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人間界に最も近い魔界の国「ジニア」 ①

シズクと別れて、魔族の町へ歩く。

これまでだと馬車を使っていたが、人間の町と魔族の町をつなぐ道は全くつかわれていないため、馬車が通れないと判断した。


アザレアが道案内も込みで先頭を歩く。

ただ、すでに三時間程度歩き続けていた。


ロイは疲れたのか一番後ろでとぼとぼと歩きながらついて来る。

そしてアザレアに愚痴を言う。


「馬車が恋しいなぁ……おいメイド、本当にこの道で合っているのか?」

「うるさいわね、合っているわよ。もう少しで町が見えてくるから」


アザレアは後ろを見ずに答える。

確かにかなり歩いて僕も疲れてきた……

ロイと僕の足取りが重くなってきたのに気づいたのか、マツリが励ましてくれる。


「ロイさん、ヴァルさん、頑張りましょう!もう少しで着きますから!!」

「マツリちゃん、ありがとう。マツリちゃんはしんどくないの?」

「もちろん、まだまだ歩けますよ。パンケーキもちゃんと食べたので」


いや、パンケーキを食べたか量で言えば、パンケーキを一枚しか食べなかったアザレアがバテないとおかしい気が。

ただ、アザレアは顔も涼しげに歩き続けている。

これも若さというものかもしれない……


マツリは僕とロイの横でずっと声をかけて話し相手になってくれる。

歩くのはしんどいものの、気が紛れて少し嬉しい。

すると、アザレアが声をあげた。


「見えたわよ。あれが魔族の町『ジニア』ね」


遠くに櫓がポツンとあるのが見えた。

あそこが魔族の町か。まだまだ遠いなぁ……



・・・・・・



櫓が見えてから一時間ほど歩いて、ジニアの町の近くまで来た。

一番近くの人間の町『ゼラニウム』と同じく大層な城壁などは見られず、少し低めの塀があるだけだ。

かなり緊張していたが、城とかイメージしていたのでちょっとだけ気が抜ける。


「マスター。今、気を抜いたのかしら?魔族の町に行くのだから、ちゃんと気合い入れるのよ」


アザレアにすぐに指摘される。

やっぱりアザレアはそういうところ見ているよね……


僕以外はどうなのか周りを見てみる。

ロイとアザレアは全く緊張していないようだ。

ロイなんて欠伸しているし。


マツリも僕と違って顔は少し固いものの、緊張していないようだ。

やはり、自分の種族である魔族の町に行くだけなのでそこまでだろう。

マツリは僕がマツリの方を見ていることに気づいてニコッとしてくれた。

恐らく僕の緊張をほどくためだろう。

嬉しいものの、結局、僕だけかなり緊張しているってこと・・・?


すると、ロイが僕の横に来て呟く。


「マスター。メイドの奴はあぁ言ってるけど、そこまで気合い入れなくていいぞ。何かあったら俺がどうにかしてやるから」


いつもなら問題な発言が多いロイではあるものの、今の言葉はとても頼りになる。

恐らく僕のことを考えての発言ではなくただの本音だとは思うが、ロイには感謝だな。


そして、魔族の町『ジニア』に入る門が見えてきた。

歩いている途中で作戦会議した通り、僕とロイは後ろに下がる。

そしてアザレアとマツリが前に出る。


作戦としてはアザレアとマツリが魔族として先に話しを付けてもらい、僕とロイが後に戦闘の意思が全くないことを伝えながら僕たちが話すという作戦にした。

上手くいくかはわからないものの、最初から人間の僕たちが話すのは良くないだろうという判断だ。


そしてついに、門番の魔族と僕たちみんなの目が合った。


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