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中央国家「カトラス」 ④

「さて、これが人間と魔界の境界線と呼ばれているところで、最も人間の町から近い場所となります」


ジンは地図を棒で指しながら説明を開始した。


僕も地図を見てみる。

地図は簡易的なもので山や川、町がおおざっぱに書かれているのがわかる。

そしてその中央には点線が引かれていた。

ここが人間と魔界ということらしい。


向かって左側はほぼ何も書かれていない。

逆に右側はかなり詳しく色々書かれている。

恐らく左側が魔界で右側が人間側ということだろう。

そしてジンの棒はその中央の町を指している。


「我々はこの町と交渉を開始したいと考えております」


ロイは顔をしかめながら質問をする。


「ジンさん、この町がどんな町かはわかっているのかい?」

「いえ、ほとんどわかっておりません。ただ……」

「ただ?」


ロイはジンを覗き込むように見る。

ジンはその目をしっかり見ながら、はっきりと話す。


「この町は人間にはそこまで敵対心が無いようです」


自信を持ってジンは言ってるが……

どうしてそこまで自信満々なのか意味が分からない。

ロイも同じ意見のようだ。


「いや、どうしてそう言えるんだ。行った事はあるのか?」

「いえ、ございません」


僕とロイはずっこける。

行った事もないのになんでいえるのか……


「敵対心が無いと判断している理由ですが……人間の町が近いが故に、ここに迷い込んだ人間が複数名おります。ただ、全員ケガもせず帰って来ていますし、全員が優しい魔族の国だったとコメントしているのです」

「それだけで本当に人間に敵対心が無いって言いきれるの?」


僕は聞いてみる。

優しいのはわかったが、それは迷って入ったからであって、僕たちが攻撃されない保障にはならない。

するとそれまで黙っていたアザレアが口を開いた。


「いえ、恐らくこの町は魔界の中でもかなり人間とは好意的な方ね」

「アザレアさん、どうしてそう言えるのですか?」


マツリは僕が聞きたかったことを聞いてくれる。

アザレアはマツリの方をニコッとして答える。


「この町は……かなり昔に人間と交流があったのよ」

「人間と交流!?」


ロイは大きな声を出す。

あまりの驚きで声が出てしまったようだ。

その様子を見ていたアザレアはハァとため息をつきながら話しを続ける。


「そうよ。まぁ、あんた達が知らなくて当然かもしれないけど……。あなた達が生まれるはるか昔に少し交流があったって聞いているわ」

「そんな町があるなんて……」


ロイはかなりショックを受けているようだ。

ジンはその様子をみながら、僕たちに尋ねてくる。


「それでは皆様、行って頂けるということでよろしいでしょうか」


まぁ、普段の僕なら頷いているところだが、ここまでに来る途中のロイとアザレアの言葉がよぎる。


『あの野郎は、本当のことを言ってないってことだよ』


となると、一応保険はつけておこう。


「ジンさん。行くのは問題ないのですが、一つだけお願いを聞いていただいてもよろしいでしょうか」

「?」


ジンは不思議そうな顔をする。


「今回の人間と魔族の和平交渉、最後まで僕たちだけで完遂させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」

「……つまり、どういうことでしょうか?」


ジンは本意を測りかねているようだ。

横目で見る限りロイとアザレアはなるほどという顔、マツリは何を言っているのかわからないような顔をしている。


「この和平交渉、僕たちだけで調印式まで終えたいということです。僕たちが先発隊として行き、後で大勢の人間が来るというのはあまり魔族の町としても歓迎されないでしょう。だから、僕たちだけで進めさせていただきたく」


本音を言えば、僕たち以外は信用できないから来るなということだったりする。

敵は魔族だけでなく、人間という可能性もあるからだ……

ドラマとか映画でよく見る、裏切りはやめてほしい。

和平交渉本番で裏切る可能性も0じゃないし。


ジンはかなり悩んでいる。

恐らくガゼットに何かを指示されていたのだろう。

そして僕たちの方を向いた。


「承知しました。ただ、こちらからも一つだけお願いが。私だけは参加をお許しいただきたい。本当に交渉ができたのか、そこは確認させて頂かないと文書の偽造の可能性も否定できないので」


まぁ、ここが落としどころだろう。

僕は頷く。


「わかりました。ジンさんだけ、ご参加を許可いたします。その代わり文書などの準備はお願いします」

「承知いたしました。では、魔族の町との和平交渉、よろしくお願いいたします」


ジンは頭を下げてくる。

僕たちも頭を下げる。


そして、僕たちはシズクに連れられてこの部屋をでる。

そしてそのまま塔の中を見学することなく、塔から出た。


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