族は空中に魔方陣を書き、何かを話している。

話を終えると、門の方からぞろぞろと魔族が出てきた。

そして防具をがっしりと固めた隊長らしき魔族が来た。


「貴様らか。人間との和平の従者というのは」


アザレアは話した魔族をスッと目を細めてみる。

そして顔の表情を一つも変えずに話をする。


「従者とかではないけどね。ただの小さな旅団よ……今回仲介役をかって出ただけ」

「細かいことはどうでもいい。本当なら無視するべき話ではあるが……我らの族長が貴様ら旅団に興味があるそうだ。だからそこまでお連れする。ただし……」


隊長らしき魔族は手錠を取り出す。

手錠の部分が金属でそこから縄みたいなものがつながっている。


「現状では何も信用できないため、この手錠を付けさせてもらう。それでもよければこの町へ入ることを許可しよう」

「……」


アザレアとマツリは僕の方を見る。

アザレアは僕にしか見えない角度で、顔がかなり歪んでいる。

あれは間違いないなく怒っている顔だ……

そりゃ、魔王が手錠でつながれるなんて屈辱でしかないだろう。


とはいえ、ここでアザレアにこの一面を焼け野原にしたら元も子もない。

僕が一歩前に出て話す。


「それで問題ないです。よろしくお願いします」


そう言って、僕は両手を出した。

隊長らしき魔族は僕の行動に面を食らったものの、部下に指示をして僕の手に手錠をかける。


「はぁ……」


そうため息をつきながらアザレアとマツリ、ロイも手を出す。

三人とも手錠をかけられ、町の中に入った。

何もしてないけど、仕方ないか……



町の中では、僕たちはかなり色々な目で見られた。

兵士と共に大名行列のように歩いていたからかもしれない。

少し歩いて、広場のようなところに出た。

そこには杖をもった、少し年老いていた男の魔族が立っていた。


「兵隊長。ご苦労さま。この者たちの手錠を外しなさい」

「テウル様!本当に手錠を外して良いのでしょうか」

「その者たちが何か悪い行いをしたのかな?」

「いえ……」


兵隊長は部下に指示して手錠を外させる。

人生で初めて手錠を付けたけど、まさか三十分もしないうちに外すことになるとは。

それはそうと、お礼を言わないと。


「テウルさん……でしょうか。まずは僕たちを町の中へお招きいただいて、そして手錠まで外して頂きありがとうございました」

「いや、魔族と和平を結びたいという者たちをどうしてもこの目で見ておきたくてな」


テウルはじっと僕たち四人を見る。

僕とマツリは直立不動なものの、ロイとアザレアは態度がいいとは言えない。

じっと見た後にこやかに笑った。


「お主たちのことを信用しよう。実は、少し前に行方不明だった魔族がこの村に帰って来てな。その者たちが話していた格好と君たちの格好が同じだったからな。人間二人と魔族二人、一人以外はバトラーとメイドのカッコをしていたと」


行方不明の魔族?

ピンとこないが、マツリはわかった顔をした。


「私と同じく、バルトニアから解放された子たちですか?」

「そうだとも。奴隷として過ごしていたが、人間と魔族の方たちに助けてもらった。みんな口をそろえて言っていたからな。目立つ格好をしていたと」


確かに目立つ。

ただ、その目立つ格好のおかげで覚えていてくれたようだ。

この格好が役に立つことがあるなんて。


「では、和平の方は」

「ぜひ。君たちなら信用できる。事実我ら魔族を助けてくれたからな」


テウルはニコッとしてこちらを向いた。

僕たちもみんな顔を見合わせてニコッとした。


するとロイが一歩前に出て話をする。

「では、和平交渉のやり方や日程等を詰めさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

「ぜひ。その前に君たちの名前から教えて貰いたいのだが……」


僕たちの紹介を行う。

もちろん、ロイやアザレアの本性は隠したままだが。

そして和平交渉の話が始まった。


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